投稿者: seiri0916

  • 差押禁止動産とは|民事執行法131条の1号〜14号と施行令1条の66万円を条文と裁判所の動産執行の説明で確かめる

    差押禁止動産とは|民事執行法131条の1号〜14号と施行令1条の66万円を条文と裁判所の動産執行の説明で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    差押えという言葉を聞いたとき、家の中の物がどこまで対象になるのかが気になることがあります。この点について、民事執行法131条は「次に掲げる動産は、差し押さえてはならない」として、1号から14号までのリストを置いています。この記事は、その条文の原文と、3号が委任している政令の金額、そして裁判所が公表している動産執行の手続案内を、e-Gov法令検索と裁判所の公表情報だけで確認した記録です。先に、一次情報にはっきり書かれている3点を挙げます。①民事執行法131条は差し押さえてはならない動産を1号から14号まで列挙していること、②3号の「政令で定める額の金銭」は民事執行法施行令1条により66万円とされていること、③131条の各号に掲げる動産であっても、執行裁判所が申立てにより差押えを許すことができる旨が132条1項に書かれていること。個別の家財が条文のどの号に当たるか、当たらないかは、当サイトでは判断しません。

    1. 条文の位置|動産の差押えは「執行官の差押え」で始まります

    まず前提として、動産の差押えがどの手続かを条文で確認します。e-Gov法令検索で民事執行法(昭和54年法律第4号・lawId=354AC0000000004)の本則を確認しました(2026年9月12日)。122条の見出しは「動産執行の開始等」で、1項の原文は次のとおりです。

    動産(登記することができない土地の定着物、土地から分離する前の天然果実で一月以内に収穫することが確実であるもの及び裏書の禁止されている有価証券以外の有価証券を含む。以下この節、次章及び第四章において同じ。)に対する強制執行(以下「動産執行」という。)は、執行官の目的物に対する差押えにより開始する。

    123条1項は「債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。」と定め、同条2項は執行官が差押えに際して「債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り」、目的物を「捜索することができる」と書いています。この動産執行について、差し押さえてはならない物を列挙しているのが131条です。条文の見出しはそのまま「差押禁止動産」です。

    民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    2. 民事執行法131条の原文|1号から14号まで

    131条の柱書は次の一文です(原文)。

    次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。

    続く各号は次のとおりです。表の右列はすべて条文の文言そのものであり、当サイトによる言い換えや当てはめではありません(e-Gov法令検索の本文に付されている読み仮名のみ除いています)。

    号条文の文言(原文)
    1号債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
    2号債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
    3号標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
    4号主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
    5号主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
    6号技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
    7号実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
    8号仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
    9号債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
    10号債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
    11号債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
    12号発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
    13号債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
    14号建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
    民事執行法131条各号(1号〜14号)。条文にただし書は置かれていません。

    各号の多くは「生活に欠くことができない」「必要な」「業務に欠くことができない」といった、物の種類だけでは決まらない書き方になっています。特定の家電や家財が条文のどの号に当たるかは、条文の文言からは一義的に定まりません。当サイトは「この品目は差し押さえられない」という形の説明をせず、条文にこう書いてある、というところまでを示します。

    民事執行法131条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    3. 3号の「政令で定める額」=施行令1条の66万円

    131条3号だけは、金額の決定を政令に委ねています。その政令が民事執行法施行令(昭和55年政令第230号・lawId=355CO0000000230)です。1条の見出しは「差押えが禁止される金銭の額」で、原文は次のとおりです。

    民事執行法(以下「法」という。)第百三十一条第三号(法第百九十二条において準用する場合を含む。)の政令で定める額は、六十六万円とする。

    131条3号が指している金額は66万円です。条文の文言は「標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」であり、対象として書かれているのは金銭です。

    民事執行法施行令(昭和55年政令第230号) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    4. 「債務者等」は本人だけを指す語ではありません

    131条の1号・2号・11号・13号には「債務者等」という語が使われています。この語を定めているのは、同じ民事執行法の97条1項です。ただし97条は「債務者等」だけを定めるために置かれた条ではありません。97条の見出しは「建物使用の許可」で、債務者の居住する建物について強制管理の開始決定がされた場合の建物の使用の許可を定めた規定であり、その1項の文中で「債務者等」の語が定められています。次はその97条1項の一部です(原文・一部。前後は省いています)。

    債務者及びその者と生計を一にする同居の親族(婚姻又は縁組の届出をしていないが債務者と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にある者を含む。以下「債務者等」という。)

    条文の定義は、債務者本人に加えて「生計を一にする同居の親族」を含み、さらに婚姻・縁組の届出をしていなくても事実上夫婦または養親子と同様の関係にある者を含む、という書き方です。一方で9号は「債務者」、10号は「債務者又はその親族」と書かれており、号ごとに主語が違います。

    民事執行法97条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    5. 裁判所の説明|動産執行はどう進むか

    裁判所は、手続案内のページ「動産執行」(2026年9月12日確認・ページ名は「動産執行 | 裁判所」)で、この手続の概要を次のように説明しています。

    判決などの債務名義に基づいて債務者の占有する動産を差し押さえ、当該動産を換価(売却)して得られた現金(売得金等)により債権の満足を得る手続です。

    同じページの「手続の流れ」の「3 差押え」には、差押禁止に触れた記述があります(原文)。

    動産執行は、執行官の目的物に対する差押えにより開始します。差押えは、執行官が差し押さえるべき動産の占有を自己に移すことによって行います。動産執行の対象は法令で定められており、例えば、債務者が個人の場合には、一定額以下の金銭や生活必需品等は動産執行の対象とはなりません。
    また、差押動産の評価は、原則として、執行官が差押えの際に行います。

    裁判所の書き方は「一定額以下の金銭や生活必需品等」という例示であり、品目を列挙したものではありません。ページに書かれているその他の事項は次のとおりです。

    項目裁判所ページの記載
    申立先動産の所在地を管轄する地方裁判所に所属する執行官
    申立てに必要な費用予納金(各裁判所によって異なります。)/「収入印紙、切手は不要です」(郵送による申立ての場合は予納通知等の送付のため切手が必要)
    評価差押動産の評価は、原則として、執行官が差押えの際に行う
    換価執行官が競り売り等の方法により換価(売却)。競り売りの期日は、原則として、差押えの日から1週間以上1月以内の日
    裁判所「動産執行」ページの記載(2026年9月12日確認)。予納金の具体的な金額は、同ページに記載がありません。

    裁判所「動産執行」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_13/index.html(2026年9月12日確認)

    6. 131条のほかにも、条文上の限度が置かれています

    差押えの範囲を画す条文は131条だけではありません。同じ款に次の規定があります(いずれも原文の要旨ではなく、条文の文言です)。

    条見出し条文の文言
    128条1項超過差押えの禁止等動産の差押えは、差押債権者の債権及び執行費用の弁済に必要な限度を超えてはならない。
    129条1項剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。
    130条売却の見込みのない差押物の差押えの取消し差押物について相当な方法による売却の実施をしてもなお売却の見込みがないときは、執行官は、その差押物の差押えを取り消すことができる。
    民事執行法128条〜130条。131条の禁止リストとは別に置かれている規定です。

    民事執行法128条・129条・130条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    7. 131条のリストは固定ではありません|132条(範囲の変更)

    131条の次に置かれた132条の見出しは「差押禁止動産の範囲の変更」です。1項の原文は次のとおりです。

    執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押えの全部若しくは一部の取消しを命じ、又は前条各号に掲げる動産の差押えを許すことができる。

    条文は両方向に書かれています。すでにされた差押えの取消しを命じることができると同時に、「前条各号に掲げる動産」=131条のリストに載っている動産についても、差押えを許すことができると定めています。2項は事情の変更があったときの再度の変更について、3項は取消しの命令を求める申立てがあったときに執行裁判所が強制執行の停止を命じることができる旨を定めています。

    不服申立ては項によって書き方が異なり、4項は却下決定・差押えを許す決定に対する執行抗告ができる旨を、5項は「第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。」と定めています。申立ての手順・書式や見通しは、今回確認した一次情報に記載がないため扱いません。

    なお192条(動産執行の規定の準用)は、128条・131条・132条の規定は「一般の先取特権の実行としての動産競売」について準用すると書いています。同条は、それ以外の動産競売についての準用からは131条・132条等を除いています。

    民事執行法132条・192条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    8. 給料の差押えは、別の条文です

    131条が扱うのは動産です。給料や賃金は債権であり、差押禁止の規定は152条(差押禁止債権)に置かれています。152条1項は、そこに掲げる債権について「その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない」と定めており、その政令の額は施行令2条にあります(131条3号を受ける1条とは別の条です)。金額の内訳は給料の差押えはいくらまでかの記事で条文とともに確認できます。また、差押禁止債権の範囲の変更は153条にあり、動産の132条と並びの構造になっています。

    民事執行法(昭和54年法律第4号)152条・153条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/民事執行法施行令(昭和55年政令第230号)2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    9. 破産手続でも131条3号が参照されています

    131条は、強制執行の場面だけの条文ではありません。破産法(平成16年法律第75号・lawId=416AC0000000075)34条3項は、破産財団に属しない財産として次を掲げています(原文)。

    一 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
    二 差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項(同法第百九十二条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。

    1号は「131条3号に規定する額に二分の三を乗じた額」という書き方で、施行令1条の66万円がその計算の基礎になっています。2号は「差し押さえることができない財産」を掲げつつ、132条1項により差押えが許されたものを除いています。計算後の金額は自由財産の記事で扱っています。

    破産法(平成16年法律第75号)34条3項 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    10. この記事で扱わないこと

    個別の家財・家電・現金が131条のどの号に当たるか、132条の申立てをすべきか、認められる見込みがあるかは、いずれも個別の判断であり当サイトでは扱いません。執行官の実務上の取扱いも一次情報で確認できなかったため記載していません。手続そのものの公的な定義は債務整理の4つの方法・任意整理・個人再生・自己破産で、差押えの前段にあたる書面は支払督促が届いたらで確認できます。相談先は公式検索で実在を確認する手順と実在確認ナビ、費用は法テラスの費用立替制度・費用の目安、窓口は借金の相談窓口、返済額の計算は返済計算の道具をご覧ください。

    民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

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    よくある質問

    差押禁止動産は何条に書かれていますか?

    民事執行法131条です。条文の見出しは「差押禁止動産」で、柱書は「次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。」、続けて1号から14号までが列挙されています。条文にただし書は置かれていません。

    131条3号の「政令で定める額」はいくらですか?

    民事執行法施行令1条が「六十六万円とする」と定めています(同条は、法192条において準用する場合を含む旨も書いています)。3号の対象として条文が書いているのは「金銭」です。

    条文に載っている物なら、差し押さえられることはないのですか?

    132条1項は、執行裁判所が申立てにより「前条各号に掲げる動産の差押えを許すことができる」と定めています。逆に、同項は差押えの全部または一部の取消しを命じることができるとも定めています。個別の事案でどちらの判断がされるかについて、当サイトでは述べません。

    「債務者等」には家族も含まれますか?

    民事執行法97条1項が「債務者及びその者と生計を一にする同居の親族(婚姻又は縁組の届出をしていないが債務者と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にある者を含む。以下「債務者等」という。)」という形で「債務者等」の語を定めています(97条の見出しは「建物使用の許可」で、この語は同項の文中で定められています)。ただし131条の各号は主語が書き分けられており、9号は「債務者」、10号は「債務者又はその親族」と書かれています。

    給料の差押えにも131条が使われるのですか?

    131条は動産についての規定です。給料・賃金などの債権については152条(差押禁止債権)が別に置かれており、政令の額も施行令2条という別の条にあります。詳細は給料の差押えの記事で扱っています。


    民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/民事執行法施行令(昭和55年政令第230号) https://laws.e-gov.go.jp/law/355CO0000000230/破産法(平成16年法律第75号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075/裁判所「動産執行」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_13/index.html(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・裁判所)のみを根拠に作成しています。条文は民事執行法・民事執行法施行令・破産法の本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。個別の動産が131条各号に当たるかどうかの当てはめ、132条の申立ての手順・書式、執行官の実務上の取扱いは一次情報で確認できなかったため記載していません。確認できなかった項目は推測で補っていません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 亡くなった家族に借金があったとき|相続放棄の申述と「3か月」の条文を裁判所の公表情報と民法で確かめる

    亡くなった家族に借金があったとき|相続放棄の申述と「3か月」の条文を裁判所の公表情報と民法で確かめる

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    家族が亡くなった後に、見覚えのない請求書や督促の連絡が届いて、はじめて借金の存在を知ることがあります。この記事は、そこで出てくる相続放棄という手続が、公的な情報にどう書かれているのかを確認した記録です。根拠は裁判所の手続案内「相続の放棄の申述」・裁判手続 家事事件Q&Aと、e-Gov法令検索の民法の条文だけです。先に、一次情報にはっきり書かれている点を挙げます。①相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すること(民法896条)、②相続の放棄をしようとする者は家庭裁判所に申述しなければならないこと(同938条)、③放棄をした者はその相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされること(同939条)、④民法915条1項が「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」という期間を定めていること。

    一方で、この記事は、ある人の「3か月」がいつから数え始めるのか、間に合うのか間に合わないのかという個別の判断はしません。民法915条1項の起算点は「自己のために相続の開始があったことを知った時」と書かれており、それが具体的にいつかは事実関係の評価です。それは弁護士・司法書士の仕事であり、当サイトは条文と裁判所の説明に書かれていること以上を述べません。

    1. 裁判所が示す三つの選択肢|単純承認・相続放棄・限定承認

    裁判所の手続案内「相続の放棄の申述」は、冒頭の「1. 概要」で、相続が開始した場合に相続人が選べるものとして次の三つを挙げています(2026年9月12日確認・箇条書き3項目の原文)。

    相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
    相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
    被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

    同じ「1. 概要」は、この三つのうち後の二つについて次のように続けています(原文)。

    相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

    条文の側では、民法896条が相続の一般的効力を定めています。同条の見出しは「(相続の一般的効力)」で、本文は次のとおりです(原文)。

    相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

    そして民法920条(見出し「(単純承認の効力)」)は「相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。」と定めています。裁判所の説明にある「借金等の義務をすべて受け継ぐ」という表現は、この条文の「一切の権利義務」「無限に」という文言に対応しています。

    裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html(2026年9月12日確認)/民法(明治29年法律第89号・lawId=129AC0000000089)896条・920条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    2. 「3か月」はどの条文に書かれているか|民法915条

    期間の定めは民法915条にあります。同条の見出しは「(相続の承認又は放棄をすべき期間)」です。1項の全文は次のとおりです(原文・ただし書を含みます)。

    相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

    2項は調査について定めています(原文)。

    相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

    裁判所の手続案内も「3. 申述期間」で同じ期間を示しています(原文)。

    申述は,民法により自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。

    なお、死亡から時間が経っている場合について、裁判所の家事事件Q&Aに次の記載があります(「夫は数年前に死亡しているのですが,相続放棄の申述をすることはできるのですか。」への答えの全文・原文)。

    相続放棄の申述は,相続人が相続開始の原因たる事実(被相続人が亡くなったこと)及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知ったときから3か月以内に行わなければなりません。ただし,相続財産が全くないと信じ,かつそのように信じたことに相当な理由があるときなどは,相続財産の全部又は一部の存在を認識したときから3か月以内に申述すれば,相続放棄の申述が受理されることもあります。

    この記載は「受理されることもあります」という書き方です。当サイトは、個別の事情がこれに当たるかどうかを判断しません。また、民法916条は相続人が承認・放棄をしないで死亡した場合、民法917条は相続人が未成年者または成年被後見人である場合について、それぞれ915条1項の期間の起算点を別に定めています。

    民法(明治29年法律第89号)915条・916条・917条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html(2026年9月12日確認)/裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html(2026年9月12日確認)

    3. 放棄の方式と効力|民法938条・939条

    相続放棄の方式は民法938条(見出し「(相続の放棄の方式)」)に一文で定められています(原文)。

    相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

    効力は民法939条(見出し「(相続の放棄の効力)」)です(原文)。

    相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

    条文が申述先として書いているのは家庭裁判所です。債権者に「相続しません」と伝えることについて、938条は何も定めていません。この二つの条文の関係を、裁判所の家事事件Q&Aは「父の死亡後,父に多額の借金があることが分かりました。債権者から請求を受けないようにするために,よい方法はないでしょうか。」という問いへの答えとして、次のように説明しています(答えの全文・原文)。

    自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内であれば,相続放棄の申述(申立て)をすることができます。相続放棄の申述が受理されると,申述人は最初から相続人ではなかったことになりますので,被相続人の債務を相続により負担することはなくなります。

    なお、届いた請求が支払督促など裁判所を通じた書面である場合や、請求元が債権回収会社(サービサー)である場合、さらに古い債権について消滅時効の援用が問題になる場合は、それぞれ別の手続・別の制度の話です。当サイトは、どの制度を使うべきかという選択については述べません。

    民法(明治29年法律第89号)938条・939条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html(2026年9月12日確認)

    4. 申述人・申述先・費用・必要書類|裁判所の手続案内

    裁判所「相続の放棄の申述」が項目ごとに示している内容を、記載のまま表にします。

    項目裁判所のページの記載
    申述人相続人(相続人が未成年者または成年被後見人である場合には,その法定代理人が代理して申述します。)
    特別代理人未成年者と法定代理人が共同相続人であって未成年者のみが申述するとき(法定代理人が先に申述している場合を除く。)又は複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して申述するときには,当該未成年者について特別代理人の選任が必要です
    申述期間自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内
    申述先被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
    費用収入印紙800円分(申述人1人につき)/連絡用の郵便切手(「郵便料は裁判所ごとに異なります」と書かれています)
    必要書類【共通】1. 被相続人の住民票除票又は戸籍附票/2. 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
    申述人が配偶者の場合3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
    申述人が子・その代襲者(第一順位相続人)の場合3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本/4. 代襲相続人(孫,ひ孫等)の場合は被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本
    申述人が父母・祖父母等(第二順位相続人)/兄弟姉妹・その代襲者(第三順位相続人)の場合3. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本 ほか(いずれも「先順位相続人等から提出済みのものは添付不要」と書かれています)
    裁判所「相続の放棄の申述」の2・3・4・5・6項の記載を項目に分けたもの(2026年9月12日確認)。書類の一覧は要約しており、全文はリンク先をご覧ください。

    ページには、申述書の書式と記載例(申述人が成人の場合・未成年の場合)が掲載されている旨の記載もあります。また、同じ被相続人について期間伸長事件または相続放棄申述受理事件が先行している場合、その事件で提出済みの書類は不要と書かれています。郵便料(連絡用の郵便切手)の金額は裁判所ごとに異なるとされており、当サイトでは具体額を記載しません。

    裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html(2026年9月12日確認)

    5. 期間内に放棄も限定承認もしなかったとき|民法921条

    民法921条の見出しは「(法定単純承認)」です。1項の全文(柱書と1号から3号)は次のとおりです(原文)。

    次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
    一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
    二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
    三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

    条文が並べているのは次の三つです。以下は条文の文言の整理であり、当サイトによる解釈ではありません。

    • 1号=相続財産の全部または一部を処分したとき(保存行為と、民法602条に定める期間を超えない賃貸は除かれると書かれています)。
    • 2号=915条1項の期間内に限定承認も相続放棄もしなかったとき。
    • 3号=限定承認または放棄をした後でも、相続財産を隠匿し、ひそかに消費し、または悪意で財産目録に記載しなかったとき(放棄によって相続人となった者が承認した後は除くと書かれています)。

    そして民法919条1項は「相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。」と定めています(2項以下は、総則・親族編の規定による取消しを妨げないこと、その取消権の期間、取消しの申述について定めています)。どの行為が921条1項1号の「処分」に当たるかという判断は、当サイトでは行いません。

    民法(明治29年法律第89号)919条・921条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    6. 3か月では決められないとき|期間の伸長と限定承認

    民法915条1項ただし書は、期間を家庭裁判所において伸長できると定めています。これに対応する手続として、裁判所は「相続の承認又は放棄の期間の伸長」のページを置いています(2026年9月12日確認・「1. 概要」の原文)。

    相続人は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に,単純承認,限定承認又は相続放棄をしなければなりません。もっとも,この熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても,なお,単純承認,限定承認又は相続放棄のいずれをするかを決定できない場合には,家庭裁判所は,申立てにより,この3か月の熟慮期間を伸長することができます。

    同ページの記載は次のとおりです。申立人は「利害関係人(相続人も含む。)」「検察官」、申立先は「被相続人の最後の住所地の家庭裁判所」、費用は「収入印紙800円分(相続人1人につき)」と「連絡用の郵便切手」。そして「6. その他」に「申立ては,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にする必要があります。」と書かれています。

    もう一つの選択肢である限定承認について、民法924条(見出し「(限定承認の方式)」)は「相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。」と定め、民法923条(見出し「(共同相続人の限定承認)」)は「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。」と定めています。裁判所「相続の限定承認の申述」も、申述人を「相続人全員が共同して行う必要があります。」、費用を「収入印紙800円分」「連絡用の郵便切手」と記載しています。家事事件Q&Aの記載は次のとおりです(答えの全文・原文)。

    限定承認の申述は,共同相続人全員で行わなければなりませんので,一部の人だけで行うことはできません。
    なお,相続放棄をした人は,相続人ではなかったものとみなされるので,それ以外の共同相続人全員で申述することになります。

    裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html(2026年9月12日確認)/裁判所「相続の限定承認の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_14/index.html(2026年9月12日確認)/裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html(2026年9月12日確認)/民法(明治29年法律第89号)915条・923条・924条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    7. 申述が受理された後に書かれていること

    裁判所の家事事件Q&Aは、「相続放棄の申述が受理されたときは,どのような手続をすればよいのですか。」という問いに次のように答えています(答えの全文・原文)。

    亡くなった人の財産を管理している場合は,相続人に引き継ぐことになります。また,債権者から債務の請求をされている場合には,債権者に対して,家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されたことを連絡するのがよいかと思われます。

    受理の証明書については、同じQ&Aに次の記載があります(答えの全文・原文。ダウンロード先を案内する括弧書きのみ「(中略)」としています)。

    申請書に(中略)必要事項を記入し,150円分の収入印紙,郵送の場合には返信用の郵便切手を添えて,受理をした家庭裁判所に申請してください。直接,受理した家庭裁判所まで申請にいらっしゃるときは,印鑑及び受理通知書や運転免許証などの本人を確認することができるものを持参してください。

    条文の側には、放棄をした人の財産の取扱いについての定めがあります。民法940条1項(見出し「(相続の放棄をした者による管理)」)の全文です(原文)。

    相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

    また、939条により放棄をした人は初めから相続人とならなかったものとみなされるため、誰が相続人となるかは民法の順位の規定に戻ります。887条1項は「被相続人の子は、相続人となる。」、890条は「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」と定めています。889条1項の全文は次のとおりです(原文)。

    次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
    一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
    二 被相続人の兄弟姉妹

    具体的な事案で誰が相続人となるかの判定は、当サイトでは行いません。条文に書かれているのは、上の順位の相続人となるべき者がない場合に次の順位の者が相続人となる、という順序です。

    裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html(2026年9月12日確認)/民法(明治29年法律第89号)887条・889条・890条・939条・940条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    8. この記事で扱わないこと

    期間の起算点が具体的にいつかという評価、申述が受理されるかどうかの見通し、放棄と限定承認のどちらを選ぶか、放棄をした場合に次の順位の親族にどう連絡するかは、いずれも個別の判断であり、当サイトでは扱いません。亡くなった方の借金ではなく自分自身の借金についての手続は債務整理の4つの方法で、手続ごとの公的な定義は任意整理・自己破産・個人再生・特定調停で確認できます。相談先を探す前には弁護士・司法書士が実在するかを公式検索で確認する手順と実在確認ナビ、司法書士の業務範囲(140万円)、なりすましへの注意をあわせてご覧ください。費用については法テラスの無料法律相談の条件と費用立替制度、公的な窓口は借金の相談窓口にまとめています。

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    よくある質問

    相続放棄は債権者に連絡すればよいのですか?

