財産開示手続と第三者からの情報取得手続とは|債権者が債務者の財産を調べる手続を民事執行法と裁判所の公表情報で確かめる

整理する前チェック|財産開示手続と第三者からの情報取得手続とは

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返済が滞り、判決や公正証書などが債権者の手にある状態になると、「勤務先や口座を調べられるのか」という疑問が出てきます。これについて民事執行法は、財産開示手続第三者からの情報取得手続という2つの手続を置いています。この記事は、その2つが条文上どういう仕組みなのかを、e-Gov法令検索の民事執行法(昭和54年法律第4号)の本則裁判所の手続案内・民事事件Q&Aだけで確認した記録です。先に結論として、一次情報にはっきり書かれているのは次の3点です。①どちらの手続も入口は「執行力のある債務名義の正本」など(民事執行法197条1項・205条1項・207条1項)であること、②申立てには、配当等の手続で完全な弁済を得ることができなかったこと(197条1項1号)、または知れている財産に対する強制執行を実施しても完全な弁済を得られないことの疎明があったこと(同項2号)のいずれかが要ること、③給与(勤務先)の情報だけは申立てできる債権者が条文で限られており、裁判所は「貸金等の債務名義や上記以外の一般の先取特権を有する債権者は、㋑勤務先情報の申立てをすることはできません」と記載していること。個別の事案で何が起きるかは当サイトでは判断しません。

1. 2つの手続は民事執行法のどこにあるか

民事執行法の本則には第四章 債務者の財産状況の調査という章があり、その中が第一節 財産開示手続(196条〜203条)と第二節 第三者からの情報取得手続(204条〜211条)に分かれています(2026年9月12日確認)。名前のとおり、前者は債務者本人に裁判所で財産を述べさせる手続、後者は市町村や銀行など第三者から情報を出させる手続です。

裁判所は「財産開示」の手続案内で、次のように説明しています(2026年9月12日確認・原文)。

①執行力のある債務名義を有する金銭債権の債権者、②一般の先取特権を有する債権者が、債務者の財産がどこにあるかわからない場合等に、債務者の財産に関する情報を得るため、債務者(開示義務者)に裁判所に出頭してもらい、財産の状況について陳述してもらう手続です。この手続の結果を踏まえて、債権執行や不動産の強制競売などを申し立てるかを検討することができます。一般先取特権を有する債権者としては、例えば、雇用関係に基づいて生じた債権を有する者(民法306条2号、308条)や、子の監護の費用を有する者(民法306条3号、308条の2)等が挙げられます。

「情報取得」の手続案内の冒頭は次のとおりです(原文)。

債務者の銀行預金や給与、不動産等に関する情報を、債権者が特定した銀行や市町村、登記所等から提供してもらう手続です。この手続の結果を踏まえて、債権執行や不動産の強制競売などを申し立てるかを検討することができます。

いずれのページも、これらが調べるだけの手続である点を注記しています。情報取得のページの注記は「※情報取得手続は、債務者の財産を調査するのみの手続です。債権を回収するためには、債権差押えなどの強制執行や担保権実行を別途行う必要があります。」、財産開示のページの注記は「※債権者が債権を回収するには、陳述によって知り得た債務者の財産に対し、別途強制執行の申立てをする必要があります。」です(いずれも原文・2026年9月12日確認)。

なお、両ページは上の注記の直後に「※養育費等の特則」という見出しを置き、次の2文を記載しています(両ページとも同じ文・原文・2026年9月13日確認)。

令和8年4月から、養育費等の扶養義務に係る定期金債権に基づいて債務者の給与等を差し押さえようとする場合、債務者の財産を調査するための手続と、その手続で判明した給与の差押え手続を1回の申立てでできるようになりました。この手続をワンストップ執行手続と言います。

この注記は両ページでこのあとも続いていますが、本記事では上の2文だけを引用し、それ以降は省略します。本記事ではこの特則の内容には立ち入りません。

管轄も条文にあります。財産開示手続について196条は「管轄」という見出しで次のように定めています(原文)。

この節の規定による債務者の財産の開示に関する手続(以下「財産開示手続」という。)については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

第三者からの情報取得手続については204条が同じく「管轄」の見出しで、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所を執行裁判所とし、その普通裁判籍がないときは情報の提供を命じられるべき者の所在地を管轄する地方裁判所とする、と定めています。裁判所の両ページは、申立先をいずれも「債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。」と記載しています。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「財産開示」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_11/index.html/裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出。両ページの「※養育費等の特則」の注記は2026年9月13日に再確認)

