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簡易裁判所の名前で「支払督促」という書面が届くことがあります。この記事は、その書面が届いた後に手続としてどう進むのかを、裁判所の手続案内・簡易裁判所の民事事件Q&Aと、e-Gov法令検索の民事訴訟法・民事執行法・民法の条文だけで確認した記録です。先に結論として、一次情報にはっきり書かれているのは次の3点です。①支払督促は債務者を審尋しないで発せられること(民事訴訟法386条1項)、②送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てがないと債権者の申立てにより仮執行の宣言がされること(同法391条1項)、③仮執行の宣言を付した支払督促は民事執行法22条4号の債務名義であること。個別の請求に理由があるかどうか、異議を申し立てるべきかどうかは、当サイトでは判断しません。
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1. 支払督促とは何か|裁判所の説明
裁判所は「支払督促」の手続案内の冒頭で、次のように説明しています(2026年9月5日確認・原文)。
金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。
同じページの「2.特徴」は次の2点を挙げています(原文)。
①書類審査のみなので、訴訟の場合のように審理のために裁判所に来る必要はありません。
②債務者が支払督促に対し異議を申し立てると、請求額に応じ、地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します。
条文の側では、民事訴訟法382条が対象となる請求を「金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」と定め、これについて「裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる」としています。386条1項は「支払督促は、債務者を審尋しないで発する。」と定めています。当サイトは、この条文が書いている以上のことを述べません。
裁判所「支払督促」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html(2026年9月5日確認)/民事訴訟法(平成8年法律第109号) https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(2026年9月5日確認・本則から抽出)
2. 「2週間」はどの条文に書かれているか
裁判所の説明にある「2週間」は、民事訴訟法387条1項と391条1項に書かれています。いずれも起算点は「送達を受けた日」です。387条1項は、裁判所書記官が作成する電子支払督促に「債務者がその送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは債権者の申立てにより仮執行の宣言をする旨」を記録すると定めています。そして391条1項が、その効果を定めています(原文)。
債務者が電子支払督促の送達を受けた日から二週間以内に督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、電子支払督促に手続の費用額を併せて記録して仮執行の宣言をしなければならない。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない。
督促異議の申立先は386条2項に書かれています(原文)。
債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる。
なお388条2項は「支払督促の効力は、債務者に送達された時に生ずる。」と定めています。当サイトは、届いた日付から「いつまでなら間に合う」といった期限の言い換えや計算はしません。期間の数え方を含め、個別の日付は書面と簡易裁判所の記載でご確認ください。
民事訴訟法(平成8年法律第109号)386条・387条・388条・391条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(2026年9月5日確認・本則から抽出)
3. 手続の流れ|裁判所が示す①〜⑥
裁判所の手続案内「4.手続の流れ」は、次の6段階を挙げています(原文の要旨を段階ごとに整理したもので、期間の表現は原文のままです)。
| 段階 | 裁判所の記載 | 対応する条文 |
|---|---|---|
| ① | 支払督促の申立てがあると、裁判所書記官による審査がなされます | 382条・383条1項・385条1項 |
| ➁ | 審査後、支払督促が発付されると、債権者に対しては発付通知、債務者に対しては支払督促が送達されます | 386条1項・388条 |
| ➂ | 債務者は支払督促を受け取ってから2週間以内に、督促異議の申立てをすることができます(異議が申し立てられると通常訴訟に移行) | 386条2項・390条・395条 |
| ※ | 異議がなかった場合、債権者は「支払督促送達日の翌日から起算して2週間目の翌日~30日以内」に仮執行宣言の申立てをすることが出来ます | 391条1項・392条 |
| ➃ | 仮執行宣言の申立てがあると、裁判所書記官による審査がなされます | 391条1項 |
| ⑤ | 仮執行宣言が発付されると、債権者及び債務者双方に仮執行宣言付支払督促が送達(債権者に対しては、同意があれば送付)されます。送達後、債権者は、強制執行の申立てをすることができます | 391条2項・民事執行法22条4号 |
| ⑥ | 債務者は仮執行宣言付支払督促を受け取ってから2週間以内に、督促異議の申立てをすることができます(異議がなければ確定) | 393条・396条 |
「30日」は民事訴訟法392条に対応します。同条は「債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から三十日以内にその申立てをしないときは、支払督促は、その効力を失う。」と定めており、裁判所の簡裁民事Q&Aも「申立人が30日以内に仮執行宣言の申立てをしなかった場合には、支払督促は効力を失います」と書いています。
裁判所「支払督促」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html(いずれも2026年9月5日確認)
4. 督促異議はどうやって申し立てるのか
裁判所の簡裁民事Q&A「支払督促を受けた場合はどうしたらいいですか?」は、次のように説明しています(原文)。
支払督促は、申立人の申立内容だけを審査して、相手方に金銭の支払を命ずるものです。申立人の請求金額は「請求の趣旨」の欄に、申立人の言い分は「請求の原因」の欄に書かれています。この支払督促に不服があれば、異議を申し立てることができます。