    民法938条は「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。」と定めています。条文が申述先として書いているのは家庭裁判所です。裁判所の家事事件Q&Aは、申述が受理された後について「債権者から債務の請求をされている場合には,債権者に対して,家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されたことを連絡するのがよいかと思われます。」と記載しています(2026年9月12日確認)。

    相続放棄の申述にかかる費用はいくらですか?

    裁判所「相続の放棄の申述」は、申述に必要な費用として「収入印紙800円分(申述人1人につき)」と「連絡用の郵便切手」を挙げています。郵便料は裁判所ごとに異なると書かれているため、当サイトでは具体額を記載していません。受理の証明書の申請については、家事事件Q&Aに「150円分の収入印紙」と郵送の場合の返信用の郵便切手の記載があります(2026年9月12日確認)。

    3か月を過ぎたら申述はできないのですか?

    民法915条1項は「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」と定め、ただし書で利害関係人または検察官の請求により家庭裁判所において伸長できるとしています。また裁判所の家事事件Q&Aは、相続財産が全くないと信じ、かつそう信じたことに相当な理由があるときなどについて「相続財産の全部又は一部の存在を認識したときから3か月以内に申述すれば,相続放棄の申述が受理されることもあります。」と記載しています。個別の事案がこれに当たるかどうかの判断は当サイトでは行いません。弁護士・司法書士にご相談ください。

    相続放棄をすると、ほかの親族に影響しますか?

    民法939条は、相続の放棄をした者はその相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなすと定めています。誰が相続人となるかは民法887条・889条・890条の順位の規定によります。889条1項は、887条により相続人となるべき者がない場合に、直系尊属、次いで兄弟姉妹が順位に従って相続人となると定めています。具体的な事案で誰が相続人となるかの判定は当サイトでは行いません。


    裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html/裁判所「相続の限定承認の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_14/index.html/裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html/裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kazi/index.html/民法(明治29年法律第89号) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(裁判所の手続案内・裁判手続 家事事件Q&A、e-Gov法令検索の民法)のみを根拠に作成しています。条文は民法の本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。期間の起算点の具体的な判断、申述が受理されるかどうかの見通し、郵便料(連絡用の郵便切手)の金額、家庭裁判所ごとの運用は一次情報で確認できなかったため記載していません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 預金が差し押さえられる仕組み|債権執行の手続と第三債務者への陳述催告を民事執行法の条文と裁判所の公表情報で確かめる

    預金が差し押さえられる仕組み|債権執行の手続と第三債務者への陳述催告を民事執行法の条文と裁判所の公表情報で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    預金の口座が差し押さえられるとき、法律の側では「債権執行」という手続が動いています。先に結論として、確認できたのは次の5点です。①手続は執行裁判所の差押命令で始まる(民事執行法143条)②差押命令は債務者に取立て等を、第三債務者に債務者への弁済を禁止する(145条1項)③効力は差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる(145条5項)④差押債権者の申立てがあれば、第三債務者は2週間以内に債権の存否等を陳述するよう催告される(147条1項)⑤差押禁止債権を定める152条1項各号・2項の列挙に、預貯金債権は現れない。根拠はe-Gov法令検索の本則と裁判所の公表情報だけです。給料の「4分の3・33万円」は152条と施行令2条の話で、給料の差押えはいくらまでかで扱っています。本記事は預貯金債権の側であり、個別の事案でいくら残るかは述べません。

    1. 預金の差押えは「債権執行」という手続|民事執行法143条・144条

    裁判所の手続案内「債権執行(債務名義に基づく差押え)」は、この手続の概要をこう説明しています(原文・2026年9月12日確認)。

    判決や和解調書どおりにお金が支払われない場合などに、債務者の給与や銀行預金等を差し押さえ、債権者が債務者の勤務先や銀行等から支払を受けること等により、債権を回収する手続です。

    法律上の入口は民事執行法143条です。e-Gov法令検索で民事執行法(昭和54年法律第4号・lawId=354AC0000000004)の本則を確認しました(2026年9月12日)。見出しは「債権執行の開始」です(原文)。

    金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。

    どの裁判所が扱うかは144条にあります(原文)。

    1 債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
    2 差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。

    「第三債務者」という語は、この144条2項のかっこ書きで定義されています。裁判所の手続案内も、申立先を「原則として、債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。」、費用を「手数料(原則として4000円)及び郵便料」(郵便料は裁判所ごとに異なると明記)と書き、申立て前に債務名義の取得が要ると記載しています。143条が除く少額訴訟債権執行は、167条の2第2項が「裁判所書記官の差押処分により開始する。」と定めます。債務名義の入口の1つは支払督促が届いたらで扱っています。

    民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「債権執行(債務名義に基づく差押え)」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_08/index.html(2026年9月12日確認)

    2. 差押命令は何を禁止し、いつ効力が生じるか|民事執行法145条

    145条の見出しは「差押命令」です。1項から3項と5項は次のとおりです(原文)。

    1 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
    2 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
    3 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
    5 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。

    145条の項条文が書いていること
    1項債務者に債権の取立てその他の処分を禁止し、第三債務者に債務者への弁済を禁止する
    2項差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する
    3項債務者及び第三債務者に送達しなければならない
    4項裁判所書記官は、送達に際し、債務者に対し、153条1項・2項による差押命令の取消しの申立てができる旨その他最高裁判所規則で定める事項を教示しなければならない
    5項効力は第三債務者に送達された時に生ずる
    6項差押命令の申立てについての裁判に対しては執行抗告をすることができる
    7項・8項債務者に送達できない場合、執行裁判所は差押債権者に送達場所の申出(場合により公示送達の申立て)を命ずることができ、申出がないときは差押命令を取り消すことができる
    民事執行法145条の各項。1項から3項・5項は原文、4項・6項から8項は条文の要旨です。

    裁判所の手続案内も「3 差押え」で「差押命令が第三債務者に送達されると、差押えの効力が生じます。」と説明しており、効力が生じる時点は条文と同じです。2項が「審尋しないで発する」と書いているため、条文上、差押命令は当事者の言い分を聴く手続を経ずに発せられます。これは条文にそう書かれているという指摘であり、当サイトの評価ではありません。

    民事執行法(昭和54年法律第4号)145条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「債権執行(債務名義に基づく差押え)」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_08/index.html(2026年9月12日確認)

    3. 差押えの範囲|民事執行法146条・149条

    146条の見出しは「差押えの範囲」、149条は差押えが一部競合した場合の効力の規定です(いずれも原文)。

    第百四十六条 1 執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
    2 差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。
    第百四十九条 債権の一部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。

    民事執行法(昭和54年法律第4号)146条・149条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

    4. 銀行に債権の存否を答えさせる手続|民事執行法147条の陳述の催告

    裁判所の手続案内は、手続の流れの「1 申立て」で次のように書いています(原文・2026年9月12日確認)。

    差押えの対象となる債権が現実に存在するかどうかやその額等を知りたい場合には、陳述催告の申立て(第三債務者に対して、差押債権の有無などにつき回答を求める申立て)をすることができます。陳述催告の申立ては、債権差押命令申立てと同時にしてください。

    その根拠が147条です。見出しは「第三債務者の陳述の催告」です(原文)。

    1 差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
    2 第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

    条文の部分書かれていること
    きっかけ差押債権者の申立てがあるとき(申立てがなければ催告は行われない書き方になっています)
    誰が催告するか裁判所書記官
    いつ差押命令を送達するに際し
    誰に第三債務者
    期限差押命令の送達の日から二週間以内
    何を差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項
    答えなかった場合故意又は過失により陳述をしなかったとき、または不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる(2項)
    民事執行法147条1項・2項の文言を項目に分けたもの。表現はいずれも条文の語です。

    147条1項は、陳述すべき事項の細目を「その他の最高裁判所規則で定める事項」として規則に委ねています。本記事は法律(民事執行法)の条文の範囲で書いており、規則の各条の内容は扱っていません(145条4項・207条1項各号が同じ言い方で委ねている事項も同じ)。なお、裁判所の規則集の子ページ「民事事件関係(50音順)」には「民事執行規則(PDF:1.14MB)」が公開されています(2026年9月12日確認)。

    民事執行法(昭和54年法律第4号)147条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「債権執行(債務名義に基づく差押え)」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_08/index.html(2026年9月12日確認)/裁判所「規則集」内「民事事件関係(50音順)」 https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/kisokusyu/minzi_kisoku/index.html(2026年9月12日確認)

    5. 取り立てられるのはいつか|155条1項の「一週間」と156条の供託

    155条1項と2項は次のとおりです(原文)。

    1 金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
    2 差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「一週間」とあるのは、「四週間」とする。

    2項が読み替えの対象として挙げているのは152条1項各号・2項の債権だけで、預貯金債権はその列挙に現れません。これは条文の構成についての指摘です。裁判所の民事事件Q&A(債権執行手続)も、取立てについて次のように書いています(原文)。

    債権者は、債務者に対する差押命令の送達日から1週間(※)を経過すると、第三債務者からその債権を取り立てることができます(ただし、差押債権目録に記載した差押額を超えて支払を受けることはできません。)。
    ※給料等の差押えの場合で、養育費等の請求を含まない場合は4週間

    同Q&Aは、書面の出し分けの具体例として「預貯金債権の差押えにおいて、差押債権額が100万円、預貯金として存在した額が80万円で、80万円全額を取り立てた場合」を挙げ、第三債務者が支払わない場合については「第三債務者に対し、被差押債権の給付を求める訴え(取立訴訟といいます。)を提起して、債権の回収をはかることになります。」と記載しています(いずれも原文)。155条3項は、支払を受けたときは「その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。」と定めています。

    第三債務者の側には供託の規定があります。156条1項は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができると定め、2項は、差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令等の送達を受けたときなどについて供託しなければならないと定めています。裁判所の手続案内も「第三債務者が供託をした場合は、裁判所が配当等を行うので、直接取り立てることはできません。」と書いています。

    民事執行法(昭和54年法律第4号)155条・156条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「民事事件Q&A(債権執行手続)」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(2026年9月12日確認)/裁判所「債権執行(債務名義に基づく差押え)」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_08/index.html(2026年9月12日確認)

    6. 差押禁止債権を定める152条の列挙|預貯金債権は挙げられていない

    民事執行法152条の見出しは「差押禁止債権」です。1項各号・2項が挙げているのは次のものです(条文の語のまま)。

    条文の位置挙げられている債権
    152条1項1号債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
    152条1項2号給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
    152条2項退職手当及びその性質を有する給与に係る債権
    民事執行法152条1項各号・2項が列挙している債権。割合(四分の三)と政令で定める額は給料の差押えはいくらまでかで扱っています。

    今回取得した民事執行法の全文(e-Gov法令API)を機械で全文検索したところ、本則で「預貯金」という語が現れるのは207条(債務者の預貯金債権等に係る情報の取得)だけで、152条には現れませんでした(附則に読み替えが1か所ありますが、当サイトは附則を使用しません)。ここまでが、条文の構成として確認できた事実です。当サイトは、この事実から預貯金債権についての結論を導きません。

    なお153条1項は、差押禁止債権の範囲の変更を定めています(原文)。

    執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。

    3項は申立てがあったときの第三債務者への給付の禁止、4項は取消しの申立てを却下する決定に対する執行抗告を定めています。裁判所の民事事件Q&Aは、この差押範囲変更(減縮)の対象を「差押えによって債務者の生活に著しい支障が生じる場合(例えば、生活保護費や年金の振込口座が差し押さえられ、生活が成り立たなくなる場合)など」と書き、「また、差押範囲変更が認められても、債務者の債務が減るわけではありません。」とも記載しています(いずれも原文)。申立先・申立時期・裏付け資料の一覧は同じQ&Aを扱った記事にまとめています。

    民事執行法(昭和54年法律第4号)152条・153条・207条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「民事事件Q&A(債権執行手続)」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(2026年9月12日確認)

    7. どの金融機関かを調べる手続|民事執行法207条と民法466条の5

    差押えの前提として、債権者が口座の所在を調べる手続が207条に置かれています。見出しは「債務者の預貯金債権等に係る情報の取得」で、1項は、197条1項各号のいずれかに該当するときに、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、執行裁判所が情報の提供を命じなければならないと定めています。ただし、同項ただし書は「当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。」と定めており、命令が無条件になされる書き方ではありません。1号が挙げる「銀行等」には、条文上、銀行・信用金庫・労働金庫・信用協同組合・農業協同組合・漁業協同組合・農林中央金庫・株式会社商工組合中央金庫などが列挙されています。対象は、その銀行等に対する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権)への強制執行等の申立てに必要な事項として最高裁判所規則で定めるものです。207条1項が要件として参照する197条1項は次のとおりです(原文)。

    1 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
    一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。
    二 知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

    207条が参照する民法(明治29年法律第89号・lawId=129AC0000000089)466条の5は、見出しが「預金債権又は貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力」で、預貯金債権の定義を置いています(原文・2026年9月12日確認)。

    1 預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権(以下「預貯金債権」という。)について当事者がした譲渡制限の意思表示は、第四百六十六条第二項の規定にかかわらず、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。
    2 前項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた預貯金債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。

    裁判所の民事事件Q&A(情報取得手続)も、申立てには197条1項1号または2号の主張・立証が要ると書き、第三者について「㋒預貯金情報 銀行や信用金庫などの金融機関が第三者となります。2つ以上の金融機関を第三者として申し立てることもできます。」と記載しています(原文)。同Q&Aは、財産開示手続を先に行っている必要を㋐不動産情報・㋑勤務先情報のみに掛けており、㋒預貯金情報には掛けていません。

    民事執行法(昭和54年法律第4号)197条・207条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)/民法(明治29年法律第89号)466条の5 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月12日確認・本則から抽出)/裁判所「民事事件Q&A(情報取得手続)」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(2026年9月12日確認)

    8. この記事で扱わないこと

    どの手続を選ぶか、範囲変更の申立てと債務整理のどちらを先に検討するかは個別の判断であり、当サイトは扱いません。民事執行規則の各条の内容は、本記事の範囲外として扱いません。個別の金融機関の取扱い、差押禁止債権が口座に振り込まれた後の取扱い、裁判例は、本記事の範囲外として扱いません。手続ごとの公的な定義は債務整理の4つの方法と任意整理・自己破産・個人再生・特定調停、給料の差押えは給料の差押えはいくらまでか、手元に残る財産は自由財産、依頼の通知と取立ては受任通知で取立てが止まる仕組み、請求してきた相手の確認は債権回収会社(サービサー)は本物か、時効は消滅時効の援用で確認できます。相談先は借金の公的な相談窓口一覧、依頼先の実在確認は日弁連・日司連の検索で確認する手順と実在確認ナビ、費用は法テラスの無料法律相談の条件と費用立替制度、計算は返済計算の道具にあります。

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    よくある質問

    預金の差押えは、いつ効力が生じるのですか。

    民事執行法145条5項は「差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。」と定めています。裁判所の手続案内も「差押命令が第三債務者に送達されると、差押えの効力が生じます。」と説明しています。なお145条2項は「差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。」と定めています。

    銀行は、債権があるかどうかを答えるのですか。

    民事執行法147条1項は、差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官が差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならないと定めています。2項は、故意又は過失により陳述をしなかったとき、または不実の陳述をしたときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずると定めています。「その他の最高裁判所規則で定める事項」の細目は、本記事では扱いません。

    差し押さえられた預金は、いつ債権者に渡るのですか。

    民事執行法155条1項は、金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときはその債権を取り立てることができると定めています。155条2項が「一週間」を「四週間」と読み替える対象は152条1項各号に掲げる債権または同条2項に規定する債権で、預貯金債権はその列挙に現れません。第三債務者が156条により供託した場合について、裁判所は「裁判所が配当等を行うので、直接取り立てることはできません。」と説明しています。

    預金は差押禁止債権ではないのですか。

    民事執行法152条1項1号は「債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」、2号は「給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権」、2項は「退職手当及びその性質を有する給与に係る債権」を挙げています。今回確認した限り、本則で「預貯金」の語が現れるのは207条だけで、152条には現れませんでした。当サイトは、この条文の構成から先の結論は述べません。


    民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/民法(明治29年法律第89号) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/裁判所「債権執行(債務名義に基づく差押え)」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_08/index.html/裁判所「民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・裁判所)のみを根拠に作成しています。条文は民事執行法(昭和54年法律第4号)および民法(明治29年法律第89号)の本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。147条1項・145条4項・207条1項各号が「最高裁判所規則で定める」としている事項について、本記事は規則の各条の内容を扱っていません(裁判所の規則集の子ページには「民事執行規則(PDF:1.14MB)」が公開されています)。個別の金融機関の取扱い、差押禁止債権が口座に振り込まれた後の取扱い、裁判例は記載していません。裁判所の民事事件Q&Aは、各項目の冒頭に「【※運用に関する記載は、一例を記載したものであり、記載された内容と異なる運用をしている庁もあります。】」と注記しています。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 裁判所から訴状が届いたら|答弁書・第1回口頭弁論期日・欠席したときの扱いを裁判所の公表情報と民事訴訟法の条文で確かめる

    裁判所から訴状が届いたら|答弁書・第1回口頭弁論期日・欠席したときの扱いを裁判所の公表情報と民事訴訟法の条文で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    返済が滞っている状態で、裁判所から「訴状」と「口頭弁論期日呼出状」が届くことがあります。この記事は、その後に手続がどう進むのかを裁判所の公表情報とe-Gov法令検索の民事訴訟法の条文だけで確認した記録です。先に結論として、一次情報にはっきり書かれているのは次の3点です。①訴状は被告に送達され、裁判長が口頭弁論の期日を指定して当事者を呼び出すこと(民事訴訟法138条1項・139条)、②答弁書は「訴状に書いてある原告の請求、主張等に被告が返答する書面」で、その書式は裁判所のサイトに簡易裁判所用と地方裁判所用の2種類が掲載されていること、③被告が欠席した場合には、答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、原告の請求どおりの判決が言い渡される可能性があると裁判所が説明していること(民事訴訟法158条・159条)。請求に理由があるか、どう反論すべきかは、当サイトでは判断しません。

    1. 何が届くのか|訴状と呼出状

    裁判所の簡易裁判所の民事事件Q&A「訴訟の相手方になった場合はどうすればいいですか?」は、次のように説明しています(原文)。

    民事訴訟では、訴訟を起こす方を原告と、その相手方を被告と呼びます。(中略)被告になった場合には、裁判所から訴状と最初の期日の呼出状が送られますので、それらをよく読んでください。

    条文の側では、134条1項が「訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。」と定め、138条1項が「訴状は、被告に送達しなければならない。」、139条が「訴えの提起があったときは、裁判長は、口頭弁論の期日を指定し、当事者を呼び出さなければならない。」と定めています。裁判手続 民事事件Q&Aも、裁判官(裁判長)が訴状をチェックし、形式的に不備がなければ口頭弁論期日を指定して呼出状が送付されると書いています。どの裁判所から届くかについて、同Q&Aは「その価額が140万円以下の請求に係る民事訴訟については簡易裁判所が、それ以外の一般的な民事訴訟については地方裁判所が、それぞれ第一審裁判所となります」と説明しています。

    裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html/民事訴訟法(平成8年法律第109号)134条・138条・139条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

    2. 答弁書とは何か|裁判所の定義と条文

    裁判所は、答弁書を「訴状に書いてある原告の請求、主張等に被告が返答する書面」と定義しています(簡易裁判所の民事事件Q&A・裁判手続 民事事件Q&Aの括弧書き)。準備書面は「自分の主張や相手の主張に対する返答を書いた書面」と説明されています。

    条文上、答弁書は準備書面の一種として現れます。161条1項は「口頭弁論は、書面で準備しなければならない。」、同2項は準備書面の記載事項として1号「攻撃又は防御の方法」、2号「相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述」を挙げています。答弁書という語が直接出てくるのは162条1項です(原文)。

    裁判長は、答弁書若しくは特定の事項に関する主張を記載した準備書面の提出又は特定の事項に関する証拠の申出をすべき期間を定めることができる。

    同条2項は、その期間の経過後に提出する当事者は「その期間を遵守することができなかった理由を説明しなければならない」と定めています。つまり条文上、答弁書の提出期間は裁判長が定めることができる建て付けで、法律の側で一律の日数が決まっているわけではありません。個別の期限は届いた書面の記載でご確認ください。なお簡易裁判所には特則があり、276条1項は「口頭弁論は、書面で準備することを要しない。」と定めています。

    裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/民事訴訟法161条・162条・276条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

    3. 答弁書の書式は裁判所のサイトに掲載されています

    裁判所の「民事訴訟で使う書式」ページには、「答弁書」の見出しの下に「答弁書(簡裁)」と「答弁書(地裁)」の2種類が、それぞれ書式(Word)と【記載例】(PDF)で掲載されています(2026年9月12日確認)。ページの概要欄には「令和8年5月21日より前に訴えの提起があった事件(旧法適用事件)と令和 8 年5月21日以降に訴えの提起があった事件(新法適用事件)では、使用する書式が異なる場合があります」「民事裁判書類電子提出システム(mints)による申立ての場合は、書式への押印は不要です」と書かれています。

    ここは支払督促と違うところです。裁判所の「支払督促で使う書式」ページに掲載されているのは支払督促申立書・仮執行宣言申立書・取下書・送達場所等の届出書などで、督促異議申立書の書式は掲載されていません(同ページの本文に「異議」の語は現れません・2026年9月12日確認)。書式ファイルの中身は当サイトでは開いて確認していないため扱いません。

    裁判所「民事訴訟で使う書式」 https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_minzi_sosyou/index.html/裁判所「支払督促で使う書式」 https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_siharaitokusoku/index.html(いずれも2026年9月12日確認)

    4. 第1回口頭弁論期日には何が行われるのか

    裁判所の手続案内「民事訴訟」3(1)は次のように説明しています(原文)。

    口頭弁論は、公開の法廷において開かれます。原告(訴えた人)・被告(訴えられた人)又はその訴訟代理人が出頭した上(裁判所が相当と認めるときは、ウェブ会議の方法により手続に参加することができます)、事前に裁判所に提出した準備書面に基づいて主張を述べ、主張を裏付けるために証拠を提出することが要求されます。

    条文では87条1項が「当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。」と定めています。争点及び証拠の整理が必要な事件について、同案内の3(2)は「準備的口頭弁論、弁論準備手続、書面による準備手続の 3 種類」から裁判所が選ぶと書いています。訴訟は判決のほか、訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、裁判上の和解によっても終了します。簡易裁判所の民事事件Q&Aも「訴訟の途中でも、相手方が話合いに応ずれば、裁判所で話合いをして紛争を解決することもできます。これを和解といいます」と説明しています。

    裁判所「民事訴訟」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_20/index.html/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/民事訴訟法87条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

    5. 答弁書を出さず期日にも行かなかった場合

    裁判所は同じ趣旨の注意書きを3か所に書いています(いずれも2026年9月12日確認・原文)。

    掲載場所裁判所の記載
    手続案内「民事訴訟」3(1)被告が欠席した場合には、被告が答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、不利な内容の判決が言い渡される可能性があります
    裁判手続 民事事件Q&A被告が欠席した場合には、被告が答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、原告の請求通りの判決が言い渡される可能性があります
    簡易裁判所の民事事件Q&A被告が決められた最初の期日に出頭せず、答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、原告の請求どおりの判決が出ることがありますので、御注意ください
    裁判所が公表している3ページの記載。いずれも「答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り」という条件付きの書き方です。

    対応する条文は2つです。158条(訴状等の陳述の擬制)は「原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。」と定めています。159条(自白の擬制)1項は「当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。」(ただし書あり)と定め、3項が「第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。」と定めています。158条は「提出した書面に書いた事項を陳述したものとみなす」規定なので、書面を出していなければみなされる中身がありません。裁判所の3つの記載は、この条文の構造と整合しています。

    期日に行けない場合について裁判所が書いていること

    簡易裁判所の民事事件Q&Aは「決められた期日に、病気などの理由で裁判所に来られない場合には、簡易裁判所の担当の裁判所書記官に御相談ください。やむを得ない場合には、期日を変更することもあります。その場合には、事情を証明する診断書などの書類を提出していただくことがあります。原則として、仕事の都合だけで期日を変更することはできませんから、御注意ください」と説明しています。期日が変更されることが「ある」という書き方であって、変更されると書かれているわけではありません。個別の事案の見通しは当サイトでは述べません。

    裁判所「民事訴訟」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_20/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/民事訴訟法158条・159条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

    6. 支払督促から移ってきた場合と、少額訴訟の場合

    先に支払督促が届き、督促異議を申し立てた後に期日の呼出しが来ることもあります。395条は「適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。」と定めています。条文上、督促異議は手続の終わりではなく訴えの提起があったものとみなされる入口で、その先はこの記事の1〜5で見た手続になります。支払督促そのものの仕組みは支払督促が届いたらで条文をたどっています。

    届いた書面が少額訴訟のものである場合は、同封物と不服申立ての形が異なります。368条1項は「簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。」と定めています(ただし書は年間の回数を「最高裁判所規則で定める回数」としており、当サイトは規則の原文を確認していないため具体的な回数は書きません)。簡易裁判所の民事事件Q&Aは、相手方には「訴状と一緒に口頭弁論期日呼出状、少額訴訟手続の内容を説明した書面、答弁書用紙、事情説明書といった書面が同封されています」と書いています。373条1項は被告が通常の手続に移行させる旨の申述をできること、378条1項は少額訴訟の終局判決に対して送達を受けた日から二週間の不変期間内にその判決をした裁判所に異議を申し立てられることを定めています。通常訴訟の控訴期間は285条が「二週間の不変期間」と定めています。当サイトは、届いた日付から「いつまでなら間に合う」といった期限の言い換えや計算はしません。

    民事訴訟法285条・368条・373条・378条・395条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

    7. 費用について裁判所が挙げている制度と、この記事で扱わないこと

    裁判所の手続案内「民事訴訟」は費用の項で「訴訟費用を支払う資力の乏しい当事者の方でも、裁判を受ける権利を保障するため、訴訟費用の支払を猶予する制度(「訴訟上の救助」といいます。)が設けられています。ただし、申立ての内容等から勝訴の見込みがないことが明らかなときは、認められないことがあります。」と書き、日本司法支援センター(法テラス)の「民事法律扶助による立替制度」にも触れています。裁判手続 民事事件Q&Aは、弁護士費用は訴訟費用に含まれないとも書いています。法テラスの収入・資産基準は法テラスの費用立替制度、無料法律相談の条件は無料法律相談の条件で確認できます。申立手数料の金額は、裁判所の「手数料早見表」(PDF)を開いて確認していないため書きません。

    請求されている金額が正しいか、答弁書にどう書くべきか、争った結果どうなるかは、いずれも個別の判断です。当サイトはこれらを扱いません。相談に持っていく資料は債務整理の相談に持っていく資料、取引履歴を取り寄せる根拠条文は取引履歴の開示請求とはにまとめています。手続ごとの公的な定義は債務整理の4つの方法と、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産で確認できます。依頼した場合の取立て規制は受任通知と貸金業法21条1項9号、司法書士が扱える範囲は司法書士の「140万円」、請求元が債権回収会社の場合はサービサーの許可一覧での照合手順、時効の制度は消滅時効の援用とは、判決後の差押えの範囲は給料の差押えはいくらまでかをご覧ください。相談先を選ぶ前には日弁連・日司連の公式検索で実在を確認する手順と実在確認ナビ、公的窓口は借金の相談窓口にあります。

    裁判所「民事訴訟」2(3) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_20/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(いずれも2026年9月12日確認)

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    よくある質問

    答弁書とは何ですか?

    裁判所は、答弁書を「訴状に書いてある原告の請求、主張等に被告が返答する書面」と説明しています(簡易裁判所の民事事件Q&A・裁判手続 民事事件Q&A、2026年9月12日確認)。条文上は準備書面の一種で、民事訴訟法161条1項が「口頭弁論は、書面で準備しなければならない。」と定め、162条1項が、裁判長は答弁書等の提出をすべき期間を定めることができると定めています。

    答弁書の書式はどこにありますか?

    裁判所の「民事訴訟で使う書式」ページに、「答弁書(簡裁)」と「答弁書(地裁)」の2種類が、それぞれ書式(Word)と【記載例】(PDF)で掲載されています(2026年9月12日確認)。同ページは、令和8年5月21日より前に訴えの提起があった事件と同日以降に訴えの提起があった事件では使用する書式が異なる場合があると注意しています。

    期日に出席しないとどうなりますか?

    裁判所は「被告が欠席した場合には、被告が答弁書等において原告の請求を争う意図を明らかにしていない限り、原告の請求通りの判決が言い渡される可能性があります」と説明しています(裁判手続 民事事件Q&A、2026年9月12日確認)。条文では、民事訴訟法158条が、最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しないときは提出した訴状・答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなすと定め、159条3項が、出頭しない場合に同条1項(争うことを明らかにしない事実は自白したものとみなす)を準用すると定めています。個別の事案の見通しは当サイトでは述べませんので、弁護士・司法書士にご相談ください。

    支払督促に異議を出した後に届いた場合も同じ手続ですか?

    民事訴訟法395条は、適法な督促異議の申立てがあったときは、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に簡易裁判所または地方裁判所に訴えの提起があったものとみなすと定めています。条文上は訴えの提起があったものとして扱われる形です。支払督促そのものの仕組みは支払督促が届いたらにまとめています。


    裁判所「民事訴訟」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_20/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/裁判所「民事訴訟で使う書式」 https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_minzi_sosyou/index.html/裁判所「支払督促で使う書式」 https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_siharaitokusoku/index.html/民事訴訟法(平成8年法律第109号) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(裁判所の手続案内「民事訴訟」・裁判手続 民事事件Q&A・簡易裁判所の民事事件Q&A・民事訴訟で使う書式・支払督促で使う書式、e-Gov法令検索の民事訴訟法)のみを根拠に作成しています。条文はいずれも本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。民事訴訟規則の条文(e-Gov法令APIで取得できませんでした)、申立手数料の金額(裁判所の手数料早見表PDF)、答弁書の書式ファイルの中身、少額訴訟の年間利用回数の上限、mintsの操作手順、個別の事案の見通しは一次情報で確認できなかった、または判断の対象となるため記載していません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 信用情報はいつまで登録されるのか|CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターが公表する登録期間の表をそのまま確かめる

    信用情報はいつまで登録されるのか|CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターが公表する登録期間の表をそのまま確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    クレジットカードやローンの契約に関する情報は、信用情報機関に一定の期間登録されます。この記事は、その期間が各機関の公表ページにどう書かれているのかを、株式会社シー・アイ・シー(CIC)・株式会社日本信用情報機構(JICC)・全国銀行個人信用情報センター(一般社団法人全国銀行協会が設置・運営)の公式サイトと、e-Gov法令検索の貸金業法の条文だけで確認した記録です。先に結論として、一次情報にはっきり書かれているのは次の3点です。①3機関はいずれも情報の種類ごとの期間を表にして公表していること、②呼び名はCICが「保有期間」、JICCと全国銀行個人信用情報センターが「登録期間」であること、③同じ「5年」でも起算点の書き方が機関ごとに違うこと。期間が過ぎた後に審査やクレジットの利用がどうなるかについては、どの一次情報にも記載がないため、当サイトでは述べません。

    1. 3機関が公表している期間の対照表

    まず、3機関の表を同じ観点で並べます。枠内はいずれも各機関の公表ページの文言をそのまま写したものです(要約・言い換えはしていません)。情報の区分の切り方そのものが機関ごとに違うため、行はおおよその対応にとどまります。

    おおよその内容CIC(保有期間)JICC(登録期間)全国銀行個人信用情報センター(登録期間)
    申込み・照会の記録申込情報=照会日より6ヶ月間
    利用記録=利用日より6ヶ月間
    申込みに関する情報=照会日から6か月以内照会記録情報=当該利用日から、本人開示の対象は1年を超えない期間、会員への提供は6か月を超えない期間
    契約の内容と支払・返済の状況クレジット情報=契約期間中および契約終了後5年以内契約内容に関する情報/返済状況に関する情報=契約継続中及び契約終了後5年以内(契約日2019/10/1以降の場合)取引情報=契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間
    官報に公告された破産・民事再生手続開始決定公表されている表に該当する区分は見当たりません公表されている表に該当する区分は見当たりません官報情報=当該決定日から7年を超えない期間
    本人が申告した内容本人申告情報=登録日より5年以内本人申告コメント情報=登録日から5年以内本人申告情報=登録日から5年を超えない期間
    貸付自粛の申告協会依頼情報=登録日より5年以内貸付自粛依頼情報=申請日から5年以内貸付自粛情報=申告日から5年を超えない期間
    3機関の公表ページに掲載されている期間(2026年9月12日確認)。各機関で情報の区分名も期間の書き方も異なります。

    同じ「5年」という数字でも、CICは「契約終了後5年以内」、JICCは「契約継続中及び契約終了後5年以内」、全国銀行個人信用情報センターは「契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間」と、起算点と言い回しがそれぞれ違います。当サイトはこれらを1つの数字にまとめ直すことはしません。以下、機関ごとに表の全体を確認します。

    CIC「CICが保有する信用情報」 https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html/JICC「信用情報の内容と登録期間」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration/全国銀行協会「センターの概要」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/(いずれも2026年9月12日確認)

    2. CIC|表の見出しは「保有期間」

    CICは「CICが保有する信用情報」というページで、情報の種類ごとの保有期間を公表しています。柱書にはこう書かれています(原文)。

    また、CICに登録されている信用情報は、情報の種類ごとに以下の期間登録され、期間が過ぎた情報は自動的に抹消されます。

    情報の種類ページ上の概要保有期間
    申込情報クレジットやローンの新規申込みにおける支払能力を調査するため、加盟会員が照会した事実を表す情報照会日より6ヶ月間
    クレジット情報加盟会員と締結した契約の内容や支払状況を表す情報契約期間中および契約終了後5年以内
    利用記録クレジットやローンの利用途上における支払能力を調査するなどのため、加盟会員が照会した事実を表す記録利用日より6ヶ月間
    クレジット・ガイダンス情報信用情報のうち、属性(年齢・性別・勤務先・居住地等)に関する項目を除外した客観的な取引事実をCICが分析のうえ算出した情報(情報項目は「指数」「算出理由」)契約期間中および契約終了後5年以内
    電話帳掲載情報電話帳に掲載された内容を表す情報最終の記録年月より2.5年以内
    協会依頼情報日本貸金業協会または全国銀行協会(全国銀行個人信用情報センター)の貸付自粛制度を通じて申告者がCICに登録を依頼した内容を表す情報登録日より5年以内
    本人申告情報ご本人がCICに申告した内容を表す情報登録日より5年以内
    CIC「CICが保有する信用情報」の掲載内容(2026年9月12日確認)。

    このうち本人申告情報には「ご本人からの申し出により、期間内であっても削除することができます。」という注記が、協会依頼情報には「当情報の削除はCICでは受け付けていません。詳しくは、日本貸金業協会にお問い合わせください。」という注記が付いています。電話帳掲載情報については「第三者への提供を停止することができます」と書かれています。

    また、クレジット情報の「お支払状況に関する情報」の項目として、ページには「報告日、残債額、請求額、入金額、入金履歴、異動(延滞・保証履行・破産)の有無、異動発生日、延滞解消日、終了状況等」が挙げられています。「異動」という語は、ここでは登録される項目名として出てくるだけで、独立した定義は同ページに置かれていません。

    登録・更新のサイクルについては「『貸金業法に基づく登録情報』は日次登録・更新、その他は月次登録・更新となります。」と書かれています。なお、契約の形態や支払状況によって登録される項目は異なるため、掲載項目のすべてが常に登録されるわけではない、という趣旨の注意書きも同ページにあります。

    CIC「CICが保有する信用情報」 https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html/CIC「信用情報早わかり!」 https://www.cic.co.jp/confidence/glance.html(2026年9月12日確認)

    3. JICC|表は契約日2019年9月30日以前/10月1日以降で分かれる

    JICCは「信用情報の内容と登録期間」というページで、登録期間を公表しています。柱書は「また、登録情報には、一定の登録期間を定めています。」です。JICCの表の特徴は、契約日が2019年9月30日以前か、2019年10月1日以降かで登録期間の書き方が分かれている点です。

    情報の種類契約日 2019/9/30 以前契約日 2019/10/1 以降
    本人を特定するための情報契約内容に関する情報等が登録されている期間
    契約内容に関する情報
    (登録会員名、契約の種類、契約日、貸付日、契約金額、貸付金額、保証額等)
    契約継続中及び完済日から5年を超えない期間契約継続中及び契約終了後5年以内(※)
    返済状況に関する情報
    (入金日、入金予定日、残高金額、完済日、延滞等)
    契約継続中及び完済日から5年を超えない期間(ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間)契約継続中及び契約終了後5年以内(※)
    取引事実に関する情報
    (債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等)
    当該事実の発生日から5年を超えない期間(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間)契約継続中及び契約終了後5年以内(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年以内)
    申込みに関する情報照会日から6か月以内
    本人申告コメント情報登録日から5年以内(ご本人から削除依頼があった場合はその時点まで)
    貸付自粛依頼情報申請日から5年以内(ご本人等から削除依頼があった場合はその時点まで)
    JICC「信用情報の内容と登録期間」のうち、個人に関する信用情報の掲載内容(2026年9月12日確認)。同ページには法人に関する信用情報の表もありますが、本記事では扱っていません。

    表の(※)には、次の注が付いています(原文)。

    包括契約について次のどちらかに該当するときは、契約終了後5年を経過したものとみなします。
    ① 残高「0円」となる入金後、解約することなく残高「0円」のまま5年を経過した場合(延滞解消または取引事実に関する情報が付帯している場合を除きます。)
    ② 契約後、一度も残高が発生することなく5年を経過した場合

    ここで注目しておきたいのは、「取引事実に関する情報」の内容として挙げられている語のなかに「債務整理」「破産申立」が含まれていることです。ただし、どの手続をいつ行うと、どの時点で何が登録されるのかという条件は、同ページには書かれていません。手続そのものの公的な定義は債務整理の4つの方法、任意整理、自己破産、個人再生、特定調停の各記事で確認できます。

    JICC「信用情報の内容と登録期間」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration(2026年9月12日確認)

    4. 全国銀行個人信用情報センター|官報情報だけ7年

    全国銀行個人信用情報センターは、一般社団法人全国銀行協会が設置・運営する個人信用情報機関です。「センターの概要」のページに「情報の登録期間」という見出しの表があり、柱書はこうです(原文)。

    センターに登録される個人信用情報とその登録期間は次のとおりです。なお、各情報は、登録期間経過後に自動的に削除されます。

    登録情報内容登録期間
    取引情報ローンやクレジットカード等の契約内容とその返済状況(入金の有無、延滞・代位弁済・強制回収手続等の事実を含む)の履歴契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間
    照会記録情報会員がセンターを利用した日、ローンやクレジットカード等の申込み・契約の内容等当該利用日から、本人開示の対象は1年を超えない期間、会員への提供は6か月を超えない期間
    官報情報官報に公告された破産・民事再生手続開始決定当該決定日から7年を超えない期間
    本人申告情報本人確認資料の紛失・盗難、同姓同名別人の情報がセンターに登録されており自分と間違えられるおそれがある旨等のご本人からの申告内容登録日から5年を超えない期間
    貸付自粛情報ご本人に浪費の習癖があることやギャンブル等依存症によりご本人やその家族の生活に支障を生じさせるおそれがあることから、自らを自粛対象者とする旨のご本人からの申告内容申告日から5年を超えない期間
    全国銀行協会「センターの概要」の「情報の登録期間」(2026年9月12日確認)。

    3機関の表のなかで、官報に公告された破産・民事再生手続開始決定を独立の区分として掲げているのは、全国銀行個人信用情報センターだけです。この7年という数字には経緯があり、同センターは2022年11月4日付のお知らせで次のように公表しています(原文)。

    当センターに登録されている個人信用情報のうち、不渡情報について、令和4年11月4日をもってセンターへの登録および会員への提供を取りやめることといたしました。(中略)また、官報情報については、登録期間を10年間から7年間に短縮しておりますので併せてご報告いたします。

    同じページには、照会と開示についての注記(2文)もあります(原文)。「会員から当センターへの情報の照会に対し、登録元会員名(取引金融機関)は回答されません。また、お客さまが開示した記録は、会員に回答されません。」表の外に置かれた1つの注記であり、当サイトはこれ以上の説明を加えません。