2. 入口は「執行力のある債務名義の正本」

財産開示手続の実施決定について、197条1項は次のように定めています(原文・柱書と各号の全文)。

執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより、債務者について、財産開示手続を実施する旨の決定をしなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
一 強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より六月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。
二 知れている財産に対する強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。

ここでいう債務名義は、民事執行法22条が「強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。」として列挙しているものです。1号が確定判決、2号が仮執行の宣言を付した判決、4号が仮執行の宣言を付した支払督促、5号が「金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載され、又は記録されているもの」(執行証書)、7号が「確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)」です。つまりこの2つの手続は、訴訟や支払督促などが先にあって初めて使えるものだという構造が条文から読み取れます。訴えられた段階の手続は裁判所から訴状が届いたら支払督促が届いたらで扱っています。

197条2項は、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者についても同じ枠組みを置いています。また197条3項は、繰り返しの申立てに制限を置いています(原文・柱書と各号の全文)。

前二項の規定にかかわらず、債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、債務者が法人である場合にあつてはその代表者。第一号において同じ。)が前二項の申立ての日前三年以内に財産開示期日(財産を開示すべき期日をいう。以下同じ。)においてその財産について陳述をしたものであるときは、財産開示手続を実施する旨の決定をすることができない。ただし、次の各号に掲げる事由のいずれかがある場合は、この限りでない。
一 債務者が当該財産開示期日において一部の財産を開示しなかつたとき。
二 債務者が当該財産開示期日の後に新たに財産を取得したとき。
三 当該財産開示期日の後に債務者と使用者との雇用関係が終了したとき。

裁判所の民事事件Q&Aも、財産開示手続の申立ての要件として「強制執行等の手続によって完全な弁済を受けられなかった、又は受けられないこと(民事執行法197条1項各号、2項各号)」と「(必要な場合のみ)債務者が申立ての日前3年以内に財産開示期日においてその財産を開示した者でないこと(民事執行法197条3項)」の2つを挙げ、1号の申立てでは配当表または弁済金交付計算書の写しなど、2号の申立てでは「財産調査結果報告書」記載の資料が証拠書類になると説明しています(2026年9月12日確認)。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出。197条1項各号と22条1項各号の文言は2026年9月13日にe-Gov法令検索の本則で再確認)

3. 財産開示期日に何が行われるか

実施決定が確定すると、198条1項により執行裁判所が財産開示期日を指定し、198条2項により申立人債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては当該法定代理人、債務者が法人である場合にあつてはその代表者)が呼び出されます。この198条2項2号に掲げる者が、199条以下でいう開示義務者です。199条1項は次のとおりです(原文)。

開示義務者(前条第二項第二号に掲げる者をいう。以下同じ。)は、財産開示期日に出頭し、債務者の財産(第百三十一条第一号又は第二号に掲げる動産を除く。)について陳述しなければならない。

期日では、執行裁判所が開示義務者に質問を発することができ(199条3項)、申立人も「執行裁判所の許可を得て開示義務者に対し質問を発することができる」と定められています(199条4項)。裁判所の手続案内は、この点に運用上の限定を添えています(原文)。

申立人(申立人が法人の場合は代表者)、同代理人弁護士、同許可代理人は、財産開示期日に出頭し、執行裁判所の許可を得て、開示義務者に対し質問することができます(民事執行法199条4項)が、探索的な質問や債務者を困惑させる質問は許可されません。

期日そのものは非公開です。199条6項は「財産開示期日における手続は、公開しない。」と定めています(原文)。また200条1項は、一部を開示した開示義務者について、申立人の同意がある場合などに執行裁判所の許可を受けたときは、その余の財産について陳述することを要しないという例外を置いています。

裁判所の手続案内が示す流れは、①申立てに理由があると認めるときは実施決定をして債務者に送達、②「債務者への送達から1週間を経過したときは、実施決定が確定します。」、③確定したら財産開示期日とともに債務者(開示義務者)の財産目録提出期限が指定される、という順です(原文・2026年9月12日確認)。同ページは、期日への出頭について「ウェブ会議システムを利用して財産開示期日に出頭することができます」とし、申立人については裁判所が相当と認める場合に、開示義務者については申立人に異議がないなど一定の要件を満たし裁判所が相当と認める場合に認められると記載しています。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「財産開示」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_11/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

