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すでに弁護士へ依頼している人が、報酬の金額や辞任・解任をめぐって話し合いがつかなくなったとき、公的にはどこへ持ち込む道があるのか。この記事は、日本弁護士連合会(日弁連)が公表しているページと、e-Gov法令検索の弁護士法の条文だけで、その持ち込み先の輪郭を確認した記録です。先に結論として、一次情報にはっきり書かれているのは次の3点です。①日弁連は「市民窓口」「紛議調停」「懲戒請求」を別々の制度として並べていること、②紛議調停の根拠条文は弁護士法41条で、弁護士会が「調停をすることができる」と書かれていること、③紛議の調停に関する規定は、弁護士法33条2項12号により各弁護士会の会則に記載しなければならない事項とされていること。当サイトは、個別の事案が懲戒事由・紛議に当たるかの判断をしません。特定の法律事務所や弁護士の優劣・評価も扱いません。
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1. 日弁連は3つの制度を別々に並べている
日弁連の「弁護士とトラブルになったら」というページを取得しました(2026年9月13日・HTTP 200)。ページは次の一文で制度を切り分けています(原文)。
弁護士会には、弁護士の活動についての不満や苦情などをお伺いする制度、弁護士とのトラブルを解決する制度、弁護士について懲戒を求める手続として、次のものがあります。
そのうえで、ページ内の見出しは「市民窓口」「紛議調停」「懲戒請求」「セクハラ・性別による差別的取扱い」の順に並んでいます。つまり「苦情を伝える窓口」と「トラブルを解決する手続」と「懲戒を求める手続」は、同じページの中で別々の項目として書かれています。この記事が主に扱うのは前の2つ(市民窓口・紛議調停)です。懲戒については条文の位置だけを示し、手続の内容は任意整理の弁護士報酬の上限(弁護士法56条・58条を引用)の記事に譲ります。
日本弁護士連合会「弁護士とトラブルになったら」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/claim.html(2026年9月13日確認)
2. 市民窓口|日弁連の説明
同じページの「市民窓口」の項は、次のとおりです(原文・全文)。
弁護士は事件処理を依頼された場合、可能な限り依頼者の法的利益を守るように活動します。しかし、弁護士の行っている活動について依頼者や相手方、あるいは第三者から見て問題があると思われる場合があります。
全国の弁護士会には、弁護士の活動に関する苦情などを受け付ける「市民窓口」が設けられています。弁護士の活動で納得できない場合があった場合には、まずその弁護士の所属する弁護士会の市民窓口にご相談ください。
この項に添えられているリンクは、日弁連の「弁護士会一覧」(全国の弁護士会・弁護士会連合会)の1本だけです。各弁護士会の市民窓口の名称・電話番号・受付時間・費用は、このページには書かれていません。当サイトはそれらを実取得していないため、本記事には書きません。所属弁護士会をどう調べるかは日弁連の弁護士検索で相談先の実在を確認する手順と実在確認ナビにまとめています。
日本弁護士連合会「弁護士とトラブルになったら」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/claim.html/同「全国の弁護士会・弁護士会連合会」 https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/bar_association/whole_country.html(いずれも2026年9月13日確認)
3. 紛議調停|日弁連の説明
続く「紛議調停」の項は、次のとおりです(原文・全文)。
最初の約束より高い報酬を請求されたとか、弁護士の辞任・解任の際にトラブルが生じて容易に話し合いがつかないなどの弁護士とのトラブルについては、弁護士会が間に入って解決の道を探る紛議調停という制度があります。
全国の弁護士会には、紛議調停委員会が設置されており、その弁護士の所属する弁護士会に紛議調停の申立をすることができます。
このページに書かれているのはここまでです。申立ての書式、手数料、審理にかかる期間、調停委員の構成、成立した調停の効力については、このページに記載がありません。当サイトは各弁護士会の会規を実取得していないため、これらは本記事では扱いません。報酬の金額そのものについて日弁連の規程が置いている上限は、任意整理の弁護士報酬の上限で条文を確認できます。
日本弁護士連合会「弁護士とトラブルになったら」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/claim.html(2026年9月13日確認)
4. 根拠条文|弁護士法41条(紛議の調停)