    全国銀行協会「センターの概要」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about//同「一部情報の登録終了および登録期間の短縮について」(2022年11月4日) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/info/18379/(2026年9月12日確認)

    5. 用語の確認|「保有期間」「登録期間」「異動」はそれぞれの機関の言葉

    この分野の言葉は機関ごとに違います。読み替えずに、どの機関の表を見ているのかを意識したほうが正確です。

    • 保有期間=CICが情報の種類ごとの期間に付けている見出しの語。
    • 登録期間=JICCと全国銀行個人信用情報センターが同じ趣旨で使っている見出しの語。
    • 異動=CICがクレジット情報の項目名として挙げている語で、「異動(延滞・保証履行・破産)の有無」「異動発生日」という形で出てきます。情報交流のページにも「情報の種類(異動)」という記載があります。定義を独立に置いた記載は見当たりません。
    • 取引事実に関する情報=JICCの区分名。内容は「債権回収、債務整理、保証履行、強制解約、破産申立、債権譲渡等」。
    • 官報情報=全国銀行個人信用情報センターの区分名。内容は「官報に公告された破産・民事再生手続開始決定」。

    本人が自分で申告した情報については、CICが「ご本人からの申し出により、期間内であっても削除することができます」、JICCが「ご本人から削除依頼があった場合はその時点まで」と書いています。一方で、CICの協会依頼情報のように「当情報の削除はCICでは受け付けていません」と明記されているものもあります。期間の途中で扱いを変えられるかどうかは、情報の種類ごとに書き分けられています。

    CIC「CICが保有する信用情報」 https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html/JICC「信用情報の内容と登録期間」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration/全国銀行協会「センターの概要」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/(2026年9月12日確認)

    6. そもそもなぜ登録されるのか|貸金業法の条文

    貸金業者の貸付けについては、信用情報機関への提供と利用が法律に書かれています。e-Gov法令検索で貸金業法(昭和58年法律第32号・lawId=358AC1000000032)の本則を確認しました(2026年9月12日)。

    まず定義です。2条13項は「この法律において『信用情報』とは、資金需要者である顧客又は債務者の借入金の返済能力に関する情報をいう。」と定めています。2条16項は「『指定信用情報機関』とは、第四十一条の十三第一項の規定による指定を受けた者をいう。」と定めています。41条の13の見出しは「信用情報提供等業務を行う者の指定」です。

    次に、使う側の義務です。13条1項は返済能力の調査を義務づけ、13条2項は次のように定めています(原文)。

    貸金業者が個人である顧客等と貸付けの契約(極度方式貸付けに係る契約その他の内閣府令で定める貸付けの契約を除く。)を締結しようとする場合には、前項の規定による調査を行うに際し、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければならない。

    そして、登録する側の義務です。41条の35第2項・3項は次のとおりです(原文)。

    加入貸金業者は、資金需要者である個人の顧客を相手方とする貸付けに係る契約を締結したときは、遅滞なく、当該貸付けに係る契約に係る個人信用情報を信用情報提供契約を締結した指定信用情報機関(以下「加入指定信用情報機関」という。)に提供しなければならない。
    前二項の規定による個人信用情報の提供をした加入貸金業者は、当該提供をした個人信用情報に変更があつたときは、遅滞なく、その変更内容を加入指定信用情報機関に提供しなければならない。

    ここでいう「個人信用情報」の中身は、2条14項が41条の35第1項各号を指しており、その各号は一 顧客を識別することができる事項、二 契約年月日、三 貸付けの金額、四 内閣府令で定める事項です。条文に書かれているのは提供と使用の義務であって、何年間保存するかは条文に定められていません。期間を定めているのは、ここまで見てきた各機関の公表する表のほうです。

    なお、JICCは公式ページで「指定信用情報機関とは、貸金業法で定められた一定の要件を満たし、貸金業法における信用情報提供等業務を行う者として内閣総理大臣の指定を受けた信用情報機関のことをいいます。」と説明し、JICCが平成22年3月11日に指定を受けたこと、そして指定信用情報機関として株式会社日本信用情報機構と株式会社シー・アイ・シーの2社を掲げています。要件として同ページに書かれている数値は、加入貸金業者の数が100以上、保有する個人信用情報に係る貸付けの残高の合計額が5兆円以上、貸借対照表に計上された純資産の額が5億円以上です。

    貸金業法(昭和58年法律第32号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月12日確認・本則から抽出)/JICC「指定信用情報機関制度について」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/designated-credit(2026年9月12日確認)

    7. 3機関の間には情報交流の仕組みがある

    登録期間を1機関だけ見て済ませられない理由として、3機関は互いに情報を交流していることを公表しています。CICと全国銀行個人信用情報センターの記載は次のとおりです。

    名称参加機関交流されると書かれている情報
    FINECIC・JICC(2機関)CICの説明では「貸金業法の指定信用情報機関制度に基づき」行われる交流ネットワークで、個人信用情報等・申込情報。
    CRINCIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(3機関)CICは「延滞に関する情報および各信用情報機関にご本人が申告した本人確認書類の紛失盗難に関する情報など」、全国銀行個人信用情報センターは「各機関の延滞、代位弁済等の情報および本人申告情報」と記載。
    IDEACIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(3機関)CICは「金融機関のカードローン・クレジットカードキャッシング、貸金業者の貸金業法対象貸付に係る債務等の情報」と記載。
    CICおよび全国銀行協会が公表する情報交流の枠組み(2026年9月12日確認)。

    交流の仕組みがあるからといって、1か所に開示を申し込めばすべてが分かるわけではありません。全国銀行個人信用情報センターは本人開示のページで「本人開示では、提携個人信用情報機関との交流対象情報について確認することは出来ません。(株)日本信用情報機構や(株)シー・アイ・シーに登録されている情報の開示は、それぞれの機関にお申込みください。」と明記しています。CICも「CRIN情報の開示について……各機関へお問い合わせのうえ、開示手続きを行ってください。」としています。

    また、貸金業法41条の24第1項は、指定信用情報機関どうしの提供について次のように定めています(原文)。

    指定信用情報機関は、他の指定信用情報機関の加入貸金業者の依頼に基づき当該他の指定信用情報機関から個人信用情報の提供の依頼を受けたときは、正当な理由がある場合を除き、当該依頼に応じ、個人信用情報を提供しなければならない。

    CIC「信用情報の交流」 https://www.cic.co.jp/confidence/exchange/index.html/全国銀行協会「情報交流」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/crin//同「本人開示の手続き」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open//貸金業法 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月12日確認)

    8. この記事で扱わないこと/確認できなかったこと

    一次情報に書かれていなかった項目を、はっきり残しておきます。

    • 期間が過ぎた後に、クレジットやローンの審査がどうなるか=3機関のどのページにも記載がありません。当サイトは述べません。全国銀行個人信用情報センターは本人開示のページで「当センターでは審査業務を一切行っておりません」「本人開示は金融機関における審査結果の理由を特定するものではありません」と明記しています。
    • 債務整理の各手続を行うと、いつ・何が登録されるのか=JICCの表に「債務整理」「破産申立」という語はありますが、登録の時点や条件を定めた記載は見当たらず、記載なしとして扱います。
    • CICの「契約終了後5年以内」の起算日の定義=表の文言以上の説明は同ページに見当たりません。
    • CICの2ページの間で表記が異なる項目=「CICが保有する信用情報」(posession.html)と「信用情報早わかり!」(glance.html)では、利用記録の起算日が前者「利用日より6ヶ月間」・後者「照会日より6ヶ月間」、電話帳掲載情報が前者「最終の記録年月より2.5年以内」・後者「電話帳に記録された年月より2年半以内」と、表記が一致しません。本記事は情報の種類ごとの一覧である前者(posession.html)の文言を転記しています。どちらが正しいかはCICの公表ページからは判断できないため、当サイトでは断定しません。
    • CICの「利用記録」に相当する区分=JICCの表には対応する行が見当たりません。区分の切り方そのものが機関ごとに異なります。
    • 全国銀行個人信用情報センターの官報情報の対象範囲(手続の種類ごとの扱いなど)=「官報に公告された破産・民事再生手続開始決定」以上の記載は見当たりません。

    自分の情報が実際にどう登録されているかは、各機関への本人開示で確認する以外に方法が示されていません。3機関の開示の手数料と日数は信用情報の開示方法にまとめています。貸金業者に対して取引の履歴そのものを求める手続は取引履歴の開示請求で扱っています。請求書が届いた相手が誰かを確かめたい場合は債権回収会社の実在確認、受任通知と取立ての規制、消滅時効の援用もあわせてご覧ください。相談先を探す段階であれば、弁護士・司法書士の実在確認の手順と実在確認ナビ、公的な窓口の一覧である借金の相談窓口、費用の目安をまとめた債務整理の費用、返済額を自分で計算する返済計算ツールが使えます。

    全国銀行協会「本人開示の手続き」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/(2026年9月12日確認)

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    よくある質問

    信用情報はどのくらいの期間登録されるのですか?

    情報の種類ごとに機関が期間を公表しています。CICは申込情報が「照会日より6ヶ月間」、クレジット情報が「契約期間中および契約終了後5年以内」、利用記録が「利用日より6ヶ月間」。JICCは申込みに関する情報が「照会日から6か月以内」、契約内容・返済状況に関する情報が契約日2019年10月1日以降で「契約継続中及び契約終了後5年以内」。全国銀行個人信用情報センターは取引情報が「契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間」、官報情報が「当該決定日から7年を超えない期間」です(2026年9月12日確認)。

    3機関で期間は同じですか?

    同じではありません。見出しの語からして、CICは「保有期間」、JICCと全国銀行個人信用情報センターは「登録期間」です。起算点の書き方も「契約終了後」「完済日から」「契約終了日(完済されていない場合は完済日)から」と異なり、官報に公告された破産・民事再生手続開始決定を独立の区分として掲げているのは全国銀行個人信用情報センターだけです。

    期間が過ぎた情報はどうなると書かれていますか?

    CICは「期間が過ぎた情報は自動的に抹消されます」、全国銀行個人信用情報センターは「各情報は、登録期間経過後に自動的に削除されます」と公表しています。いずれも各機関の文言です。期間の経過によってその後の審査や契約がどうなるかについては、3機関のどのページにも記載がないため、当サイトでは述べません。

    1つの機関に開示を申し込めば3機関分が分かりますか?

    全国銀行個人信用情報センターは「本人開示では、提携個人信用情報機関との交流対象情報について確認することは出来ません。(株)日本信用情報機構や(株)シー・アイ・シーに登録されている情報の開示は、それぞれの機関にお申込みください。」と明記しています。CICも、交流先の情報の開示は各機関へ申し込むよう案内しています。3機関それぞれの開示手続は信用情報の開示方法で扱っています。


    CIC「CICが保有する信用情報」 https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html/CIC「信用情報の交流」 https://www.cic.co.jp/confidence/exchange/index.html/JICC「信用情報の内容と登録期間」 https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration/全国銀行協会「センターの概要」 https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about//貸金業法 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの各公式サイト、e-Gov法令検索)のみを根拠に作成しています。各機関の表は掲載されている文言のまま転記し、機関をまたいで数値をまとめ直すことはしていません。条文は貸金業法の本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。なお、当サイトの既存記事「信用情報の開示方法」(/shinyou-jouhou-kaiji/)は、信用情報に登録される期間について「各機関の公式サイトで2026年8月28日時点の実査では確認できなかったため、記載なし」としています。本記事は、2026年9月12日に各機関の公表ページ(https://www.cic.co.jp/confidence/posession.html / https://www.jicc.co.jp/aboutus/credit-info/registration / https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/ )で確認できた表の文言を転記したものです。登録期間の経過後に審査や契約がどうなるか、債務整理の各手続がいつ登録されるか、CICの2ページの間で表記が一致しない項目のどちらが正しいかについては、一次情報で確認できなかったため記載せず、推測で補っていません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 債務整理の依頼に弁護士との面談は必要か|日弁連「債務整理事件処理の規律を定める規程」3条〜7条を原文で確かめる

    債務整理の依頼に弁護士との面談は必要か|日弁連「債務整理事件処理の規律を定める規程」3条〜7条を原文で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    債務整理を弁護士に依頼するとき、依頼する側の準備の話は多く出回っていますが、依頼を受ける側(弁護士)に課されている手続は、日本弁護士連合会(日弁連)の会規に条文として書かれています。この記事は、その会規である「債務整理事件処理の規律を定める規程」の第3条から第7条まで(あわせて8条・17条・18条・19条)を、日弁連が公開しているPDF原本と、同じく日弁連の公式解説ページ、そしてe-Gov法令検索の弁護士法だけで確認した記録です。先に結論として、原文にはっきり書かれているのは次の5点です。①受任する予定の弁護士が当該債務者と自ら面談をして4つの事項を聴取しなければならない(規程3条1項。ただし書に例外あり)、②事件処理の方針・見通し・弁護士費用と3つの不利益事項を説明しなければならない(4条1項)、③弁護士費用について誤解が生じないようにし、委任契約書の記載でも誤解が生じないように努める(5条)、④資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明するよう努める(6条)、⑤受任した弁護士の氏名と法律事務所の所在場所を明示しなければならない(7条1項)。個別の事務所がこれらを守っているかどうかの評価は、当サイトでは行いません。

    1. この規程は何で、なぜ弁護士を拘束するのか

    PDF原本の冒頭には「債務整理事件処理の規律を定める規程(平成二十三年二月九日会規第九十三号)」とあり、その下に平成二七年一二月四日改正・令和三年三月五日・同三年六月一一日・同七年一二月五日の改正が並んでいます(2026年9月12日確認)。附則第1項は「この規程は、平成二十三年四月一日から施行する。」と定め、日弁連の解説ページも「この規程は、2011年4月1日以降に弁護士が新規受任する事件から適用されます。」と書いています。

    会規が弁護士を拘束する根拠は、弁護士法にあります。e-Gov法令検索の本則から抽出した第二十二条は次のとおりです(原文)。

    (会則を守る義務)
    第二十二条 弁護士は、所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則を守らなければならない。

    規程第一条(目的)は、この規程が「臨時の措置として」置かれたものであり、「不適切な勧誘、受任及び法律事務処理」等への批判を受けて定められたものだと書いています。

    どの手続が「債務整理事件」に入るか

    規程の適用範囲は第二条の定義で決まります。第五号は次のとおりです(原文)。

    五 債務整理事件 債務者に係る任意整理事件、破産手続開始申立事件、民事再生手続開始申立事件、特定調停申立事件及びこれらに類する事件(任意整理事件に付随して特定調停申立て等を行う場合を含む。)をいう。

    つまり第3条から第7条までの手続は、任意整理だけでなく、自己破産・個人再生・特定調停の申立事件にも掛かる書き方になっています。報酬の上限の定め(規程12条〜16条)が「非事業者等任意整理事件」に限られているのとは、対象の広さが異なります。報酬の上限については任意整理の弁護士報酬の上限で条文をたどっています。

    一方、第二条第一号は「債務者」の定義にただし書を置き、住宅資金の貸付けに係る債権等を除いた総債権者に対する債務の総額が五千万円を超える者を除くとしています。この枠から外れる場合にどう扱われるかは条文に書かれていないため、当サイトでは述べません。

    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf/日本弁護士連合会「債務整理の弁護士報酬のルールについて」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid/saimuseiri.html/弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)22条 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

    2. 規程3条|受任予定の弁護士が「自ら面談」して聴取する

    第三条(聴取すべき事項等)第1項の本文は次のとおりです(原文。受任予定の弁護士を特定する括弧内の定義は中略しています)。

    弁護士は、債務整理事件を受任するに当たっては、あらかじめ、当該事件を受任する予定の弁護士(中略)が、当該債務者と自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取しなければならない。ただし、面談することに困難な特段の事情があるときは、当該事情がやんだ後速やかに、自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取することで足りる。

    中略した括弧は、受任予定の弁護士が複数いる場合は少なくともそのうちのいずれか一人、弁護士法人または共同法人の場合はその社員または使用人である弁護士のうち少なくともいずれか一人を指す、という定義です。聴取すべき事項は各号に列挙されています。

    号聴取すべき事項(原文)
    一債務の内容
    二当該債務者(当該債務者と生計を同じくする家族があるときは、当該家族を含む。)の資産、収入、生活費その他の生活状況
    三当該債務者が不動産を所有している場合にあっては、その処理に関する希望
    四前号に掲げるもののほか、当該債務整理事件の処理に関する意向
    債務整理事件処理の規律を定める規程 第三条第1項各号(2026年9月12日確認・PDF原本から抽出)

    相談に持っていく資料が「債務の内容」と「資産・収入・生活費その他の生活状況」に対応することは、相談に持っていく資料で法テラスと裁判所の公表情報から整理しています。

    ただし書が働く場合でも、把握しないまま受任することはできない書き方です

    第2項は、ただし書の特段の事情がある場合の取扱いを定めています(原文)。

    弁護士は、前項ただし書に規定する特段の事情がある場合であっても、電話、書面、ファクシミリ、電子メールその他の適当な通信手段により、又は同居の親族を介するなどして、前項に掲げる事項を把握した上で受任しなければならない。この場合においては、当該弁護士が面談して聴取を行う場合と変わらない程度に、当該事項を的確に把握することができるように努める。

    第3項は面談の単位を定めています(原文)。

    第一項の面談は、債務者ごとに行わなければならない。ただし、当該債務整理事件の債務者及び当該債務整理事件に関連する他の債務整理事件の債務者について、その両者と同時に面談することが必要な場合その他特別な事情があるときは、この限りでない。

    どのような事情が「面談することに困難な特段の事情」や「特別な事情」に当たるかは、条文に定義がありません。そのため当サイトは、個別の事案がこれに当たるかどうかを判断しません。

    日弁連自身の説明

    日弁連の公式ページ「債務整理の弁護士報酬のルールについて」は、規程の概要の先頭に「受任弁護士自らが行う個別面談による事情聴取の原則義務化」という見出しを置き、次のように説明しています(原文)。

    弁護士は、依頼主と会わずに債務整理事件の依頼を受けてはいけないのが原則です(弁護士と会って依頼をするのが原則です)。
    原則として、受任する弁護士が自ら個別面談をして、事件の依頼主の事情を聴かなければなりません(規程第3条)。

    日本弁護士連合会「債務整理の弁護士報酬のルールについて」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid/saimuseiri.html/日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」3条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf(2026年9月12日確認・縦組みPDFからテキスト抽出)

    3. 規程4条|方針・見通し・費用と、3つの不利益事項

    第四条(事件処理方針等及び不利益事項の説明)第1項は次のとおりです(原文)。

    弁護士は、債務整理事件を受任するに際し、事件処理の方針及び見通し、弁護士報酬及びその他の費用(以下「弁護士費用」という。)並びに当該方針に係る法的手続及び処理方法に関して生じることが予想される次に掲げる事項その他の不利益事項の説明をしなければならない。

    列挙されている不利益事項は3つです。

    号説明すべき不利益事項(原文)
    一破産手続を選択したときは、法令の定めによる資格等の制限により当該債務者が就くことのできない職業があること。
    二当該債務者が信用情報機関(資金需要者の借入金返済能力に関する情報の収集及び金融機関に対する当該情報の提供を行うものをいう。)において借入金返済能力に関する情報を登録され、金融機関からの借入れ等に関して支障が生じるおそれのあること。
    三当該債務者が所有している不動産等の資産を失う可能性があること。
    債務整理事件処理の規律を定める規程 第四条第1項各号(2026年9月12日確認・PDF原本から抽出)

    第二号にいう信用情報機関に自分の情報がどう記録されているかは、本人開示で確認できます。手数料と日数は信用情報の開示方法にまとめています。登録される期間や内容は各機関の定めによるため、この記事では扱いません。

    誰が、いつ説明するかも条文が決めています

    第2項は「前項の説明は、前条に規定する聴取を行った弁護士において、自ら、当該聴取に引き続いて行わなければならない。」と定めています。そのうえで第3項は、聴取を行った弁護士の同席の下で他の受任弁護士が説明することができるとし、第4項は、引き続いて行うに十分な時間が不足するときその他正当な理由がある場合は、聴取後に遅滞なく、聴取を行った弁護士が自ら行うことができるとしています。第5項は次のとおりです(原文)。

    前項の場合において、当該債務者が面談によらないで説明を受けることを希望するときは、電話、書面、ファクシミリ、電子メールその他の適当な通信手段を用いて説明をすることができる。この場合においては、当該弁護士が面談して行う場合と同じ程度に当該債務者が説明を理解することができるように努める。

    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」4条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf(2026年9月12日確認)

    4. 規程5条と委任契約書|「努める」と書かれている部分

    第五条(弁護士費用の説明等)は2項構成で、いずれも語尾が「努める」です(原文)。

    第五条 弁護士は、前条の規定により弁護士費用について説明をするに当たっては、債務者に弁護士費用に関する誤解が生じないようにし、かつ、自らの弁護士報酬の額が適正かつ妥当であることの理解を得るよう努める。
    2 弁護士は、弁護士費用に関する事項を委任契約書に記載するに当たっては、当該債務者に弁護士費用に関する誤解が生じないように努める。

    委任契約書そのものについては、別の会規である弁護士職務基本規程(平成十六年十一月十日会規第七十号)に定めがあります。第三十条第1項は次のとおりです(原文)。

    (委任契約書の作成)
    第三十条 弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由がやんだ後、これを作成する。

    同条第2項は、受任する事件が法律相談・簡易な書面の作成・顧問契約その他継続的な契約に基づくものであるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しないと定めています。また第二十九条第2項は「弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。」と定めています。