4. 出頭・陳述について条文が置いている罰則

財産開示期日に関しては、民事執行法213条が罰則を置いています。同条の見出しは「陳述等拒絶の罪」です。1項の柱書は次のとおりです(原文)。

次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

1項は6つの号を並べていますが、1号から4号は売却基準価額の審尋や執行官の質問など財産開示以外の場面に関する号です(ここでは1号〜4号を略します)。財産開示期日に関するのは5号と6号で、それぞれ次のとおりです(原文)。

五 執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者

六 第百九十九条第七項において準用する民事訴訟法第二百一条第一項の規定により財産開示期日において宣誓した開示義務者であつて、正当な理由なく第百九十九条第一項から第四項までの規定により陳述すべき事項について陳述をせず、又は虚偽の陳述をしたもの

あわせて、裁判所の手続案内は流れの最後に「開示義務者が財産開示期日に出頭しなかった場合、原則として、財産開示手続は終了します。」と記載しています(原文)。当サイトは、この条文が個別の事案でどう扱われるかについては述べません。条文にこう書かれている、という事実の記録です。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「財産開示」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_11/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

5. 第三者からの情報取得手続で取れる4種類

裁判所の「情報取得」のページは、第三者から入手できる情報を㋐〜㋓の4つに整理しています。同ページの記載と、対応する条文は次のとおりです。

区分裁判所ページの記載条文第三者(Q&Aの記載)
㋐ 不動産情報債務者名義の不動産(土地・建物)の所在地や家屋番号205条(債務者の不動産に係る情報の取得)「東京法務局」
㋑ 勤務先情報債務者に対する給与の支払者(債務者の勤務先)の名称や住所206条(債務者の給与債権に係る情報の取得)①市区町村か②日本年金機構など厚生年金を扱う団体
㋒ 預貯金情報債務者の有する預貯金口座の情報(支店名、口座番号、額)207条1項1号(銀行等)銀行や信用金庫などの金融機関
㋓ 振替社債等情報債務者名義の株式・社債・国債等の銘柄及び額又は数207条1項2号(振替機関等)振替機関又は口座管理機関である証券会社等の金融商品取引業者や銀行など
裁判所「情報取得」ページの㋐〜㋓の記載と、民事執行法の対応条文。第三者の欄は裁判所の民事事件Q&A「情報取得手続の第三者について教えてください。」の記載です(2026年9月12日確認)。

条文の側から見ると、205条1項は「債務者が所有権の登記名義人である土地又は建物その他これらに準ずるものとして法務省令で定めるもの」について、法務省令で定める登記所に情報の提供を命じる形です。207条1項は、1号で銀行等に対する預貯金債権、2号で振替機関等の振替口座簿に記載・記録された振替社債等を挙げています。207条1項の柱書は、これらの各号に掲げる者であつて「最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したもの」に対して情報の提供を命じる、という書き方です。

裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html/民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出。205条1項・207条1項の柱書は2026年9月13日にe-Gov法令検索の本則で再確認)

6. 勤務先の情報は、申し立てられる債権者が条文で限られている

4種類のうち㋑勤務先情報だけは、条文が請求権の種類で入口を絞っています。206条1項の柱書は次のとおりです(原文・各号は下の表に分けて示します)。

執行裁判所は、第百九十七条第一項各号のいずれかに該当するときは、第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者の申立てにより、次の各号に掲げる者であつて最高裁判所規則で定めるところにより当該債権者が選択したものに対し、それぞれ当該各号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、当該執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。

柱書が引いている「第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務」は、同条の見出し「扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例」のとおり、次の4つです(原文)。

条文の文言
民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
民法第七百六十六条及び第七百六十六条の三(これらの規定を同法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
民法第八百七十七条から第八百八十条までの規定による扶養の義務
民事執行法151条の2第1項各号(同項柱書が「次に掲げる義務」として掲げるもの)。206条1項の柱書はこれらに係る請求権と、人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権を挙げています。

206条1項の各号は二欄組みで、1号の左欄が市町村、右欄が地方税法317条の2第1項ただし書に規定する給与に係る債権への強制執行等の申立てに必要となる事項(当該市町村が債務者の市町村民税に係る事務に関して知り得たものに限る)、2号の左欄が日本年金機構、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団、右欄が厚生年金保険法3条1項3号に規定する報酬または同項4号に規定する賞与に係る債権への申立てに必要となる事項です。

この絞り込みについて、裁判所の「情報取得」ページの注記は、最後を次の一文で結んでいます(原文)。

貸金等の債務名義や上記以外の一般の先取特権を有する債権者は、㋑勤務先情報の申立てをすることはできません。

なお、給料そのものの差押えの範囲は別の条文(152条)の話です。その内容は給料の差押えはいくらまでか|民事執行法152条の「4分の3」と施行令2条の「33万円」で条文をたどっています。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