e-Gov法令検索の法令APIで、弁護士法(昭和24年法律第205号・lawId=324AC1000000205)の本文を取得しました(2026年9月13日・HTTP 200)。第四十一条の見出しは「紛議の調停」で、条は1項だけです。原文は次の一文です。
弁護士会は、弁護士の職務又は弁護士法人の業務に関する紛議につき、弁護士、弁護士法人又は当事者その他関係人の請求により調停をすることができる。
この条にはただし書も括弧書きもなく、他の条を準用する文言もありません。当サイトは、この条文に書かれていること以上の説明をしません。
弁護士法(昭和24年法律第205号) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(2026年9月13日確認・法令API `/api/1/lawdata/324AC1000000205` で取得したXMLの本則から抽出)
5. 41条の文言を分解する
一文なので、条文が置いている要素を順に切り分けます。以下はすべて条文の文言の整理であり、当サイトによる解釈や見通しではありません。
| 条文の部分 | 書かれていること |
|---|---|
| 調停をする主体 | 弁護士会 |
| 対象となる紛議 | 弁護士の職務又は弁護士法人の業務に関する紛議 |
| 請求できる者 | 弁護士、弁護士法人又は当事者その他関係人 |
| 始まり方 | これらの者の請求により(弁護士会が職権で始める、とは書かれていません) |
| 効果の書きぶり | 調停を「することができる」(「しなければならない」とは書かれていません) |
| 期間・費用・様式 | 条文に記載なし |
| 調停が成立した場合の効力 | 条文に記載なし |
日弁連のページが「弁護士会が間に入って解決の道を探る」と説明している部分は、条文の側では「弁護士会は(中略)調停をすることができる」という書き方になっています。個別の申立てが受理されるか、どのような結論になるかについて、当サイトは判断しません。
弁護士法(昭和24年法律第205号) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(2026年9月13日確認・本則から抽出)
6. 手続の中身は各弁護士会の会則に置かれている|33条2項12号
41条は手続の中身を書いていません。その行き先は33条にあります。弁護士法第三十三条の見出しは「会則」で、1項は次のとおりです(原文)。
弁護士会は、日本弁護士連合会の承認を受けて、会則を定めなければならない。
2項の柱書と、そこに並ぶ16の号のうち12号は次のとおりです(原文)。
弁護士会の会則には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
十二 会員の職務に関する紛議の調停に関する規定
3項は「前項に掲げる事項を変更するときは、日本弁護士連合会の承認を受けなければならない。」と定めています。つまり、紛議の調停に関する規定は、各弁護士会の会則に置くことが法律で義務づけられており、その制定・変更には日弁連の承認が要る、という構造が条文に書かれています。各弁護士会の会則そのものは当サイトでは実取得していないため、個別の弁護士会がどう定めているかは本記事では扱いません。
なお文言としては、41条が「弁護士の職務又は弁護士法人の業務に関する紛議」と書くのに対し、33条2項12号は「会員の職務に関する紛議の調停」と書いています。ここでは両者の表現が異なるという事実を指摘するだけで、意味の異同については述べません。
弁護士会そのものの位置づけは31条・32条にあります。31条1項は「弁護士会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。」、32条は「弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設立しなければならない。」と定めています。
弁護士法(昭和24年法律第205号) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(2026年9月13日確認・本則から抽出)
7. 懲戒請求は別の手続|条文の位置だけを示します
日弁連のページが3つ目に挙げている「懲戒請求」は、紛議調停とは別の条文に置かれています。弁護士法第五十八条1項の原文は次のとおりです。
何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。
第五十七条1項は「弁護士に対する懲戒は、次の四種とする。」と書き、戒告・二年以内の業務の停止・退会命令・除名の4つを号で挙げています。また第六十三条の見出しは「除斥期間」で、本文は次のとおりです(原文)。
懲戒の事由があつたときから三年を経過したときは、懲戒の手続を開始することができない。