    日弁連の解説ページは依頼者側の心得として、弁護士から受け取った委任契約書・精算書・報告書などの書類は「ひとつのファイルにまとめるなどして保管しておきましょう」と書いています。費用の水準そのものについては、法テラスが公表する立替基準額と任意整理の弁護士報酬の上限で、公表されている数字だけを扱っています。

    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」5条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf/日本弁護士連合会「弁護士職務基本規程」29条・30条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_070.pdf/日本弁護士連合会「債務整理の弁護士報酬のルールについて」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid/saimuseiri.html(いずれも2026年9月12日確認)

    5. 規程6条|資力が乏しい場合の制度を説明する

    第六条(民事法律扶助制度の説明)は次のとおりです(原文)。

    第六条 弁護士は、債務整理事件を受任するに際しては、事案に応じ、当該債務者の経済生活の再生の観点から必要かつ相当と認められる場合には、法律扶助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、当該債務者が当該制度の利用を希望するときは、その利用が可能となるように努める。

    弁護士職務基本規程第三十三条にも同趣旨の定めがあり、「法律扶助制度、訴訟救助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、裁判を受ける権利が保障されるように努める。」と書かれています。いずれも語尾は「努める」です。

    その法律扶助について、日弁連の「弁護士費用が払えないとき」は、国民の権利の平等な実現を図るため「法律の専門家による援助や、裁判のための費用を援助するのが法律扶助の制度です」と説明し、法律扶助協会が行ってきた民事法律扶助事業は、総合法律支援法に基づいて2006年10月2日に業務を開始した日本司法支援センター(愛称「法テラス」)に引き継がれた、と書いています。立替制度の収入・資産の基準は法テラスの費用立替制度、無料法律相談の条件は無料法律相談の条件で確認できます。

    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」6条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf/「弁護士職務基本規程」33条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_070.pdf/日本弁護士連合会「弁護士費用が払えないとき」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/fujyo.html(いずれも2026年9月12日確認)

    6. 規程7条|誰が受任したのかを明示する

    第七条(受任弁護士等の明示等)第1項は次のとおりです(原文。氏名と所在場所の定義を示す括弧内は中略しています)。

    債務整理事件を受任した弁護士、弁護士法人又は共同法人は、当該債務者に対し、速やかに、弁護士にあっては氏名(中略)及び法律事務所の所在場所(中略)を、弁護士法人又は共同法人にあっては当該弁護士法人又は共同法人の社員(中略)又は使用人である弁護士の氏名及び当該社員又は使用人である弁護士が所属する法律事務所の所在場所を明示しなければならない。

    中略した括弧は、職務上の氏名を使用している者についてはその職務上の氏名を指すこと、法律事務所に名称がある場合はその名称を含むことなどを定める定義です。第2項は、共同受任した場合には受任した全ての弁護士・弁護士法人・共同法人が、明示すべき全ての事項について共同して明示しなければならないとしています。

    復代理人については第3項と第4項に通知の定めがあります。第3項は、復代理人を選任したときは選任後速やかに、復代理人の氏名、法律事務所の所在場所及び所属弁護士会を、書面・ファクシミリ・電子メールその他これらに類する適当な方法により通知しなければならないと定め、第4項は復代理人に選任された弁護士自身にも同じ通知を求めています(第3項の通知が復代理人との連名によるものであるときを除く)。

    なお弁護士職務基本規程第三十四条は「弁護士は、事件の依頼があったときは、速やかに、その諾否を依頼者に通知しなければならない。」と定めています。明示された氏名と事務所から相談先の実在を確かめる手順は日弁連・日司連の公式検索で実在を確認する手順と実在確認ナビにまとめています。実在する弁護士の名前をかたる手口への注意喚起はニセ弁護士のSNS詐欺、資格のない者が報酬を得て法律事務を扱うことの条文は非弁行為とはで扱っています。

    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」7条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf/「弁護士職務基本規程」34条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_070.pdf(いずれも2026年9月12日確認)

    7. 規程8条|過払金だけの依頼は原則として受けられない

    第八条(過払金返還請求事件の受任等に関する規律)第1項は、過払金返還請求事件の依頼を受けるに当たって「当該債務者が負担している他の債務の有無、内容及び件数を確認し、当該債務者が負担する全ての債務に関する事項を把握するように努める」と定めています。第2項は次のとおりです(原文)。

    弁護士は、債務者が負担している他の債務があることを知りながら、当該他の債務についての債務整理事件の依頼を受けずに過払金返還請求事件のみの依頼を受けてはならない。ただし、弁護士が当該他の債務について債務整理を行わない場合に生じる可能性のある不利益について説明し、その説明を受けても当該債務者が当該他の債務についての債務整理事件を依頼することを希望せず、かつ、その理由が不当な目的に基づくものではないと認められるときは、この限りでない。

    日弁連の解説ページは、これを「過払金返還請求のつまみ食い(ほかに借金があるのに過払金だけを取り返して借金を整理しないこと)の依頼には原則として応じられません(規程第8条)。」と説明し、その理由を「借金(債務)の整理は、全体として整理しないとかえって取り返しのつかないことになりかねないからです。」と書いています。過払金という言葉の公的な定義と時効については過払い金とは何かで法テラスのFAQを引いています。

    受任した後についても、第十七条第3項が、債権者が開示した取引履歴その他の重要な事項の報告は「自ら面談し、又は書面、ファクシミリ、電子メールその他これらに類する適当な方法によって行わなければならない」と定めています。開示請求そのものの根拠条文は取引履歴の開示請求とはにあります。

    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」8条・17条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf/日本弁護士連合会「債務整理の弁護士報酬のルールについて」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid/saimuseiri.html(いずれも2026年9月12日確認)

    8. 広告の表示と、「面談がなければ規程違反」と書かない理由

    規程は広告についても定めを置いています。第十八条第2項は次のとおりです(原文)。

    2 弁護士は、債務整理事件に関する業務広告を行うときは、依頼を受けるに際して受任する弁護士と面談する必要があることを表示するように努める。

    ここまで見てきたとおり、条文には原則と例外の両方が書かれています。3条1項にはただし書(面談することに困難な特段の事情)があり、2項は通信手段や同居の親族を介する方法を明示し、4条3項〜5項も説明の担い手と方法に幅を残しています。さらに第十九条(解釈適用)は次のとおりです(原文)。

    この規程は、弁護士の職務が本来多様性と個別性を有することに鑑み、弁護士の債務整理事件処理を不当に萎縮させることのないよう実質的に解釈し、適用しなければならない。

    このため当サイトは、「面談がなかったから規程違反だ」「この事務所は規程を守っていない」といった判断は行いません。会規に違反した場合の枠組みとしては、弁護士法第五十六条第1項が、日本弁護士連合会の会則に違反したときなどに「懲戒を受ける。」と定め、同条第2項が「懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。」と定めています。個別の事案が懲戒事由に当たるかどうかを判断するのは所属弁護士会であり、当サイトではありません。

    この記事で扱わないこと

    この記事は、日弁連の会規に何が書かれているかの記録です。どの事務所に依頼するかの評価、個別の対応が規程に沿っているかどうかの判断、面談の有無から結論を導くことは行いません。司法書士について同種の受任前の手続の定めがあるかどうかは、今回一次情報で確認していないため記載しません。司法書士が債務整理を扱える範囲の条文は司法書士の「140万円」にあります。

    手続そのものの公的な定義は債務整理の4つの方法、依頼後に取立てが止まる仕組みの条文は受任通知と貸金業法21条1項9号、違法な業者への公的な注意喚起は整理屋とはとヤミ金・整理屋・紹介屋の手口、公的な相談窓口は借金の相談窓口にあります。返済額の計算は返済計算ツールで試せます。

    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」18条・19条(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf/弁護士法56条 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

    条件と注意事項を確認する

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    よくある質問

    電話やメールだけで債務整理を依頼できますか?

    規程3条1項は、受任する予定の弁護士が当該債務者と自ら面談をして所定の事項を聴取しなければならないと定め、ただし書で「面談することに困難な特段の事情があるとき」は、その事情がやんだ後速やかに面談して聴取することで足りるとしています。2項は、その特段の事情がある場合でも、電話・書面・ファクシミリ・電子メールその他の適当な通信手段により、または同居の親族を介するなどして所定の事項を把握した上で受任しなければならないとしています。日弁連は公式ページで「弁護士は、依頼主と会わずに債務整理事件の依頼を受けてはいけないのが原則です」と説明しています(2026年9月12日確認)。

    面談では何を聞かれることになっていますか?

    規程3条1項各号は、①債務の内容、②当該債務者(生計を同じくする家族があるときは当該家族を含む)の資産、収入、生活費その他の生活状況、③不動産を所有している場合はその処理に関する希望、④そのほか当該債務整理事件の処理に関する意向、の4つを挙げています。聴取した弁護士は、規程4条2項により、引き続いて自ら方針・見通し・弁護士費用と不利益事項の説明を行うこととされています。

    費用の説明や委任契約書について、規程はどう書いていますか?

    規程5条1項は、弁護士費用について債務者に誤解が生じないようにし、報酬の額が適正かつ妥当であることの理解を得るよう「努める」と定め、2項は委任契約書に弁護士費用に関する事項を記載するに当たっても誤解が生じないように「努める」と定めています。委任契約書そのものについては、弁護士職務基本規程30条1項が、事件を受任するに当たり弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない(作成することに困難な事由があるときは、その事由がやんだ後に作成する)と定めています。

    この規程はどの手続に適用されますか?

    規程2条5号は「債務整理事件」を、債務者に係る任意整理事件、破産手続開始申立事件、民事再生手続開始申立事件、特定調停申立事件及びこれらに類する事件と定義しており、3条から7条までの規律はこの「債務整理事件」に掛かります。なお2条1号のただし書は、住宅資金の貸付けに係る債権等を除いた総債権者に対する債務の総額が五千万円を超える者を「債務者」から除いています。日弁連は、この規程が2011年4月1日以降に弁護士が新規受任する事件から適用されると説明しています。


    日本弁護士連合会「債務整理事件処理の規律を定める規程」(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_093.pdf/日本弁護士連合会「弁護士職務基本規程」(PDF) https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kaiki/kaiki_no_070.pdf/日本弁護士連合会「債務整理の弁護士報酬のルールについて」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid/saimuseiri.html/日本弁護士連合会「弁護士費用が払えないとき」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/fujyo.html/弁護士法 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(いずれも2026年9月12日確認)

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    最終更新:2026年9月12日/このページは公表されている一次情報(日本弁護士連合会が公開する会規PDF「債務整理事件処理の規律を定める規程」「弁護士職務基本規程」、日弁連の公式解説ページ、e-Gov法令検索の弁護士法)のみを根拠に作成しています。会規PDFは縦組みのためテキスト抽出後に句読点の位置を復元して引用しており、長い定義の括弧は「(中略)」と表示しています。弁護士法の条文は本則から抽出しました。規程施行規則が定める報酬額、司法書士についての同種の定めの有無、個別の事務所の対応が規程に沿っているかどうかの評価は、確認していない、または判断の対象となるため記載していません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 自己破産は家族に影響するか・職場に知られるか|法テラスの公式FAQ「影響ありません」と官報掲載の説明を原文で確かめる

    自己破産は家族に影響するか・職場に知られるか|法テラスの公式FAQ「影響ありません」と官報掲載の説明を原文で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    自己破産を考えるときに最後まで残る不安は、たいてい自分のことではなく家族と職場のことです。この記事は、その2つについて日本司法支援センター(法テラス)が公式FAQに何と書いているかを原文のまま示し、あわせて破産法の条文と官報の制度を確認した記録です。先に結論を言うと、法テラスは家族への影響について「影響ありません。」と書き、職場や近所に知られる可能性については「否定できません」と書いています。方向の違う2つの記述が、それぞれ別の設問に対して置かれています。当サイトは、この2つを混ぜずにそのまま示します。個別の事案がどうなるかについての判断は行いません。

    1. 家族の財産と仕事|法テラスの回答は「影響ありません。」

    法テラスの「よくある相談」には、「自己破産をすると家族の財産や仕事に影響がありますか。」という設問があります。回答の全文は次のとおりです(2026年9月5日確認・原文)。

    影響ありません。自己破産はあくまで申立人本人についての手続です。家族の財産が処分されたり、家族の仕事が制限されたりすることはありません。

    この回答には、ただし書きや例外の記載は付いていません。ページに書かれているのはこの3文だけです。これは法テラスの記述であって、当サイトが個別の事案について保証するものではありません。また、この回答が答えているのは「家族の財産」と「家族の仕事」の2点であり、後述するとおり本人についてはこれとは別の記述が置かれています。

    法テラス「自己破産をすると家族の財産や仕事に影響がありますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-007.html(2026年9月5日確認)

    2. 「本人についての手続」は条文でどう書かれているか|破産法34条1項

    法テラスが「申立人本人についての手続」と書いている点を、条文の側から確認します。破産法(平成16年法律第75号・lawId=416AC0000000075)の本則をe-Gov法令検索で取得し、34条1項を確認しました(2026年9月5日確認・原文)。

    (破産財団の範囲)
    第三十四条 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。

    条文が破産財団としているのは「破産者が」破産手続開始の時において有する一切の財産です。裁判所の裁判手続案内も、破産手続を「破産管財人が債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続」と説明しています(2026年9月5日確認・原文)。

    破産手続は、裁判所が破産手続の開始を決定し、破産管財人を選任して、その破産管財人が債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続です。通常は、破産手続開始の決定時点の債務者の財産を金銭に換えた上で分配(配当)することになります。債務者の財産が少ない場合には、破産管財人を選任しないまま破産手続を終了することもあります。

    条文と裁判所の説明のどちらも、対象として書いているのは破産者(債務者)の財産です。ただし、ある財産が誰のものかという個別の事案の判断は条文からは読み取れません。当サイトはその点について述べません。手元に残せる財産の範囲(自由財産)は自己破産で手元に残せる財産(自由財産)の記事で条文をたどっています。

    破産法(平成16年法律第75号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075(2026年9月5日確認・本則から抽出)/裁判所「破産」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_16/index.html(2026年9月5日確認)

    3. 職場や近所に知られるか|法テラスの回答は「否定できません」

    同じ法テラスのFAQに、「自己破産すると、職場の人や近所の人に知られてしまいますか。」という別の設問があります。回答の全文は次のとおりです(2026年9月5日確認・原文。3行目の言い回しも原文のまま引用しています)。

    破産手続の中で、「官報」(法令などを登載した国の機関紙)に住所・氏名が記載されますので、他人に知られる可能性は否定できません。
    また、職場や近所の人が債権者であれば、債権者として、裁判所から通知を受けることになることになりますので、知られてしまう可能性はあります。
    しかし、破産を知られてしまうリスクも考慮しつつ、生活を再建するためにはどうすべきか、検討すべきでしょう。

    法テラスが挙げている経路は2つです。①官報に住所・氏名が記載されることと、②職場や近所の人が債権者である場合に、債権者として裁判所から通知を受けること。この文章には「知られない」とは書かれていません。次の2つの節で、この2つの経路が制度上どうなっているかを条文で確認します。

    法テラス「自己破産すると、職場の人や近所の人に知られてしまいますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-008.html(2026年9月5日確認)

    4. 経路①=官報|破産法10条1項の「公告」と、官報がどこで読めるか

    破産法10条1項は、公告の方法をこう定めています(原文)。

    (公告等)
    第十条 この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
    2 公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。

    では、破産法のどの場面で公告がされるのか。本則で確認できた主な規定は次のとおりです。以下は条文の文言の整理であり、実際の運用の説明ではありません。

    条文公告することとされている場面(原文の要旨)
    32条1項裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは、直ちに、破産手続開始の決定の主文などを公告しなければならない(1号=破産手続開始の決定の主文)
    216条3項破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、破産手続開始の決定の主文と破産手続廃止の決定の主文・理由の要旨を公告し、かつ破産者に通知しなければならない
    217条4項破産手続開始の決定後の破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、その主文と理由の要旨を公告しなければならない
    251条2項免責についての意見申述期間を定める決定をしたときは、その期間を公告し、かつ破産管財人と知れている破産債権者に通知しなければならない
    破産法の本則で確認できた公告の規定(2026年9月5日確認)。最高裁判所規則(破産規則)は当サイトでは確認していないため、この表は本則の範囲に限られます。

    官報そのものの制度は、官報の発行に関する法律(令和5年法律第85号・lawId=505AC0000000085)に定められています。2条は「官報の発行は、この法律の定めるところにより、内閣総理大臣が行う。」とし、4条1項2号は、官報に掲載する事項として「公示、公告その他の公にする行為であって他の法令の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないこととされているものの対象となる事項」を挙げています。破産法10条1項の「公告は、官報に掲載してする」という定め方は、この2号の書きぶりに対応します。発行の方法を定める5条2項は次のとおりです(原文・抜粋)。

    官報の発行は、内閣総理大臣が、官報ファイルに記録された官報掲載事項(以下「電磁的官報記録」という。)について、内閣府令で定めるところにより、当該官報ファイルを電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(中略)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く措置をとることにより行うものとする。

    8条1項は、この措置を「閲覧期間」が経過するまで継続するものとしていますが、閲覧期間の長さは「内閣府令で定める期間」と書かれているだけで、法律本体に日数の定めはありません。当サイトは当該内閣府令を確認していないため、日数を法令の数字としては記載しません。

    実際の閲覧については、官報発行サイト(kanpo.go.jp)に次の表記があります(同サイトの表記・2026年9月5日確認)。

    • 「官報は、行政機関の休日を除き毎日発行しています。」
    • 「直近90日間は全て無料で閲覧できます。」
    • 「2025年4月1日 官報発行サイトを開設しました」/令和7年3月31日以前に独立行政法人国立印刷局が配信していた「インターネット版官報」の官報情報は、引き続き同サイトの過去の官報ページで提供されている旨

    つまり、法テラスが言う「官報に住所・氏名が記載される」というのは、官報として公衆が閲覧することができる状態に置かれるという制度の上での話です。実際に職場の人や近所の人が官報を見るかどうかについて、当サイトは述べません。

    破産法(平成16年法律第75号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075/官報の発行に関する法律(令和5年法律第85号) https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000085(いずれも2026年9月5日確認・本則から抽出)/官報発行サイト https://www.kanpo.go.jp/(2026年9月5日確認)

    5. 経路②=裁判所からの通知|破産法32条3項が挙げる通知先と252条3項

    法テラスが挙げるもう1つの経路は、職場や近所の人が債権者である場合です。この経路の条文にあたるのが、公告すべき事項の通知先を定める破産法32条3項です。同項は号を4つ置いており、破産債権者はそのうちの1号に出てきます。同項の全文は次のとおりです(2026年9月6日再取得・原文)。

    3 次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
    一 破産管財人、破産者及び知れている破産債権者
    二 知れている財産所持者等
    三 第九十一条第二項に規定する保全管理命令があった場合における保全管理人
    四 労働組合等(破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは破産者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第七十八条第四項及び第百三十六条第三項において同じ。)

    2号の「財産所持者等」という語は、同じ32条の1項4号が定義しています(原文)。

    四 破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者(第三項第二号において「財産所持者等」という。)は、破産者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨

    条文の文言を、号のとおりに並べ直すと次のようになります。1号=破産管財人・破産者・知れている破産債権者/2号=知れている財産所持者等(1項4号の定義では「破産財団に属する財産の所持者及び破産者に対して債務を負担する者」)/3号=保全管理命令があった場合における保全管理人/4号=労働組合等。破産債権者は、32条3項が挙げる通知先のうち1号に書かれている者の一部であって、同項の通知先は破産債権者に限られていません。

    4号の括弧書きが「労働組合等」として定義しているのは、条文の文言どおり、「破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合」と、「破産者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは破産者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者」です。条文が使っているのは「破産者の使用人その他の従業者」という語で、32条3項の文言には、破産者が法人か個人かによる場合分けは書かれていません。この記事が扱っている個人の自己破産について、4号がどの場面で使われるかを条文の文言以上に特定することは、当サイトでは行いません。

    さらに、免責許可の決定については252条3項が送達を定めています(原文・抜粋。同項にはこのほか、裁判書の送達について破産法10条3項本文を適用しない旨の一文が続きます)。

    3 裁判所は、免責許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び破産管財人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。

    252条3項が送達の相手方として書いているのは破産者・破産管財人・破産債権者の3者で、32条3項2号から4号にあたる者は挙げられていません。2つの条文で、名宛人の書きぶりが違います。

    法テラスが書いているのは「職場や近所の人が債権者であれば、債権者として、裁判所から通知を受けることになる」という経路です。条文の側は、職場(勤務先)や近所の人が破産債権者にあたる場合を1号に、「知れている財産所持者等」にあたる場合を2号に、「労働組合等」にあたる場合を4号に、それぞれ通知先として書いています。どのような立場の人が破産債権者にあたるか、誰が「知れている破産債権者」「知れている財産所持者等」「労働組合等」にあたるかという個別の事案の判断は、当サイトでは行いません。

    破産法(平成16年法律第75号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075(2026年9月5日確認・2026年9月6日に32条の全文を再取得して確認・いずれも本則から抽出)/法テラス「自己破産すると、職場の人や近所の人に知られてしまいますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-008.html(2026年9月5日確認)

    6. 法テラスが「ない」と書いていること|選挙権・戸籍・住民票・普通預金口座

    「知られるのではないか」という不安のうち、法テラスが明示的に否定している項目があります。FAQ「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」の末尾は次のとおりです(2026年9月5日確認・原文)。