7. 不動産・勤務先の情報には「財産開示が先」という要件がある

205条2項は、不動産に係る情報の取得の申立てについて次のように定めています(原文)。

前項の申立ては、財産開示期日における手続が実施された場合(当該財産開示期日に係る財産開示手続において第二百条第一項の許可がされたときを除く。)において、当該財産開示期日から三年以内に限り、することができる。

この2項から5項までは、206条3項によって給与債権に係る情報の取得の申立てにも準用されています。裁判所の民事事件Q&Aも、情報取得手続の要件の2つ目として「財産開示手続を行っていること(民事執行法205条2項)(㋐不動産情報、㋑勤務先情報のみ)」を挙げ、㋐と㋑の申立てでは申立ての日より前3年以内に財産開示期日における手続が実施されたことの証明が必要だと説明しています(2026年9月12日確認)。㋒預貯金情報と㋓振替社債等情報については、この要件は条文にも裁判所の説明にも置かれていません。

債務者に決定が届くかどうかも、区分によって条文の作りが違います。205条3項は、申立てを認容する決定がされたときはその決定を債務者に送達しなければならないと定め、4項が執行抗告、5項が「確定しなければその効力を生じない」と定めています(206条3項により給与債権の場合も同じ)。一方、預貯金債権等について定める207条には債務者への送達の規定がなく、3項は「前二項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。」とだけ定めています。裁判所の「情報取得」ページも、㋐㋑については「債務者及び申立人に対して、情報提供命令正本が送付されます。債務者は1週間以内に執行抗告をすることができます。」、㋒㋓については「第三者及び申立人に対し、情報提供命令正本が送付されます。」と、流れを分けて記載しています(原文・2026年9月12日確認)。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

8. 情報が提供された後に債務者へ届くもの

第三者が出した情報の扱いは208条にあります(原文・1項と2項の全文)。

第二百五条第一項、第二百六条第一項若しくは第二項又は前条第一項若しくは第二項の申立てを認容する決定により命じられた情報の提供は、執行裁判所に対し、書面でしなければならない。

前項の情報の提供がされたときは、執行裁判所は、最高裁判所規則で定めるところにより、申立人に同項の書面の写しを送付し、かつ、債務者に対し、同項に規定する決定に基づいてその財産に関する情報の提供がされた旨を通知しなければならない。

裁判所の「情報取得」ページは、この通知について「通知書は、第三者から(第三者が2人以上いる場合は、最後の)情報提供書が提出された後一定期間が過ぎた時点で、事件ごとに1回送付します。通知書には、情報提供命令の写しが同封されます。」と記載しています(原文)。第三者が回答するまでの時間については、同ページが「提出期限の定めはありませんが、基本的には、2週間程度が一つの目安となります。ただし、第三者の状況等によっては、回答に時間を要する場合があります。」と書いています(原文)。また民事事件Q&Aは、取下げについて「第三者から裁判所に情報提供書が届いた以降は、申立てを取り下げることはできません。」と記載しています(原文・2026年9月12日確認)。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(いずれも2026年9月12日確認・条文は本則から抽出)

9. 裁判所が公表している費用

申立てに要する費用として、裁判所の各ページが記載している金額は次のとおりです(原文の記載をそのまま引いたもの・2026年9月12日確認)。郵便料や予納金の額は裁判所ごとに異なるとされており、両ページとも「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」で確認するよう案内しています。

手続裁判所ページの記載
財産開示手続手数料(1個の申立てにつき2000円)及び郵便料
第三者からの情報取得手続手数料(1個の申立てにつき1000円)、民事執行予納金(各裁判所によって異なります。)及び郵便料
㋒預貯金情報・㋓振替社債等情報の場合の加算第三者に対する報酬として、第三者1名ごとに2000円の予納金が必要になります
裁判所「財産開示」「情報取得」の「申立てに必要な費用」欄の記載。いずれも債権者(申立人)が納める費用です。

なお両ページは、同一の債権者が複数の債務名義に基づいて申し立てる場合も1個の申立てとなること、債権者が複数の場合は申立ての個数が債権者の数で判断されること、債務者については1名ごとに申し立てることを記載しています。

裁判所「財産開示」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_11/index.html/裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html(いずれも2026年9月12日確認)

10. 得られた情報の使い道には条文上の制限がある

どちらの手続にも、得られた情報の目的外利用を禁じる規定が置かれています。202条1項と210条1項は、ほぼ同じ文型です(原文)。

申立人は、財産開示手続において得られた債務者の財産又は債務に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