日弁連の「懲戒制度」ページも、同じ内容を条番号(57条1項・58条・63条)とともに説明しています。同ページには次の注記があります(原文)。
※ 最初から日弁連に懲戒の請求をすることはできません。まず、その弁護士等の所属弁護士会に請求してください。
懲戒事由の条文(56条)と懲戒請求の位置づけは任意整理の弁護士報酬の上限の記事で扱っています。繰り返しますが、当サイトは個別の事案が懲戒事由・紛議に当たるかの判断をしません。
弁護士法(昭和24年法律第205号) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205/日本弁護士連合会「懲戒制度」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/chokai.html(いずれも2026年9月13日確認)
8. 3つの制度の書かれ方を並べる
ここまでに確認した原文を、そのまま並べた表です。どれを選ぶべきかという助言ではありません。
| 市民窓口 | 紛議調停 | 懲戒請求 | |
|---|---|---|---|
| 弁護士法の条文 | この語の出現数は、取得した弁護士法のXML全体を機械で検索して0か所(下の計測を参照) | 41条(見出し「紛議の調停」)・33条2項12号 | 56条〜58条・63条ほか |
| 日弁連の説明 | 「弁護士の活動に関する苦情などを受け付ける」 | 「弁護士会が間に入って解決の道を探る」 | 「その弁護士の所属する弁護士会に請求します」 |
| 持ち込み先 | その弁護士の所属する弁護士会の市民窓口 | その弁護士の所属する弁護士会(紛議調停委員会が設置されている) | その弁護士の所属弁護士会(日弁連へ直接ではない) |
| 条文上の請求権者 | 条文なし | 弁護士、弁護士法人又は当事者その他関係人(41条) | 何人も(58条1項) |
| 期間の定め | 記載なし | 条文・日弁連ページとも記載なし | 懲戒の事由があったときから3年(63条) |
表の1行目について補足します。e-Gov法令APIで取得した弁護士法のXML全体(目次・本則・附則を含む)を機械で検索したところ、「紛議」は3か所(33条2項12号・41条の見出し・41条の本文)、「調停」は4か所(この3か所と73条)で、「市民窓口」「苦情」「見舞金」はいずれも0か所でした。市民窓口は、この計測の範囲では弁護士法の条文上の名称ではなく、日弁連のページが説明している窓口の呼び名です。
弁護士法(昭和24年法律第205号) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205/日本弁護士連合会「弁護士とトラブルになったら」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/claim.html(いずれも2026年9月13日確認)
9. 横領の被害には別の制度がある|依頼者見舞金制度
日弁連の「弁護士に関するお問い合わせ」の下には、「弁護士とトラブルになったら」「懲戒制度」と並んで「依頼者見舞金制度について」のページが置かれています(子ページは以上の3本)。同ページの説明は次のとおりです(原文)。
依頼者見舞金制度は弁護士、弁護士法人または弁護士・外国法事務弁護士共同法人の業務に伴い、弁護士が預かり保管していた依頼者の金員を横領する事件が発生した場合、その被害を受けた依頼者の方に対し、所定の手続を経て、日本弁護士連合会からお見舞い金を支給するものです。
同ページが挙げる支給対象は「次の2点を満たす場合」で、見出しはそれぞれ「依頼者の方または依頼者に準じる方(自然人に限ります)」と「2017年4月1日以降に横領があり、その被害金額が30万円を超えること」です。あわせて次の記載があります。
- 「外国法事務弁護士による横領は、この制度の対象外です(弁護士法人や弁護士・外国法事務弁護士共同法人に所属している外国法事務弁護士による横領も同様です。)。」
- 「被害額の一部が填補・賠償されているときは、その額を除いた額が30万円を超える場合に対象となります。」
- 申請先は弁護士会で、注記は「※2 被害を与えた弁護士がその当時所属していた弁護士会。不明な場合は、現在所属する弁護士会かすでに弁護士でないときは最後に所属していた弁護士会。」
- 申請の期限は「財産を失ったことを知った時から3年を経過した場合、または対象行為の時から5年を経過して申請した場合は原則として支給対象外となります。」
- 支給上限は「被害者1人当たり500万円の枠内で決定」「同じ弁護士に被害者が複数いる場合は、弁護士1人につき総額2,000万円の枠内で決定」
金額については、同ページに「お見舞い金という性格上、支給が確約されたものではなく、(中略)」という注意書きがあり、続けて「500万円以上の被害を受けた場合であっても、支給金額は500万円を下回る場合があります。」と書かれています。当サイトは、個別の事案がこの制度の対象になるかどうかの判断をしません。