    なお、自己破産をしたからといって、選挙権がなくなる、戸籍や住民票に記載される、銀行の普通預金口座も使用できなくなる、ということはありません。

    同じFAQが挙げる「主なデメリット」の列挙も、原文のまま整理しておきます。

    区分法テラスFAQの記載(原文)
    主なメリット債務を支払わなくてよい状態(免責)になる。
    主なデメリット生活に必要な家財道具等の一定の財産以外は、失うことになる。(ただし、99万円以下の現金は手元に残せる。)
    主なデメリット破産手続が終了するまでの間、職業・転居・長期の旅行等について、一定の制限を受ける場合がある。
    主なデメリット官報に、住所や氏名等が記載される。
    主なデメリット信用情報を取り扱う機関に登録されることにより、数年間は、借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。
    法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」の記載(2026年9月5日確認)。文言は同ページの原文です。

    ここに並んでいるのは、いずれも破産した本人についての記載です。信用情報については、同居する家族の信用情報がどうなるかという記載を、当サイトが確認した一次情報の範囲では見つけられませんでした。推測で補うことはしません。信用情報を自分で確かめる手順はCIC・JICC・KSCの本人開示にまとめています。

    法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html(2026年9月5日確認)

    7. 制限を受けるのは本人|破産法37条1項の名宛人

    前節の表にあるとおり、法テラスは「破産手続が終了するまでの間、職業・転居・長期の旅行等について、一定の制限を受ける場合がある」と書いています。この記述の主語は破産した本人です。条文でも、たとえば居住の制限を定める破産法37条1項の名宛人は「破産者」です(原文)。

    (破産者の居住に係る制限)
    第三十七条 破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない。

    条文に書かれているのは「破産者は」です。破産法の本則を機械的に走査したところ、「居住地を離れる」という文言が現れるのはこの37条だけで、その主語は「破産者」でした。また、本則に「家族」という語は現れませんでした。法テラスFAQ007が「家族の仕事が制限されたりすることはありません」と書いているのも、この設問に対する回答です。なお、破産法の本則そのものには、制限を受ける資格・職種の列挙はありません。制限は警備業法・宅地建物取引業法・貸金業法など、個別の法律がそれぞれの条文で定めています。当サイトが原文で確認した範囲は自己破産と仕事の資格にまとめています。

    破産法(平成16年法律第75号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075(2026年9月5日確認・本則から抽出)/法テラス「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html(2026年9月5日確認)

    8. 家族が保証人になっている場合は別の条文の話です

    ここから先は、前節までとは根拠となる条文が別の話です。まず破産法253条2項の原文を挙げます。

    2 免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない。

    条文は、免責許可の決定が保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対する権利、および破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に「影響を及ぼさない」と定めています。前節までの「家族の財産・仕事」の話とは、根拠となる条文も場面も別です。なお、7節に書いたとおり破産法の本則に「家族」という語は現れません。この節で挙げる条文が使っているのも、「保証人その他破産者と共に債務を負担する者」「破産者以外の者」(253条2項)や「親族」(275条)といった語です。本記事はこの2つの条文を取り上げるだけで、家族・親族に関わる規定を本則から数え上げたものではありません。免責の効力とその例外については免責不許可事由と裁量免責の記事で253条をたどっています。

    家族に支払わせる目的の面会強請等には罰則が置かれています|破産法275条

    逆に、破産法は破産者の親族を名指しした罰則も置いています。275条の原文は次のとおりです。

    (破産者等に対する面会強請等の罪)
    第二百七十五条 破産者(個人である破産者に限り、相続財産の破産にあっては、相続人。以下この条において同じ。)又はその親族その他の者に破産債権(免責手続の終了後にあっては、免責されたものに限る。以下この条において同じ。)を弁済させ、又は破産債権につき破産者の親族その他の者に保証をさせる目的で、破産者又はその親族その他の者に対し、面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

    条文が挙げている目的は①破産者やその親族その他の者に破産債権を弁済させることと②破産債権につき破産者の親族その他の者に保証をさせることで、行為は面会の強請と強談威迫です。個別の事案がこの条文に当たるかどうかの判断は、当サイトでは行いません。依頼後に債権者からの連絡がどうなるかについては受任通知の記事で条文を扱っています。

    破産法(平成16年法律第75号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075(2026年9月5日確認・本則から抽出)

    9. この記事で確認できなかったこと

    推測で埋めないために、確認できなかった項目をそのまま書いておきます。いずれも「当サイトが確認した一次情報の範囲では記載なし」です。

    • 同居する家族の信用情報に登録がされるかどうか
    • 家族の住宅ローンやクレジットカードの審査への影響
    • 子どもの進学・就職・結婚への影響
    • 勤務先に知られた場合の雇用上の取扱い
    • 官報の「閲覧期間」を定める内閣府令の具体的な日数(官報の発行に関する法律8条1項が内閣府令に委任していることまでを確認)
    • 破産規則(最高裁判所規則)が定める公告・通知の細目

    手続そのものの公的な定義は自己破産とはと債務整理の4つの方法で確認できます。依頼したときに債権者からの連絡がどうなるかは受任通知と貸金業法21条1項9号、費用は予納金と弁護士費用の違いと法テラスの立替制度・無料法律相談の条件にまとめています。相談先を選ぶ前の実在確認の手順と実在確認ナビ、公的な相談窓口の一覧もあわせてご覧ください。

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    よくある質問

    自己破産をすると家族の財産は処分されますか。

    法テラスの公式FAQは、この設問に「影響ありません。自己破産はあくまで申立人本人についての手続です。家族の財産が処分されたり、家族の仕事が制限されたりすることはありません。」と回答しています(2026年9月5日確認)。条文の側でも、破産法34条1項が破産財団としているのは「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産」です。個別の財産が誰のものかという判断は、当サイトでは行いません。

    職場の人や近所の人に知られることはありますか。

    法テラスは「官報」に住所・氏名が記載されるため「他人に知られる可能性は否定できません」と書き、さらに職場や近所の人が債権者であれば債権者として裁判所から通知を受けるため「知られてしまう可能性はあります」と書いています(2026年9月5日確認)。条文の側では、破産法32条3項が公告すべき事項の通知先として、1号「破産管財人、破産者及び知れている破産債権者」のほか、2号「知れている財産所持者等」、3号の保全管理人、4号「労働組合等」を挙げています(2026年9月6日確認)。誰がどれにあたるかという個別の判断も、これ以上の見通しも、当サイトでは述べません。

    官報はどこで読めますか。

    破産法10条1項は「この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。」と定めています。官報の発行に関する法律5条2項は、官報の発行を、自動公衆送信を利用して「公衆が閲覧することができる状態に置く措置」をとることにより行うものとしています。官報発行サイト(kanpo.go.jp)には「官報は、行政機関の休日を除き毎日発行しています。」「直近90日間は全て無料で閲覧できます。」との表記があります(2026年9月5日確認・同サイトの表記)。

    家族が保証人になっている場合はどうなりますか。

    破産法253条2項は、免責許可の決定は「破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利及び破産者以外の者が破産債権者のために供した担保に影響を及ぼさない」と定めています。条文の内容は免責の記事で扱っています。個別の対応は弁護士・司法書士にご相談ください。

    家族の信用情報や住宅ローン審査に影響しますか。

    当サイトが確認した一次情報(法テラスの公式FAQ・破産法・裁判所の裁判手続案内)の範囲では、同居する家族の信用情報や、家族の住宅ローン・クレジットカードの審査についての記載を確認できませんでした。確認できていないため、当サイトでは書きません。本人の信用情報を自分で確かめる手順は信用情報の開示方法の記事にあります。


    法テラス「自己破産をすると家族の財産や仕事に影響がありますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-007.html/同「自己破産すると、職場の人や近所の人に知られてしまいますか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-008.html/同「自己破産のメリット・デメリットは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-002.html/破産法(平成16年法律第75号) https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000075/官報の発行に関する法律(令和5年法律第85号) https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000085/官報発行サイト https://www.kanpo.go.jp//裁判所「破産」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_16/index.html(いずれも2026年9月5日確認)

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    最終更新:2026年9月16日/このページは公表されている一次情報(法テラスの公式FAQ・e-Gov法令検索・裁判所・官報発行サイト)のみを根拠に作成しています。条文は破産法および官報の発行に関する法律の本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。破産規則(最高裁判所規則)、官報の閲覧期間を定める内閣府令、同居家族の信用情報や審査への影響は一次情報で確認できなかったため記載していません。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 取引履歴の開示請求とは|貸金業法19条の2「拒むことができない」という条文と、法テラスが示す任意整理の手順で確かめる

    取引履歴の開示請求とは|貸金業法19条の2「拒むことができない」という条文と、法テラスが示す任意整理の手順で確かめる

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    法テラス(日本司法支援センター)は、任意整理の手続について「債権者に対して、債務総額や取引履歴について開示を求めます。」と説明しています(2026年9月5日確認)。この「取引履歴について開示を求めます」の法律上の根拠はどこにあるのか。この記事は、貸金業法19条の2(帳簿の閲覧)の条文を出発点に、①請求できる人は誰か ②帳簿に何が記載され、いつまで保存されるのか ③貸金業者はどんなときなら断れるのか ④拒んだ場合の罰則 ⑤同じ条文が及ばない相手は誰か、を e-Gov法令検索・金融庁・法テラスの公表情報だけで確認する記録です。先に結論:条文が名宛人にしているのは「貸金業者」であり(請求できるのは「債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者」)、すべての債権者に同じ請求ができると条文に書かれているわけではありません。また当サイトは、履歴を取り寄せた結果がどうなるか(過払い金の有無や金額)については一切述べません。

    1. 根拠になる条文|貸金業法19条の2(帳簿の閲覧)

    e-Gov法令検索で貸金業法(昭和58年法律第32号・lawId=358AC1000000032)の本則を確認しました(2026年9月5日)。まず前提になるのが19条で、見出しは「帳簿の備付け」です(原文)。

    貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

    その帳簿を見せるよう求める権利を定めているのが、次の19条の2です。見出しは「帳簿の閲覧」です(原文)。

    債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。

    一般に「取引履歴の開示請求」と呼ばれている手続について、条文が使っている語は「帳簿の閲覧又は謄写の請求」です。条文に「取引履歴」「開示請求」という語はありません。

    貸金業法(昭和58年法律第32号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月5日確認・本則から抽出)

    2. 条文を分解する

    一文が長いので、条文が置いている要素を順に切り分けます。以下はすべて条文の文言の整理であり、当サイトによる解釈や見通しではありません。

    条文の部分書かれていること
    請求できる人債務者等/債務者等であつた者/その他内閣府令で定める者(=施行規則17条の2。次の節)
    請求の相手貸金業者(2条2項=3条1項の登録を受けた者)
    請求できる内容19条の帳簿の閲覧又は謄写
    範囲の限定帳簿のうち「利害関係がある部分に限る」
    方法「内閣府令で定めるところにより」(=施行規則17条の3)
    貸金業者の側「当該請求を拒むことができない」
    断れる場合その請求が「当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるとき」を除く、という書き方(=それが明らかなときは拒絶の制限がかからない条文構造)
    貸金業法19条の2の文言を項目に分けたもの。表現はいずれも条文の語です。

    2条5項は「債務者等」とは債務者又は保証人をいうと定義しています。したがって19条の2の「債務者等又は債務者等であつた者」には、条文上、保証人および過去に債務者・保証人であった人が含まれます。また2条2項は「貸金業者」を「次条第一項の登録を受けた者」と定義し、3条1項は、二以上の都道府県に営業所等を置く場合は内閣総理大臣の、一の都道府県のみの場合はその所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないと定めています。この条文の名宛人は登録を受けた貸金業者であり、この点は後の第7節で改めて確認します。

    貸金業法(昭和58年法律第32号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月5日確認・本則から抽出)

    3. 請求できるのは本人だけではない|施行規則17条の2

    19条の2の「その他内閣府令で定める者」を受けているのが、貸金業法施行規則(昭和58年大蔵省令第40号・lawId=358M50000040040)17条の2です。見出しは「帳簿の閲覧等請求権者」で、次の4類型を挙げています(原文)。

    一 債務者等又は債務者等であつた者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
    二 債務者等又は債務者等であつた者の相続人
    三 債務者等若しくは債務者等であつた者のために又は債務者等若しくは債務者等であつた者に代わつて弁済をした者
    四 債務者等若しくは債務者等であつた者又は前各号に掲げる者から法第十九条の二の請求について代理権を付与された者

    4号の「代理権を付与された者」という文言が、弁護士・司法書士に依頼した場合に代理人が請求する形の根拠にあたる部分です。ただし、誰にどう委任するかは個別の判断であり、当サイトは扱いません。依頼先を選ぶ前の確認手順は日弁連・日司連の公式検索で実在を確認する手順と実在確認ナビにまとめています。

    貸金業法施行規則(昭和58年大蔵省令第40号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040(2026年9月5日確認・本則から抽出)

    4. 帳簿に何が記載され、いつまで保存されるのか

    19条が「その他内閣府令で定める事項」としている中身は、施行規則16条1項が号ごとに定めています。本記事の話題に関係する号を原文で挙げます。

    号記載すべき事項(条文の文言)
    4号貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、各回の弁済に係る法第十八条第一項第四号及び第五号並びに前条第一項第五号(金銭の貸借の媒介にあつては、法第十八条第一項第五号に限る。)に掲げる事項
    ※ここで引かれている法18条1項4号=受領金額及びその利息、賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額/同5号=受領年月日
    5号貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部が弁済以外の事由により消滅したときは、その事由及び年月日並びに残存債権の額
    6号貸付けの契約に基づく債権を他人に譲渡したときは、その者の商号、名称又は氏名及び住所、譲渡年月日並びに当該債権の額
    7号貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等その他の者との交渉の経過の記録
    貸金業法施行規則16条1項のうち4号〜7号(e-Gov法令検索の本則から抽出した原文・強調は当サイト)。4号の※は、その号が引いている貸金業法18条1項4号・5号の文言を同じく本則から抽出して補ったもの。

    7号の「交渉の経過の記録」の中身|金融庁 監督指針 II -2-17

    金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」II -2-17(帳簿の備付け等)の(注)は、規則16条1項7号の「交渉の経過の記録」について「当該記載事項は以下の事項とする」として、次のイ〜ホの5項目を挙げています(2026年9月5日確認・原文の全項目)。

    イ.交渉の相手方(債務者、保証人等の別)。
    ロ.交渉日時、場所及び手法(電話、訪問、電子メール及び書面発送等の別)。
    ハ.交渉担当者(同席者等を含む)。
    ニ.交渉内容(催告書等の書面の内容を含む)。
    ホ.施行規則第10条の25第3項第3号に規定する極度方式基本契約に基づく新たな極度方式貸付けの停止に係る措置を講じている場合、当該措置を講じた旨、年月日及びその理由。

    保存期間|施行規則17条1項の「少なくとも十年間」

    施行規則17条1項は、帳簿の保存期間を次のように定めています(原文の前段)。

    貸金業者は、法第十九条の帳簿を、貸付けの契約ごとに、当該契約に定められた最終の返済期日(当該契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したときにあつては、当該債権の消滅した日)から少なくとも十年間保存しなければならない。

    同項ただし書は、極度方式基本契約を締結した場合について、基本契約の解除の日または各契約の最終の返済期日のうち最後のもの(債権のすべてが消滅したときはその消滅した日)のいずれか遅い日から少なくとも十年間という別の起算を定めています。「十年間」は保存義務の下限として条文に書かれた年数であり、それより古い記録が残っているかどうかについて、当サイトは述べません。なお同条2項は「その営業所等が現金自動設備であるときは、帳簿の備付けを行うことを要しない」と定めています。

    貸金業法施行規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」II.貸金業者の監督に当たっての評価項目 https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kashikin/02.html(いずれも2026年9月5日確認)

    5. 閲覧・謄写の方法と、条文に書かれていないこと

    19条の2の「内閣府令で定めるところにより」を受けているのが、施行規則17条の3(帳簿の閲覧方法)です(原文)。

    貸金業者は、法第十九条の規定に基づき、同条の帳簿をその営業所等ごとに備え置き、法第十九条の二に規定するときを除くほか、その営業時間内に、請求者の請求に応じて閲覧又は謄写をさせなければならない。

    条文が定めているのは「その営業時間内に」「請求者の請求に応じて」という限度までです。監督指針 II -2-18(帳簿の閲覧、謄写)は、監督上の着眼点として次を挙げています(原文)。

    債務者等又は債務者等であった者(以下「帳簿の閲覧等の請求者」という。)から帳簿の閲覧又は謄写を求められた際の対応について、帳簿の閲覧等の請求者が本人又は正当な委任を受けた代理人等であるか確認したうえで、過度の負担を課すことなく迅速に帳簿の閲覧又は謄写に応じるよう社内規則等を定めているか。
    なお、本人又は正当な委任を受けた代理人等であるかの確認及び閲覧又は謄写の方法に関し、正当な理由なく過度な負担を課す場合は、帳簿の閲覧又は謄写の拒否に該当するおそれがあることに留意する必要がある。

    同じ II -2-18 は、来店が難しい場合について「帳簿の複写請求や複写物の郵送請求に配慮しているか」、費用について「帳簿の複写や複写物の郵送に係る実費を徴収する場合、当該金額は適正かつ適切な金額となっているか」という着眼点も置いています。これは監督上の着眼点であって、金額を定めた規定ではありません。

    当サイトが確認した範囲で「記載なし」だった項目

    貸金業法19条・19条の2、および施行規則16条・17条・17条の2・17条の3のいずれにも、次の定めは置かれていませんでした(2026年9月5日に本則を確認)。

    • 請求書の様式(書式・記載事項・押印の要否)
    • 請求にかかる手数料の額(監督指針が触れているのは「実費を徴収する場合」の適切さのみ)
    • 貸金業者が回答・開示するまでの期限(日数)

    確認できなかったこれらの項目について、当サイトは推測で補いません。実際の請求方法・必要書類・費用は、請求先が公表している案内でご確認ください。

    貸金業法施行規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」 https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kashikin/02.html(いずれも2026年9月5日確認)

    6. 拒んだ場合の罰則|貸金業法49条6号

    貸金業法49条は、各号のいずれかに該当する者を「百万円以下の罰金に処する」と定めています。その6号が19条の2に対応します(原文)。

    六 第十九条の二後段(第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項及び第二十四条の五第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、相当の理由がないのに、帳簿の閲覧又は謄写の請求を拒んだ者

    ここで条文の文言に差があることを指摘しておきます。19条の2は「権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き」と書き、49条6号は「相当の理由がないのに」と書いています。これは条文にそう書かれているという事実の指摘であり、両者の関係についての説明ではありません。なお49条5号は、19条に違反して帳簿を備え付けず、記載せず、虚偽の記載をし、または保存しなかった者を、同じく百万円以下の罰金の対象としています。個別の事案が違反にあたるかどうかの判断は、当サイトでは行いません。

    貸金業法 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(2026年9月5日確認・本則から抽出)

    7. 相手によって根拠が変わります

    ここまでの条文は、いずれも貸金業者を名宛人にしたものです。相手が違えば、同じ条文がそのまま当てはまるとは条文に書かれていません。確認できた範囲を整理します。

    (1) 債権を譲り受けた者などには準用されています

    貸金業法24条2項は、準用する規定として「第十八条から第二十二条まで」を挙げ、これを「貸金業者の貸付けに係る契約に基づく債権の譲渡があつた場合における当該債権を譲り受けた者について準用する」と定めています。この範囲には19条・19条の2が含まれます。同じ形の準用は、24条の2第2項(保証等に係る求償権等を取得した保証業者)、24条の3第2項(受託弁済者)、24条の4第2項・24条の5第2項(それらの求償権等を譲り受けた者)にも置かれています。

    施行規則の側にも対応する規定があり、23条の4(債権譲渡後の帳簿の閲覧方法)・23条の5(債権譲渡後の帳簿の閲覧等請求権者)をはじめ、保証業者・受託弁済者・各譲受人それぞれについて同型の条文(26条の4の4/26条の4の5、26条の9の4/26条の9の5、26条の14の4/26条の14の5、26条の20の4/26条の20の5)が置かれています。

    (2) 24条の6が準用する規定に19条・19条の2は挙げられていません

    24条の6(準用)は、貸金業を営む者(貸金業者を除く)とその債権の譲受人などについて準用する規定として、20条1項・2項、20条の2、21条、24条1項などを列挙しています。この列挙の中に19条・19条の2はありません。これは条文の列挙という事実の指摘であり、当サイトはこれ以上の意味づけをしません。無登録の業者に関する公的な注意喚起はヤミ金・整理屋・紹介屋の手口と整理屋への注意で扱っています。

    (3) 債権回収会社(サービサー)の根拠法には閲覧請求の規定が見当たりません

    債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号・lawId=410AC1000000126)20条は「債権回収会社は、法務省令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。」と定めています。当サイトが同法の本則を「帳簿」「閲覧」で検索した範囲では、債務者等が債権回収会社に対して帳簿の閲覧・謄写を請求できるとする規定は見当たりませんでした(「帳簿」の語を含むのは20条・22条〈立入検査等〉・34条〈罰則〉の3条で、「閲覧」の語を含む条はありませんでした)。ただし前記(1)のとおり、貸金業者の貸付けに係る契約に基づく債権を譲り受けた者については貸金業法24条2項の準用があります。どちらに当たるかは個別の事実関係の問題であり、当サイトは判定しません。受任通知の後の取立ての規制については貸金業法21条1項9号の記事で条文を確認できます。

    (4) 貸金業から除かれている貸付けもあります

    貸金業法2条1項ただし書は、貸金業から除かれるものの一つとして「貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの」(2号)を挙げています。どの事業者がこれに当たるかは条文には列挙されておらず、当サイトは個別の事業者について判定しません。なお金融庁の監督指針 II -2-20(債権譲渡等)は、債権譲渡契約の着眼点として「債務者等からの問い合わせや取引履歴の開示請求などがある場合を想定し、債権譲受人との明確な責任分担のもとに債務者等に適切に対応するための規定が置かれているか」を挙げており、監督指針の側では「取引履歴の開示請求」という語が使われています。

    貸金業法 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/貸金業法施行規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号) https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126/金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」 https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kashikin/02.html(いずれも2026年9月5日確認・法令は本則から抽出)

    8. 任意整理・過払い金との位置関係

    法テラスは「任意整理の手続について教えてください。」という公式FAQで、手続の最初の段階を次のように説明しています(2026年9月5日確認・第1文を原文のまま引用)。

    債権者に対して、債務総額や取引履歴について開示を求めます。

    同FAQは続けて、その後は支払額や支払方法について債権者と交渉し、債権者の合意が得られれば合意した支払額・支払方法で支払っていくことになる、と説明しています。手続そのものの公的な定義は任意整理とは、手続の全体像は債務整理の4つの方法で確認できます。

    また法テラスは、過払金について次のように説明しています(2026年9月5日確認・原文)。

    過払金とは、利息制限法で認められている利息(年15~20%)を超えて払いすぎた金銭のことです。利息制限法に違反して支払った利息は、順次元本に充当されます。元本がゼロになった後も支払われた金銭は、法律上の根拠なく受けた利益(不当利得)として返還を求めることができます。

    当サイトは、帳簿の閲覧・謄写を請求した結果として何が判明するか、過払金があるか、いくらになるかについては一切述べません。それは個別の取引内容に基づく計算と法律判断だからです。過払金の定義と期限は過払い金とは何か・いつまで請求できるか、時効の仕組みは消滅時効の援用とはで公的情報を確認できます。なお、この記事で扱った「帳簿の閲覧」は貸金業者に対する請求であり、CIC・JICC・KSCといった信用情報機関への本人開示とは相手も根拠も別の手続です。そちらは信用情報の開示方法で扱っています。費用面の公的制度は法テラスの費用立替制度と債務整理の費用の目安にまとめています。

    法テラス「任意整理の手続について教えてください。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-003.html/法テラス「過払金とは何ですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-kabarai-001.html(いずれも2026年9月5日確認)

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    よくある質問

    「取引履歴の開示請求」は法律に書かれている言葉ですか?