異議を申し立てる場合には、支払督促に同封されている「異議申立書」という書面に所定の事項を書いて、支払督促を出した簡易裁判所に郵送するか、直接持参するかしてください。令和8年5月21日以降に申し立てられた支払督促に対しては、mints(民事裁判書類電子提出システム)を利用して異議申立書をオンライン提出することもできます。
ここから読み取れる事実は3つです。①異議申立書は支払督促に同封されている、②提出先は支払督促を出した簡易裁判所で、郵送または持参、③令和8年5月21日以降に申し立てられた支払督促についてはmintsによるオンライン提出も可能。
裁判所の書式ページに督促異議申立書は掲載されていません
裁判所の「支払督促で使う書式」ページに掲載されているのは、支払督促申立書(汎用・貸金・賃料ほか)、支払督促申立書訂正申立書、仮執行宣言申立書、支払督促申立て取下書、送達場所等の届出書、送達証明・記載事項証明の各申請書などです。同ページに督促異議申立書の書式は掲載されていません(2026年9月5日確認)。異議申立書が支払督促に同封されているというQ&Aの記載と整合します。書面が見当たらない場合の取扱いは一次情報で確認できなかったため記載しません。支払督促を出した簡易裁判所にご確認ください。
裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/裁判所「支払督促で使う書式」 https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_siharaitokusoku/index.html(いずれも2026年9月5日確認)
5. 異議申立ての期間について、裁判所は2通りの書き方をしています
同じQ&Aの末尾に、次の記載があります(原文)。
支払督促送達日から2週間以内に異議の申立てをしないと、支払督促に仮執行宣言が付されることがあります。仮執行宣言が付されると、直ちに強制執行を受けることがあります。
なお、支払督促に対する異議の申立期間は、支払督促に仮執行宣言が付されるまでです。また、仮執行宣言の付された支払督促に対する異議の申立期間は、仮執行宣言の付された支払督促送達日から2週間以内です。
条文の側でも、391条1項ただし書が「その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、この限りでない」と定め、390条が「仮執行の宣言前に適法な督促異議の申立てがあったときは、支払督促は、その督促異議の限度で効力を失う。」と定めています。一方、仮執行宣言が付いた後については393条が期間を区切っています(原文)。
仮執行の宣言を付した電子支払督促の送達を受けた日から二週間の不変期間を経過したときは、債務者は、その支払督促に対し、督促異議の申立てをすることができない。
以上はいずれも裁判所と条文にそう書かれているという事実の記載です。2週間を過ぎた場合に個別の事案でどうなるかについて、当サイトは判断も見通しも述べません。
裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/民事訴訟法390条・391条・393条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109(いずれも2026年9月5日確認)
6. 督促異議を申し立てるとどうなるか|通常訴訟への移行
民事訴訟法395条は、適法な督促異議の効果を次のように定めています(原文)。
適法な督促異議の申立てがあったときは、督促異議に係る請求については、その目的の価額に従い、支払督促の申立ての時に、支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合においては、督促手続の費用は、訴訟費用の一部とする。
裁判所の説明でも「異議を申し立てると、事件は、通常の訴訟手続で審理されることになります」と書かれています。つまり条文上は、異議によって手続が終わるのではなく、訴訟の手続に移るという構造です。ただし394条1項は、簡易裁判所は督促異議を不適法であると認めるときは決定でその督促異議を却下しなければならないと定めており、同条2項はこの決定に対して即時抗告をすることができると定めています。どのような場合に「不適法」と判断されるかは条文に定義がないため、当サイトでは扱いません。
そして396条は「仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。」と定めており、Q&Aも「異議の申立てをしないと、仮執行宣言付支払督促の内容について、今後争うことができなくなります」と説明しています。
民事訴訟法394条・395条・396条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html(いずれも2026年9月5日確認)
7. 仮執行宣言が付いた後|強制執行の根拠と「執行停止の手続」
強制執行の根拠となる文書は、民事執行法22条が「債務名義」として列挙しています。柱書は「強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。」で、各号には1号「確定判決」、2号「仮執行の宣言を付した判決」などが並び、4号に「仮執行の宣言を付した支払督促」が挙げられています(2026年9月5日確認・原文)。7号は「確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)」です。
裁判所のQ&Aは、仮執行宣言が付いた後の異議について次のように注意を書いています(原文)。
なお、仮執行宣言の付されている支払督促に異議を申し立てても、執行停止の手続をとらなければ、強制執行を停止することはできません。
この「執行停止の手続」に対応する条文が民事訴訟法403条です。1項柱書は、裁判所が申立てにより決定で強制執行の一時の停止を命じることができる場合を列挙し、その3号に次を挙げています(原文)。
仮執行の宣言を付した判決に対する控訴の提起又は仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立て(中略)があった場合において、原判決若しくは支払督促の取消し若しくは変更の原因となるべき事情がないとはいえないこと又は執行により著しい損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったとき。
条文は「疎明があったとき」に裁判所が停止を命じることが「できる」という書き方であり、申立てをすれば停止されると書かれているわけではありません。個別の事案での見通しは当サイトでは述べません。