申立人は、第三者からの情報取得手続において得られた債務者の財産に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

記録の閲覧等にも制限があります。201条は「財産開示事件の記録の閲覧等の制限」という見出しで、財産開示事件の記録中財産開示期日に関する部分についての17条の規定による請求ができる者を、申立人、債務者に対する金銭債権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者、債務者または開示義務者に限っています。第三者からの情報取得手続についても209条が同様の制限を置いています。

民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(2026年9月12日確認・本則から抽出)

11. この記事で扱わないこと

個別の請求に理由があるか、どの手続を選ぶか、期日でどう対応するかは、いずれも個別の判断であり、当サイトは扱いません。手続ごとの公的な定義は債務整理の4つの方法と、任意整理特定調停個人再生自己破産で確認できます。弁護士・司法書士に依頼した場合の取立て規制の条文は受任通知と貸金業法21条1項9号、破産で手元に残せる財産の条文は自由財産、時効の援用の仕組みは消滅時効の援用とは、請求してきた相手が債権回収会社の場合の確認手順は債権回収会社(サービサー)は本物かにまとめています。相談先を選ぶ前には日弁連・日司連の公式検索で実在を確認する手順実在確認ナビをご覧ください。費用が心配な場合は法テラスの費用立替制度無料法律相談の条件、公的な相談窓口は借金の相談窓口にあります。

また、裁判所の「財産開示」「情報取得」の両ページに記載のある「※養育費等の特則」(ワンストップ執行手続)は、本記事では扱いません。両ページの当該注記の2文は本文の「1.」の節に原文のまま引いていますが、その手続の中身や施行の根拠となる条文は本記事では引いていないため、その内容にも触れていません。

裁判所「財産開示」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_11/index.html/裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html(いずれも2026年9月13日確認)

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よくある質問

財産開示手続は、誰でも申し立てられるのですか?

民事執行法197条1項は「執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者の申立てにより」と定め、あわせて1号(配当等の手続で完全な弁済を得ることができなかったとき)または2号(知れている財産に対する強制執行を実施しても完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき)のいずれかに該当することを求めています。197条2項は、債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者についての規定です。

勤務先を調べられるのはどんな債権者ですか?

206条1項は、151条の2第1項各号に掲げる義務(夫婦間の協力及び扶助、婚姻から生ずる費用の分担、子の監護に関する義務、民法877条から880条までの規定による扶養の義務)に係る請求権、または人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者の申立てによる、と定めています。裁判所の「情報取得」ページは、注記の最後を「貸金等の債務名義や上記以外の一般の先取特権を有する債権者は、㋑勤務先情報の申立てをすることはできません。」と結んでいます(2026年9月12日確認)。

預貯金の照会がされたことは、本人に知らされますか?

208条2項は、情報の提供がされたときは執行裁判所が申立人に書面の写しを送付し、かつ債務者に対して情報の提供がされた旨を通知しなければならない、と定めています。裁判所の「情報取得」ページは、この通知書は最後の情報提供書が提出された後一定期間が過ぎた時点で事件ごとに1回送付され、情報提供命令の写しが同封されると記載しています。なお㋐不動産情報と㋑勤務先情報については、205条3項(206条3項で準用)により、申立てを認容する決定そのものが債務者に送達されます。

財産開示手続はいくらかかりますか?

裁判所の「財産開示」ページは「手数料(1個の申立てにつき2000円)及び郵便料」と記載しています。第三者からの情報取得手続は「手数料(1個の申立てにつき1000円)、民事執行予納金(各裁判所によって異なります。)及び郵便料」で、㋒預貯金情報・㋓振替社債等情報では第三者1名ごとに2000円の予納金が必要になると記載されています。いずれも申立てをする債権者側が納める費用で、郵便料・予納金の額は裁判所ごとに異なるとされています(2026年9月12日確認)。


民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/裁判所「財産開示」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_11/index.html/裁判所「情報取得」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_12/index.html/裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」 https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html(いずれも2026年9月12日確認)

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最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索の民事執行法、裁判所の手続案内「財産開示」「情報取得」および裁判手続 民事事件Q&A)のみを根拠に作成しています。条文はいずれも本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。条文が委任している最高裁判所規則・法務省令・内閣府令の細目、民事執行規則、裁判例、および各裁判所ごとの郵便料・予納金の額は、本記事では引いていないため、その内容にも有無にも触れていません。申立てが認められるかどうかなど個別の事案の見通しは判断の対象となるため記載していません。

本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。