    貸金業法19条の2の見出しは「帳簿の閲覧」で、条文が使っているのは「帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる」という表現です。条文に「取引履歴」「開示請求」という語はありません。一方、金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」II -2-20には「取引履歴の開示請求」という語が使われています(2026年9月5日確認)。

    完済した後でも請求できると条文に書かれていますか?

    貸金業法19条の2は、請求できる者として「債務者等又は債務者等であつた者」を挙げています。また施行規則17条1項は、帳簿を最終の返済期日(債権が消滅したときはその消滅した日)から少なくとも十年間保存しなければならないと定めています。これらは条文の記載であり、当サイトは個別の事案で請求が認められるかどうかを判定しません。過払金の期限については過払い金とは何か・いつまで請求できるかの記事で法テラスの説明を確認できます。

    手数料はかかりますか?

    当サイトが確認した貸金業法19条・19条の2および施行規則16条・17条・17条の2・17条の3には、手数料の額の定めは置かれていませんでした(記載なし)。金融庁の監督指針 II -2-18は「帳簿の複写や複写物の郵送に係る実費を徴収する場合、当該金額は適正かつ適切な金額となっているか」という監督上の着眼点を置いています(2026年9月5日確認)。実際の取扱いは請求先の案内でご確認ください。

    銀行や債権回収会社にも同じ条文が使えますか?

    貸金業法19条の2の名宛人は貸金業者です。24条2項などは、貸金業者の貸付けに係る契約に基づく債権を譲り受けた者・保証業者・受託弁済者などについて「第十八条から第二十二条まで」を準用しています。他方、24条の6が準用する規定の列挙に19条・19条の2はありません。また債権管理回収業に関する特別措置法の本則を当サイトが検索した範囲では、債務者等による帳簿の閲覧・謄写の請求権を定めた規定は見当たりませんでした。個別の相手方がどれに当たるかの判断は、弁護士・司法書士にご相談ください。


    出典(主要):貸金業法(昭和58年法律第32号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032/貸金業法施行規則(昭和58年大蔵省令第40号) https://laws.e-gov.go.jp/law/358M50000040040/債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号) https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126/金融庁「貸金業者向けの総合的な監督指針」 https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kashikin/02.html/法テラス https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-niniseiri-003.html(いずれも2026年9月5日確認)

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    最終更新:2026年9月5日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・金融庁・法テラス)のみを根拠に作成しています。条文は貸金業法・貸金業法施行規則および債権管理回収業に関する特別措置法の本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。請求書の様式、手数料の額、回答までの期限は確認した条文に定めが置かれていなかったため「記載なし」と明記し、推測で補っていません。裁判例は原文を取得できなかったため記載していません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 債務整理の相談に持っていく資料|法テラスFAQの持参物と、裁判所が例示する破産・個人再生の申立書類を公式情報で整理する

    債務整理の相談に持っていく資料|法テラスFAQの持参物と、裁判所が例示する破産・個人再生の申立書類を公式情報で整理する

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    債務整理の相談を予約すると、次に出てくるのが「何を持っていけばいいのか」という疑問です。この記事は、その答えを公表されている一次情報の原文のまま並べた記録です。先に結論:法テラスの公式FAQは「一般に資料が手元になくても相談は可能です」と書いています。そのうえで「準備を求められる資料」として8項目を例示しています。裁判所も、自己破産と個人再生の申立書類を挙げた直後に「上記は例示です」と明記しています。特定調停の資料については、簡易裁判所のQ&Aが「このほかにも、裁判所から必要な書類を指示された場合には、その指示に従ってください。」と書いています。以下では、法テラスと裁判所が実際に書いている項目を、当サイトが項目を足したり言い換えたりせずにそのまま列挙します。どの一覧も「これを持っていけば手続ができる」という意味の確定リストではありません。

    1. 先に結論|法テラスは「資料が手元になくても相談は可能」と書いている

    法テラス(日本司法支援センター)の「よくある相談>借金>自己破産」に、「債務整理について相談に行く際は、どのような資料を持参するとよいですか。」というFAQがあります。回答の書き出しは次のとおりです(原文)。

    債務整理(任意整理・自己破産・個人再生等)の相談をする弁護士・司法書士等が決まっている場合は、事前に連絡をとって、必要な資料を確認されるとよいでしょう。一般に資料が手元になくても相談は可能です。

    ここで押さえておきたい点は2つです。1つ目は、持ち物が揃わないことは相談しない理由にならないと公式に書かれていること。2つ目は、何を持っていくかの正解は相談先が持っているということ。法テラスは「事前に連絡をとって、必要な資料を確認されるとよいでしょう」と、相談先への事前確認を案内しています。手続の種類そのものについては債務整理の4つの方法で整理しています。

    法テラス「債務整理について相談に行く際は、どのような資料を持参するとよいですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-005.html(2026年9月5日確認)

    2. 法テラスFAQが挙げる8項目|原文の文言のまま

    同じFAQの続きで、法テラスは「弁護士・司法書士から準備を求められる資料としては、例えば以下のようなものがあります。」として、次の8項目を挙げています。以下は原文の箇条書きの文言そのままで、当サイトによる追加・言い換えはしていません。

    • 債権者一覧表
    • 債権者からの督促状、債権回収会社からの通知書、裁判所から届いた書類
    • 最近2、3か月分の給与明細書、自営業の場合は入出金の状況が分かる帳簿など
    • 本人名義の預貯金通帳
    • 消費者金融やクレジット会社との契約書、領収書、ATMで発行されたレシートなど
    • 自分の名前で作ったキャッシングやローンのカード、クレジットカード
    • 1か月間の収入、支出の内訳を整理した家計簿(できれば最近2、3か月分)
    • 住宅ローンや不動産担保ローンを組んでいる場合は、土地、建物の登記事項証明書

    文頭が「例えば」で始まっている点が重要です。この8項目は法テラスが示した例示であり、8項目を揃えることが相談の条件だとは書かれていません。逆に、8項目に入っていない資料を相談先から求められることもあり得ます。なお、この一覧には自分がどこにいくら借りているかを示すもの(債権者一覧表、契約書、督促状)と、収入・支出・資産を示すもの(給与明細書、通帳、家計簿)の両方が含まれています。借入先そのものが分からない場合の調べ方は信用情報の開示方法にまとめています。

    法テラス「債務整理について相談に行く際は、どのような資料を持参するとよいですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-005.html(2026年9月5日確認)

    3. 法テラスの無料法律相談を予約した場合の準備|公式「ご利用の流れ」

    相談先が法テラスの無料法律相談である場合、法テラスは「無料法律相談のご利用の流れ」というページで、予約から相談当日までの段取りを示しています。持ち物に関係する記載は次のとおりです。

    まず予約の段階について、同ページは「※ご予約時に収入(平均月収)や資産(お持ちの現金・預貯金)をお聞きします。」と書いています。相談時間は1回30分、同一の問題につき3回まで無料で相談でき、相談は原則として事前の予約が必要とされています(利用の条件そのものは法テラスの無料法律相談の条件で詳しく確認できます)。

    次に「STEP 02 相談の準備をする」の原文です。

    相談したい内容に応じて、裁判所や事件の相手方から届いた書類(訴状や呼出状、請求書など)をご準備ください。そのほか、相談時間が限られているため、事前に相談内容を整理した手控えメモがあると便利です。緊張もあって記憶が曖昧になることや話し忘れることもあるので、事前に内容を整理しておきましょう。

    そして「STEP 03 相談する」には、当日の到着時刻に関わる記載があります。

    相談前に「援助申込書」をご記入いただく必要があるため、時間には余裕を持ってお越しください(通常、相談開始の10分前までの来所をお願いしています)。

    つまり法テラスの無料法律相談では、持参物として名指しされているのは「裁判所や事件の相手方から届いた書類」であり、それに加えて手控えメモが「便利」とされ、当日は援助申込書の記入時間として10分前までの来所が案内されている、という構成です。

    法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html(2026年9月5日確認)

    4. 費用の立替制度まで進む場合|法テラス「審査に必要な書類」の5区分

    相談だけで終わらず、弁護士・司法書士への依頼費用を法テラスに立て替えてもらう段階に進むと、書類の話は具体的になります。法テラスの「審査に必要な書類について」は、冒頭で「審査に必要な書類は、事件の内容によって異なりますのでご注意ください。」と断ったうえで、(1)~(5)の5区分を示しています。制度そのものの説明は法テラスの費用立替制度にまとめています。

    区分法テラスが挙げている書類(原文の項目名)
    (1)本人及び同居の家族人数を確認するための資料住民票(申込みから3ヶ月以内に発行されたもの/本籍、筆頭者、続柄、世帯全員の記載があるもの)
    (2)収入を確認するための資料
    ※状況に応じていずれか
    給与生活者=給与明細及び賞与明細(給与明細は直近2ヶ月分、賞与明細は直近のもの)/源泉徴収票/課税(所得)証明書/非課税(所得)証明書
    自営業者=確定申告書の写し(直近1年分。e-Taxの場合は受付結果(受信通知)を添付)/課税(所得)証明書
    年金受給者=年金振込通知書/年金支払通知書/年金証書
    無職=非課税(所得)証明書/雇用保険受給者証明書/離職票/解雇通知
    生活保護受給者=生活保護受給証明書(申込みから3ヶ月以内)/生活保護(開始・変更)決定書(申込みから3ヶ月以内)/生活保護受給者証
    (3)資産を確認するための資料資力申告書/(現金や預貯金以外の資産がある場合)固定資産評価証明書、固定資産納税通知書
    (4)勝訴の見込みや事件内容を確認するための資料債務整理(自己破産、任意整理など)=債務一覧表
    (5)返済に使用する口座の確認のための資料自動払込利用申込書兼預金口座振替依頼書の写し/通帳の写し(キャッシュカードの写し)/インターネットバンキング等の画面等の写し
    法テラス「審査に必要な書類について」の(1)~(5)。(4)は事件の種類ごとに書類が異なり、上表には債務整理の行のみを引いた(2026年9月5日確認)

    注目したいのは、(4)で債務整理に求められている書類が「債務一覧表」1点と書かれていることです。一方で(2)の収入証明は働き方によって用意するものが変わる形になっています。ここは相談前の準備というより、依頼が決まってからの手続で使う一覧です。任意整理のように裁判所を使わない手続でも、立替制度を利用するならこの審査を通ることになります。

    法テラス「審査に必要な書類について」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/document.html(2026年9月5日確認)

    5. 裁判所に申し立てる段階|自己破産の書類(裁判所が挙げる6項目)

    相談の持ち物と、裁判所に出す書類は別物です。裁判所の「裁判手続 民事事件Q&A」には「申立ての際には、どのような書類を用意すればよいのですか。」という項目があり、破産について次のように書かれています(原文)。

    個人債務者が破産手続を申し立てる際には、申立書のほかに次のような書類などが必要となります。
    1. 住民票の写し(本籍の記載があり、マイナンバーの記載のないもの。)
    2. 事情説明書(破産手続申立てに至るまでの事情、生活状況、財産状況などを記載します。)
    3. 債権者一覧表(債権者の名前、債務の内容・残額などを記載します。)
    4. 財産目録(債務者の財産の内訳を記載します。)
    5. 源泉徴収票・給料明細書(現在、給料の支払いを受けている場合)
    6. 退職金支給額証明書(最近まで勤めていた場合)

    この直後に、裁判所は「上記は例示です。 提出する書類については、申立ての内容等によって異なりますので、申立てをする裁判所にお問い合わせください。」と書いています。同じQ&Aによれば、破産手続の申立ては債務者の住所地を管轄する地方裁判所に対して行い、手数料は収入印紙1000円分(債権者による申立ての場合2万円分)、免責許可の申立ては収入印紙500円分とされています。これらとは別に郵便料や予納金が必要で、その額は「裁判所や申立ての内容によって異なります」と書かれています。手続の全体像は自己破産とは、裁判所に納める費用の位置づけは自己破産の予納金で確認できます。

    裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(2026年9月5日確認)

    6. 個人再生の申立書類(裁判所が挙げる4項目)

    同じQ&Aの個人再生の項目では、次のように書かれています(原文)。

    個人再生手続の申立ての際には、職業、収入、申立てをすることになった事情を書いた申立書のほか、次のような書類などが必要となります。
    1. 住民票の写し
    2. 債権者一覧表(債権者の名前、債務の内容・残額などを記載します。)
    3. 財産目録(債務者の財産の内訳を記載します。)
    4. 源泉徴収票・給料明細書

    ここでも「上記は例示です。提出する書類については、申立ての内容によって異なりますので、申立てをする裁判所にお問い合わせください。」と続きます。破産の一覧と読み比べると、住民票の写し・債権者一覧表・財産目録・源泉徴収票/給料明細書の4つは共通で、破産側にだけ事情説明書と退職金支給額証明書が挙げられている、という違いが見えます。個人再生の申立ても債務者の住所地などを管轄する地方裁判所に対して行い、手数料は収入印紙1万円分とされています。手続の要件は個人再生とは、返済額の下限は個人再生の最低弁済額で扱っています。

    裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(2026年9月5日確認)

    7. 特定調停を申し立てるときの資料(簡易裁判所)

    簡易裁判所に申し立てる特定調停については、裁判所の「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」に「特定調停の申立ての時にどのような資料が必要ですか?」という項目があります(原文)。

    特定調停を申し立てるときには、このままでは返済を続けていくことが難しいということを明らかにする資料として、資産の一覧表、債権者及び担保権者の一覧表、生活や事業の状況が分かるもの、借入れの内容やこれまでの返済の内容が分かるものなどを提出してください。

    続けて具体例が挙げられています。生活の状況が分かるもの=給与明細、家計簿、通帳などの写し、借入れの内容が分かるもの=契約書などの写し、これまでの返済の内容が分かるもの=領収証などの写し。事業をしている場合は事業内容が分かる帳票の写しが挙げられています。また資産としては、不動産、自動車、預貯金、生命保険解約返戻金、事業用の機械、売掛金、手形債権などが考えられる、と書かれています。申立ては調停申立書という書面を相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に提出する形です。末尾には「このほかにも、裁判所から必要な書類を指示された場合には、その指示に従ってください。」とあり、ここでも一覧が固定ではないことが示されています。手続の内容は特定調停の流れで確認できます。

    裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html(2026年9月5日確認)

    8. 4つの一覧を並べる|共通して出てくるもの・出典が違うもの

    ここまでに引いた4つの一覧を、出典ごとに並べます。それぞれ発行元も場面も違うため、1本のチェックリストに統合できるものではありません。

    場面発行元と一覧の性格その一覧に出てくる主なもの
    弁護士・司法書士に相談しに行くとき法テラスFAQ(「例えば」=例示)債権者一覧表/督促状・通知書・裁判所から届いた書類/給与明細書・帳簿/預貯金通帳/契約書・領収書・レシート/カード類/家計簿/登記事項証明書
    法テラスの無料法律相談法テラス「ご利用の流れ」(準備の案内)裁判所や事件の相手方から届いた書類(訴状や呼出状、請求書など)/相談内容を整理した手控えメモ/当日は援助申込書の記入
    法テラスの費用立替の審査法テラス「審査に必要な書類」(事件の内容により異なる)住民票/収入を確認する資料/資力申告書等/債務一覧表/返済口座の確認資料
    裁判所に申し立てるとき裁判所「民事事件Q&A」=破産・個人再生の一覧の直後に「上記は例示です」/裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」=特定調停は「このほかにも、裁判所から必要な書類を指示された場合には、その指示に従ってください」破産=住民票の写し・事情説明書・債権者一覧表・財産目録・源泉徴収票/給料明細書・退職金支給額証明書/個人再生=住民票の写し・債権者一覧表・財産目録・源泉徴収票/給料明細書/特定調停=資産の一覧表・債権者及び担保権者の一覧表ほか
    各一覧の出典と性格の対照(2026年9月5日確認時点の各公式ページの記載)

    当サイトの補足:上の表は、それぞれの公式ページに書かれている項目を場面ごとに並べただけのものです。当サイトが独自に項目を追加したり、「これだけ揃えれば足りる」と評価したりはしていません。法テラスFAQ・法テラス「審査に必要な書類について」・裁判所「民事事件Q&A」の3つは、公式ページ自身が「例えば」「事件の内容によって異なります」「上記は例示です」と書いています。特定調停についても、簡易裁判所のQ&Aが「このほかにも、裁判所から必要な書類を指示された場合には、その指示に従ってください。」としています。実際に何を持っていくかは、法テラスFAQの言うとおり相談先に事前に連絡をとって確認するのが、公式情報から導ける唯一の答えです。

    なお、相談先を選ぶ前に確認しておきたいのが、その弁護士・司法書士が実在するかどうかです。日弁連・日司連の公式検索での確かめ方は弁護士・司法書士の実在確認にまとめ、手順を追える形にしたものを実在確認ナビに置いています。

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    よくある質問

    資料が何も手元にない状態でも相談できますか?

    法テラスの公式FAQは「一般に資料が手元になくても相談は可能です」と書いています。同じFAQは、相談先が決まっている場合には「事前に連絡をとって、必要な資料を確認されるとよいでしょう」とも案内しています。

    法テラスのFAQに載っている8項目を全部揃える必要がありますか?

    FAQの原文は「弁護士・司法書士から準備を求められる資料としては、例えば以下のようなものがあります。」という書き方で、8項目を例示として挙げています。8項目を揃えることが相談の条件であるとは書かれていません。当サイトとしても、揃うか揃わないかの判断はしません。

    裁判所に出す書類は、この記事の一覧で足りますか?

    裁判所の「裁判手続 民事事件Q&A」は、破産についても個人再生についても一覧の直後に「上記は例示です。」と明記しています。続く一文は、破産が「提出する書類については、申立ての内容等によって異なりますので、申立てをする裁判所にお問い合わせください。」、個人再生が「提出する書類については、申立ての内容によって異なりますので、申立てをする裁判所にお問い合わせください。」です。特定調停については、「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」に「このほかにも、裁判所から必要な書類を指示された場合には、その指示に従ってください。」と書かれています。したがって、この記事の一覧は足りるかどうかを判定するものではありません。

    相談の当日、何分前に行けばよいですか?

    法テラスの無料法律相談については、公式ページに「相談前に『援助申込書』をご記入いただく必要があるため、時間には余裕を持ってお越しください(通常、相談開始の10分前までの来所をお願いしています)。」と記載されています。法テラス以外の相談先の集合時刻については、当サイトでは確認できていないため記載なしとします。

    法テラスの費用立替を使う場合、収入の証明は何を出すのですか?