日本弁護士連合会「依頼者見舞金制度について」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/mimaikin.html/同「弁護士に関するお問い合わせ」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition.html(いずれも2026年9月13日確認)
10. この記事で扱わないこと
紛議調停を申し立てるべきかどうか、申し立てた場合にどうなるか、報酬の請求額が妥当かどうかは、いずれも個別の判断です。当サイトはこれらを扱いません。特定の法律事務所・弁護士の優劣や評価も述べません。申立ての書式・手数料・期間、各弁護士会の市民窓口の名称や連絡先、各弁護士会の会則の中身は、今回の実査で取得した一次情報に記載がなかったため書いていません。
依頼する前に確認できることとして、公式検索で実在を確認する手順、依頼時の面談に関する日弁連の規程、司法書士に依頼できる範囲(140万円)、非弁行為(弁護士法72条)、実在する弁護士をかたる詐欺への注意があります。費用の面は債務整理の費用の目安と法テラスの費用立替制度に、手続の公的な定義は債務整理の4つの方法と任意整理とはにまとめています。公的な相談窓口の一覧は借金の相談窓口、返済額の計算は返済計算ツールで確認できます。
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よくある質問
紛議調停はどこに申し立てるのですか?
日弁連は「全国の弁護士会には、紛議調停委員会が設置されており、その弁護士の所属する弁護士会に紛議調停の申立をすることができます。」と説明しています(2026年9月13日確認)。弁護士法41条も、調停をする主体を「弁護士会」と書いています。所属弁護士会の調べ方は日弁連の弁護士検索の手順にまとめています。
申立ての費用や期間はどれくらいですか?
弁護士法41条にも、日弁連の「弁護士とトラブルになったら」のページにも、費用・期間の記載はありません。手続の中身は弁護士法33条2項12号により各弁護士会の会則に置かれる事項とされており、当サイトは各弁護士会の会則を実取得していないため、金額や日数は本記事では扱いません。
市民窓口と紛議調停と懲戒請求は同じものですか?
日弁連の同じページの中で、別々の項目として並べられています。紛議調停は弁護士法41条に、懲戒請求は同法58条1項に条文の根拠があります。「市民窓口」という語は、e-Gov法令APIで取得した弁護士法のXML全体を機械で検索した範囲では0か所でした。どれを選ぶべきかについて、当サイトは判断しません。
報酬が高いと感じた場合はどうすればよいですか?
日弁連は紛議調停の説明の冒頭で「最初の約束より高い報酬を請求されたとか、弁護士の辞任・解任の際にトラブルが生じて容易に話し合いがつかないなど」を例として挙げています(2026年9月13日確認)。個別の請求額が妥当かどうかは当サイトでは判断しませんので、弁護士・司法書士にご相談ください。任意整理の報酬について日弁連の規程が置いている上限は任意整理の弁護士報酬の上限で確認できます。
懲戒請求はいつまでできますか?
弁護士法63条(除斥期間)は「懲戒の事由があつたときから三年を経過したときは、懲戒の手続を開始することができない。」と定めています。日弁連の「懲戒制度」ページも同じ内容を同法63条として説明しています(2026年9月13日確認)。個別の事案の起算点について、当サイトは判断しません。
日本弁護士連合会「弁護士とトラブルになったら」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/claim.html/同「懲戒制度」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/chokai.html/同「依頼者見舞金制度について」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition/mimaikin.html/同「弁護士に関するお問い合わせ」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/petition.html/同「全国の弁護士会・弁護士会連合会」 https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/bar_association/whole_country.html/弁護士法(昭和24年法律第205号) https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205(いずれも2026年9月13日確認)
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