民事執行法(昭和54年法律第4号)22条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/民事訴訟法403条 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html(いずれも2026年9月5日確認)
8. 時効との関係は、条文の位置だけを示します
民法147条1項は「裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新」という見出しで、柱書に「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(中略)までの間は、時効は、完成しない。」と定め、その2号に「支払督促」を挙げています。2項は、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は同項各号の事由が終了した時から新たに進行を始める、と定めています(2026年9月5日確認)。個別の債権について時効が完成しているかどうか、援用ができるかどうかは、当サイトでは判断しません。制度としての援用の仕組みは消滅時効の援用とはで条文をたどっています。
民法(明治29年法律第89号)147条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年9月5日確認・本則から抽出)
9. 費用が心配な場合に、裁判所が挙げている制度
裁判所の手続案内は、申立てに必要な費用の項で次のように記載しています(原文)。
※訴訟費用を支払う資力の乏しい当事者の方でも、裁判を受ける権利を保障するため、支払督促の申立費用の支払を猶予する制度(「訴訟上の救助」といいます。)が設けられています。ただし、申立ての内容等から勝訴の見込みがないことが明らかなときは、認められないことがあります。
同じ項は、日本司法支援センター(法テラス)が実施する「民事法律扶助による立替制度」にも触れています。立替制度の収入・資産基準は法テラスの費用立替制度で、無料法律相談の条件は無料法律相談の条件で確認できます。申立手数料の金額は、裁判所の「手数料早見表」(PDF)を開いて確認していないため、この記事には書きません。
裁判所「支払督促」3(4) https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html(2026年9月5日確認)
10. この記事で扱わないこと
請求されている金額が正しいか、異議を申し立てるべきか、申し立てた場合に結論がどうなるかは、いずれも個別の判断です。当サイトはこれらを扱いません。手続ごとの公的な定義は債務整理の4つの方法と、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産で確認できます。弁護士・司法書士に依頼した場合の取立て規制の条文は受任通知と貸金業法21条1項9号に、司法書士が扱える範囲は司法書士の「140万円」にまとめています。相談先を選ぶ前には、日弁連・日司連の公式検索で実在を確認する手順と実在確認ナビをご覧ください。公的な相談窓口の一覧は借金の相談窓口にあります。
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よくある質問
督促異議はどこに出すのですか?
民事訴訟法386条2項は「これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所」と定めています。裁判所のQ&Aは、支払督促に同封されている「異議申立書」に所定の事項を書いて、支払督促を出した簡易裁判所に郵送するか直接持参するよう説明しており、令和8年5月21日以降に申し立てられた支払督促についてはmints(民事裁判書類電子提出システム)によるオンライン提出もできると記載しています(2026年9月5日確認)。
異議を申し立てれば強制執行は止まりますか?
裁判所のQ&Aは「仮執行宣言の付されている支払督促に異議を申し立てても、執行停止の手続をとらなければ、強制執行を停止することはできません」と説明しています。民事訴訟法403条1項3号は、仮執行の宣言を付した支払督促に対する督促異議の申立てがあった場合に、一定の事情につき疎明があったときは裁判所が強制執行の一時の停止を命じることが「できる」と定めています。個別の事案でどうなるかは当サイトでは判断しませんので、弁護士・司法書士にご相談ください。
2週間を過ぎるとどうなりますか?
民事訴訟法391条1項は、送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないときは、債権者の申立てにより裁判所書記官が仮執行の宣言をしなければならない(ただし宣言前に督促異議の申立てがあったときは除く)と定めています。392条は、債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から30日以内に申立てをしないときは支払督促が効力を失うと定めています。裁判所のQ&Aは、支払督促に対する異議の申立期間は「支払督促に仮執行宣言が付されるまで」と書いています。期限の言い換えや日付の計算は当サイトでは行いません。
仮執行宣言付支払督促が届いた場合はどうなりますか?
民事訴訟法393条は、仮執行の宣言を付した電子支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間を経過したときは、債務者はその支払督促に対し督促異議の申立てをすることができないと定めています。また民事執行法22条4号は「仮執行の宣言を付した支払督促」を債務名義として挙げています。裁判所は、仮執行宣言が付されると申立人は直ちに強制執行手続をとることができる、と説明しています(2026年9月5日確認)。
裁判所「支払督促」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html/裁判所「裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/index.html/裁判所「支払督促で使う書式」 https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_siharaitokusoku/index.html/民事訴訟法 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109/民事執行法 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/民法 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(いずれも2026年9月5日確認)
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