    法テラス「審査に必要な書類について」は、状況に応じていずれかを用意するものとして、給与生活者=給与明細(直近2ヶ月分)及び賞与明細・源泉徴収票・課税(所得)証明書・非課税(所得)証明書、自営業者=確定申告書の写し(直近1年分)・課税(所得)証明書、年金受給者=年金振込通知書・年金支払通知書・年金証書、無職=非課税(所得)証明書・雇用保険受給者証明書・離職票・解雇通知、生活保護受給者=生活保護受給証明書等を挙げています。同ページは冒頭で「審査に必要な書類は、事件の内容によって異なりますのでご注意ください。」と断っています。


    法テラス「債務整理について相談に行く際は、どのような資料を持参するとよいですか。」 https://www.houterasu.or.jp/site/faq/syakkin-hasan-005.html/法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/goriyounonagare.html/法テラス「審査に必要な書類について」 https://www.houterasu.or.jp/site/soudan-tatekae/document.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html(いずれも2026年9月5日確認)

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    最終更新:2026年9月5日/このページは公表されている一次情報(法テラス公式サイト、裁判所公式サイト)のみを根拠に作成しています。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。各一覧は各公式ページが自ら「例示」または「事件の内容によって異なる」と記載しているものであり、当サイトが項目を追加・省略・評価したものではありません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。

  • 債権回収会社(サービサー)は本物か|法務省が公表する「許可した株式会社一覧」で照合する手順

    債権回収会社(サービサー)は本物か|法務省が公表する「許可した株式会社一覧」で照合する手順

    PR:本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。掲載内容は公表されている一次情報をもとに当サイトが確認したものです。

    先に結論:債権回収会社(サービサー)が法務大臣の許可を受けているかどうかは、法務省が公表している「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」で照合できます。2026年9月5日に確認した時点で、この一覧に掲載されている会社は72社(法務省の注記は「令和8年8月3日現在。廃業等の届出があった会社は除く。」)でした。この記事では、その一覧の見方、掲載されている法人番号を国税庁法人番号公表サイトで突き合わせる手順、そして法務省・消費者庁・国民生活センターが公表している注意点を、一次情報の原文だけで整理します。個々の請求が正当かどうかの判断はしません。この記事が扱うのは「公表された名簿で確かめられる範囲」だけです。

    1. 債権回収会社(サービサー)とは、法務大臣の許可を受けた株式会社のこと

    根拠法は債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号。e-Gov法令検索の略称欄は「サービサー法」)です。e-Gov法令検索で本則を確認しました(2026年9月5日確認・現在施行されている版=令和7年10月1日施行)。

    まず2条2項が「債権管理回収業」を定義しています(原文)。

    この法律において「債権管理回収業」とは、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人以外の者が委託を受けて法律事件に関する法律事務である特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業をいう。

    そして3条が、その営業を許可制にしています(原文)。

    債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた株式会社でなければ、営むことができない。

    2条3項は「この法律において『債権回収会社』とは、次条の許可を受けた株式会社をいう。」と定めています。つまり「債権回収会社」という語は、法律上は3条の許可を受けた株式会社を指す言葉です。1条(目的)は、この許可制度が弁護士法の特例として置かれたものであることを明記しています。

    法務省の制度説明ページによると、この法律は第143回国会で議員立法により成立し、平成10年10月16日に公布、平成11年2月1日に施行されました。同ページは、許認可・監督等の事務について「同業の許認可・監督等の事務は、司法法制部審査監督課で所掌しており」と記載し、許可の要件として「(1)5億円の最低資本金、(2)暴力団員等の関与がないこと、(3)常務に従事する取締役の1名以上に弁護士が含まれていること」などを挙げています。

    債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号) https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126(2026年9月5日確認・本則から抽出)/法務省「債権回収会社(サービサー)制度 -債権管理回収業に関する特別措置法-」 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa01.html(2026年9月5日確認)

    2. 名簿の場所と、掲載されている項目

    許可を受けた会社の名簿は、法務省のウェブサイトに「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」というページ名で公開されています。ページの先頭には「特定の債権回収会社を検索する場合は、ページ内検索機能(※)をご利用ください。」という案内があり、注記として「Windowsの場合、『Ctrl』キーと『F』キーを同時に押すと『検索窓』が開きます。」と書かれています。

    表の列は次のとおりです(2026年9月5日確認)。

    列載っている内容
    許可番号会社ごとの番号(連番ではありません)
    営業許可年月日例:平成11年4月6日、令和8年3月10日
    商号会社名。同じ欄に13桁の法人番号が併記されています
    代表者代表者の氏名
    本店所在地郵便番号と住所
    電話番号会社の電話番号
    法務省「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」の列構成(2026年9月5日確認)。

    表の末尾には次の一文が置かれています(原文)。

    以上 72社(※令和8年8月3日現在。廃業等の届出があった会社は除く。)

    2026年9月5日に取得したページで行数を数えたところ、掲載行は72行、併記されている法人番号も72件(重複なし)で、法務省の記載と一致しました。許可番号は最小が2、最大が131で、途中は飛び番になっています。つまり「許可番号の最大値=現在の会社数」ではありません。

    当サイトでは72社の社名一覧を転載しません。名簿そのものは法務省のページでご確認ください。なお、この数と基準日は更新されます。閲覧時点のページに書かれている「◯年◯月◯日現在」を、そのつど読み直してください。

    法務省「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa15.html(2026年9月5日確認)

    3. 照合の手順

    手元に届いた通知・ハガキ・SMS・電話の相手について、公表情報だけで確かめられるのは次の5点です。

    手順やること見る先
    ①名乗っている商号を一覧のページ内検索(Ctrl+F)で探す法務省 一覧ページ
    ②一覧に併記された13桁の法人番号を控える法務省 一覧ページ
    ③その法人番号で商号・本店所在地を突き合わせる国税庁 法人番号公表サイト
    ④通知に書かれた本店所在地・代表者名と、一覧の記載を見比べる法務省 一覧ページ
    ⑤連絡するなら、通知に書かれた番号ではなく一覧に載っている電話番号を使う法務省 一覧ページ
    公表情報で確かめられる範囲の照合手順。個々の請求が正当かどうかの判断は含みません。

    ⑤について、法務省は注意喚起ページで次のように書いています(原文)。

    たとえ実在する債権回収会社であったとしても、請求根拠に心当たりがない場合には、債権回収会社になりすましている可能性も考えられます。確認のため、法務省ホームページに掲載された債権回収会社の正しい連絡先に問い合わせてみましょう。

    あわせて法務省は、悪質な業者に自分から連絡しないよう求め、その理由として「債務を確認するためや支払意思のないことを伝える電話であったとしても、こちらから連絡をすることによって、電話番号等の個人情報を知られてしまうおそれがあります。」と書いています。

    法務省「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求に御注意ください」(法務省大臣官房司法法制部審査監督課) https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa19.html(2026年9月5日確認)

    4. 法人番号での突合|手順の実例

    手順③がどう動くかを、一覧の先頭に載っている1社で実行しました(2026年9月5日)。この会社を取り上げたのは手順を示すためであり、評価や紹介の意図はありません。

    項目法務省 一覧の記載国税庁 法人番号公表サイトの記載
    商号日本債権回収株式会社日本債権回収株式会社(フリガナ:ニホンサイケンカイシュウ)
    法人番号20100010703372010001070337
    本店所在地〒102-8503 東京都千代田区麹町五丁目2番地1東京都千代田区麹町5丁目2番地1
    許可番号/営業許可年月日2 / 平成11年4月6日記載なし
    代表者横大路博記載なし
    変更履歴記載なし変更履歴情報は1件(区分は「新規」)/法人番号指定年月日 平成27年10月5日/最終更新年月日 平成30年7月5日
    法務省一覧と国税庁法人番号公表サイトの突合(2026年9月5日確認)。国税庁の個別ページには「令和8年9月5日22時18分時点の情報です。」と表示されていました。

    住所は漢数字と算用数字の違いだけで一致しました。逆に、商号は同じなのに法人番号や本店所在地が食い違う場合は、同名の別法人を見ている可能性があります。国税庁法人番号公表サイトは商号でも検索できるので、同名の法人が複数出たときは所在地で突き合わせてください。

    国税庁の個別ページには変更履歴も表示されます。ただし、国税庁が公表しているのは商号・所在地・法人番号(基本3情報)であり、債権管理回収業の許可の有無は含まれません。許可の有無は法務省の一覧側でしか確認できません。逆に、法務省の一覧には許可の有効期間や監督処分の履歴は記載されていません。

    国税庁 法人番号公表サイト https://www.houjin-bangou.nta.go.jp//同サイト 法人番号2010001070337の情報 https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/henkorireki-johoto.html?selHouzinNo=2010001070337(2026年9月5日確認)/法務省 前掲一覧 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa15.html(2026年9月5日確認)

    5. 商号のルール|「債権回収」という文字と、誤認させる商号の禁止

    サービサー法13条は商号について2つの規定を置いています(以下は1項・2項の原文)。

    1 債権回収会社は、その商号中に債権回収という文字を用いなければならない。
    2 債権回収会社でない者は、その商号のうちに債権回収会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

    1項は許可を受けた会社に課された義務、2項は許可を受けていない者に対する禁止です。ここで注意したいのは、1項があるからといって「商号に『債権回収』と入っていれば許可業者だ」とは言えないことです。許可を受けていない者が誤認されるおそれのある商号を用いることは13条2項が禁じており、35条2号がその違反を100万円以下の罰金と定めています。名乗りではなく、名簿で照合する意味はここにあります。

    許可を受けずに債権管理回収業を営んだ場合の罰則は33条1号です。33条の柱書は「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定め、1号が「第三条の規定に違反して、許可を受けないで債権管理回収業を営んだとき。」です。同条3号は、14条(名義貸しの禁止)に違反して他人に債権管理回収業を営ませた場合を同じ枠に入れています。

    債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号)13条・14条・33条・35条 https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126(2026年9月5日確認・本則から抽出)

    6. 法務省が「許可を受けた債権回収会社はしない」と明記している請求方法

    法務省の注意喚起ページは、許可を受けた債権回収会社が行わない請求の型を具体的に挙げています。以下はいずれも同ページの原文です。

    法務省の記載内容
    請求の中身「法務大臣の許可した債権回収会社が、出会い系サイト、アダルトサイトの利用料等を請求することはありません。」「例えば『有料番組未納料金』、『電子消費者契約通信未納料金』等と称するものを請求することもありません。」
    請求・督促の方法(1)目隠しシールのないハガキでの請求や督促
    請求・督促の方法(2)連絡先として多数の電話番号を列挙
    請求・督促の方法(3)請求書面で、担当者の連絡先として携帯電話を指定
    請求・督促の方法(4)個人名義の口座を回収金の振込先に指定
    法務省の関与「法務省が債権回収を業者に依頼することはありません。」「『法務省認可特殊法人』、『法務省認定特別法人』、『法務省認定債権回収業者加盟店』等という機関は存在しません。」
    法務省が挙げる、許可を受けた債権回収会社が行わない請求・督促の型(2026年9月5日確認)。

    法務省は、実在する債権回収会社と類似の商号をかたるショートメールが送付される事案が多数報告されている、とも書いています(同ページにはその文面の例も掲載されていますが、当サイトでは引用しません)。また、同ページからは「債権回収会社を詐称している等との情報の提供があった業者名の例一覧」というPDFが公開されています。当サイトではその中の業者名を転記しません。

    支払いについても記載があります。法務省は「心当たりのない請求は支払う必要はありません。請求には応じないようにしましょう。」と書き、その理由として「一旦、支払ってしまうと、取り戻すことは困難になります。」と述べています。親族名義の債務についても「保証人等になっている場合でない限り、あなた宛てに請求することはできません。」としています。ご自身の請求がこれに当たるかどうかの判断は、当サイトでは行いません。

    法務省「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求に御注意ください」 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa19.html/同ページ掲載PDF「債権回収会社を詐称している等との情報の提供があった業者名の例一覧」 https://www.moj.go.jp/content/001353589.pdf(いずれも2026年9月5日確認)

    7. 「一覧に無い=詐欺」とも「一覧に有る=安心」とも言えません

    照合の結果をどう受け止めるかは、次の2方向で切り分けておく必要があります。

    照合の結果公表情報から言えること言えないこと
    一覧に載っていたその商号の株式会社が法務大臣の許可を受けている手元の通知がその会社から出たものかどうか(法務省は「なりすましている可能性も考えられます」と記載)
    一覧に載っていなかったその商号の会社は債権管理回収業の許可業者として掲載されていない請求そのものの当否。債権の譲受人や請求者が債権回収会社とは限らないため、掲載がないことだけを理由に結論は出せません
    法務省の一覧で確かめられる範囲と、確かめられない範囲。

    後者について補足します。サービサー法2条2項の定義は「弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人以外の者が委託を受けて……又は他人から譲り受けて訴訟、調停、和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業」です。弁護士・弁護士法人等はこの定義から外れており、法務省の一覧にも載りません。弁護士名で通知が来た場合の確認は別の手順になります(日弁連・日司連の検索で実在を確認する手順、実在確認ナビ、なりすましへの注意喚起)。

    また、貸金業を営む者の側にも別の登録制度があります。金融庁は注意喚起ページ(令和8年6月26日更新)で、無登録業者の中には「架空の登録番号や別の登録業者の登録番号を詐称したり、実在する会社名や類似の会社名を使用する」ものがあると書いています。制度が違えば確認する名簿も違います。相手が名乗っているのが債権回収会社なのか、貸金業者なのか、弁護士・司法書士なのかで、見に行く先が変わります。

    債権管理回収業に関する特別措置法2条2項 https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126/法務省 前掲注意喚起 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa19.html/金融庁「違法な金融業者にご注意!」(令和8年6月26日更新) https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/index.html(いずれも2026年9月5日確認)

    8. 公的機関が公表している手口の記録

    国民生活センターは2020年1月30日、債権回収業者を名乗る電話から始まる架空請求の手口を公表しています。同センターは冒頭で「『過去にした契約について未納料金や損害金が発生している』等と、債権回収業者を名乗る者から連絡があっても、身に覚えがない限り、無視をしましょう。」と書いています。公表資料には手口の流れが3段で記載されています(以下は掲載されている3項目の原文です)。

    段階国民生活センターの記載
    1債権回収業者から「過去に契約したプロジェクト運営事業者に対する未納料金や損害が発生している」「和解するためには損害保険会社への保険申請が必要、また、供託金も必要だが後で返還する」等と電話で連絡がある
    2「和解に応じる」と伝えると、プロジェクト運営事業者の担当者を名乗る者から「和解内容の詳細は弁護士からのメールで確認するように」等と電話で連絡がある
    3弁護士を名乗る者からメールが届き、和解証明書(図1、2)が添付されている
    国民生活センターが公表した手口の流れ(2020年1月30日公表)。

    この事例で相談者に示された金額は、入会金 約20万円、月会費 約3万5,000円、損害 約350万円、供託金 約35万円と記録されています(2020年1月受付)。そして同センターは、登場した事業者に確認した結果として次のように書いています(原文)。

    事例に登場する事業者等について国民生活センターで確認したところ、債権回収業者は事例のような請求はしていないこと、損害保険会社は事例のような保険は扱っていないこと、プロジェクト運営事業者は事例のようなプロジェクトは行っておらず請求もしていないことが分かりました。一方、法律事務所とは連絡がとれず、事実確認ができませんでした。

    消費者庁も「架空請求にご注意ください!」で、請求手段が「ハガキ、封書、SMS(ショートメッセージサービス)など様々です。法的措置を採るなどと記載をしたり、 実在の事業者名をかたって本物と思わせたりして、消費者の不安をあおるケースも見られます。」と説明し、「未納料金を請求されても心当たりがなければ決して相手に連絡しないようにしましょう。」と書いています。相談先としては「消費者ホットライン(局番なしの188)」を案内しています。

    国民生活センター「新手の架空請求手口にご注意!債権回収業者から『過去の契約の未納料金・損害金の和解』を求める電話!?」(2020年1月30日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200130_2.html/消費者庁「架空請求にご注意ください!」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_016/(いずれも2026年9月5日確認)

    9. 許可を受けた債権回収会社の側に課されている規制

    相手が一覧に載っていた場合でも、その会社の行為には法律上の制限があります。サービサー法の該当条文を挙げます(いずれも原文)。

    条文内容
    17条1項債権回収会社の業務に従事する者は、その業務を行うに当たり、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。
    17条2項債権回収会社の業務に従事する者は、その業務を行うに当たり、相手方の請求があったときは、当該債権回収会社の商号、自己の氏名その他法務省令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。
    18条4項債権回収会社は、特定金銭債権の管理又は回収の業務を行うに当たり、偽りその他不正の手段を用いてはならない。
    18条8項債権回収会社は、債務者等が特定金銭債権に係る債務の処理を弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとった場合において、その旨の通知があったときは、正当な理由がないのに、債務者等に対し、訪問し又は電話をかけて、当該債務を弁済することを要求してはならない。
    債権管理回収業に関する特別措置法の主な規制(本則から抽出・2026年9月5日確認)。

    17条2項は、相手方から請求があれば商号と氏名を明らかにしなければならない、という規定です。名乗りを求めること自体が、法律の側で裏づけられている確認方法です。この規定に違反した場合について、35条は柱書で「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。」と定め、5号に「第十七条第二項の規定に違反したとき。」を挙げています。また18条8項は、弁護士等への委託の通知があった後の訪問・電話による弁済要求を制限しています。なお、同じ趣旨の規定である貸金業法21条1項9号は、委託先として弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人に加えて司法書士・司法書士法人を明記していますが、サービサー法18条8項の条文に司法書士・司法書士法人の記載はありません(いずれも2026年9月5日にe-Gov法令検索の本則で確認)。この通知(いわゆる受任通知)の仕組みは受任通知の記事で扱っています。

    債権管理回収業に関する特別措置法17条・18条・35条 https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126/貸金業法(昭和58年法律第32号)21条1項9号 https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC1000000032(いずれも2026年9月5日確認・本則から抽出)

    10. 確認の順番と、相談できる公的窓口

    ここまでの一次情報を、届いた通知を前にしたときの順番に並べ直すと次のようになります。まず書面・SMS・封書を保管します(法務省「請求の書類等は、残しておきましょう。」)。次に名乗っている商号を法務省の一覧でページ内検索し、併記された法人番号を国税庁法人番号公表サイトで突き合わせます。連絡するなら、通知に書かれた番号ではなく一覧に載っている電話番号を使います(法務省「法務省ホームページに掲載された債権回収会社の正しい連絡先に問い合わせてみましょう。」)。不安があれば消費者ホットライン188に相談できます(消費者庁・国民生活センター)。法務省は「架空の債権の請求は、犯罪に当たる可能性がありますので、悪質な場合には、最寄りの警察署に相談しましょう。」とも書いています。個別の事案がどれに当たるかの当てはめは、当サイトでは行いません。

    請求されている債権が古いものである場合の時効については消滅時効の援用で条文を確認しています。手続そのものを検討する段階に入るなら、債務整理の4つの方法と任意整理の公的な定義、費用が払えない場合の法テラスの立替制度、公的な窓口の一覧は借金の相談窓口にまとめています。依頼先を探す際は整理屋・ヤミ金・紹介屋への金融庁の注意喚起もあわせてご覧ください。

    法務省「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求に御注意ください」 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa19.html/消費者庁「架空請求にご注意ください!」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_016//国民生活センター「新手の架空請求手口にご注意!債権回収業者から『過去の契約の未納料金・損害金の和解』を求める電話!?」 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200130_2.html(いずれも2026年9月5日確認)

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    よくある質問

    債権回収会社が実在するかは、どこで確認できますか?

    法務省が「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」を公開しています。商号・法人番号・代表者・本店所在地・電話番号・許可番号・営業許可年月日が載っています。2026年9月5日の確認時点で掲載は72社(法務省の注記は「令和8年8月3日現在。廃業等の届出があった会社は除く。」)でした。

    商号に「債権回収」と入っていれば許可業者ですか?

    そうとは限りません。サービサー法13条1項は債権回収会社に「その商号中に債権回収という文字を用いなければならない」と義務づける規定で、逆向きの保証ではありません。13条2項は「債権回収会社でない者は、その商号のうちに債権回収会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない」と定め、35条2号がその違反を100万円以下の罰金としています。名乗りではなく法務省の一覧で照合してください。

    一覧に載っていない会社からの通知は詐欺ですか?

    当サイトでは断定しません。法務省の一覧で分かるのは「債権管理回収業の許可業者として掲載されているかどうか」だけです。弁護士・弁護士法人等はサービサー法2条2項の定義から外れており一覧に載りませんし、掲載の有無と請求そのものの当否は別の問題です。法務省は、実在する債権回収会社であっても請求根拠に心当たりがない場合は「なりすましている可能性も考えられます」と書いています。個別の判断は弁護士・司法書士にご相談ください。

    許可を受けずに債権管理回収業を営んだ場合、罰則はありますか?

    サービサー法33条1号が「第三条の規定に違反して、許可を受けないで債権管理回収業を営んだとき。」を挙げ、柱書で「三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。個別の事案が違反に当たるかどうかの判断は当サイトでは行いません。

    心当たりのない請求が届きました。どこに相談できますか?

    消費者庁と国民生活センターは「消費者ホットライン(局番なしの188)」を案内しています。法務省は「架空の債権の請求は、犯罪に当たる可能性がありますので、悪質な場合には、最寄りの警察署に相談しましょう。」「請求の書類等は、残しておきましょう。」と書いています。


    主要出典(再掲):法務省「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa15.html/法務省 架空請求への注意喚起 https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa19.html/e-Gov法令検索 債権管理回収業に関する特別措置法 https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC1000000126/国税庁 法人番号公表サイト https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/(いずれも2026年9月5日確認。その他の出典は各節末に記載しています)

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    最終更新:2026年9月5日/このページは公表されている一次情報(法務省・国税庁・金融庁・消費者庁・国民生活センター・e-Gov法令検索)のみを根拠に作成しています。条文は債権管理回収業に関する特別措置法および貸金業法の本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。掲載社数と基準日は法務省ページの表記をそのまま記載しており、更新されます。法務省の一覧に掲載された72社の社名一覧、および法務省が公開している詐称業者名の例のPDFの内容は転載していません。許可の有効期間、監督処分の履歴、個別の請求が正当かどうかは一次情報で確認できなかったため記載しておらず、推測で補っていません。

    本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。