仮差押えとは|判決が出る前に預金を押さえられる民事保全の手続を民事保全法20条・43条と裁判所の説明で確かめる

整理する前チェック|仮差押えとは

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判決も支払督促も届いていないのに口座が動かせなくなった、という場面で出てくるのが「仮差押え」です。この記事は、その仮差押えが手続としてどこに位置づけられているのかを、裁判所の手続案内「民事保全」と、e-Gov法令検索の民事保全法・民事執行法の条文だけで確認した記録です。先に結論として、一次情報にはっきり書かれているのは次の3点です。①仮差押命令は「金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるとき」に発することができる(民事保全法20条1項)、②保全すべき権利と保全の必要性は「疎明しなければならない」(同法13条2項)、③保全執行は「保全命令の正本に基づいて実施する」(同法43条1項)。個別の事案で仮差押えが認められるか、認められた内容が妥当かは、当サイトでは判断しません。

1. 仮差押えとは何か|裁判所の説明と民事保全法の条文

裁判所は手続案内「民事保全」の「概要」で、民事保全という手続そのものを次のように説明しています(2026年9月13日確認・原文)。

民事保全とは、民事訴訟手続でその存否を確定できるような権利又は権利関係を有する者が、その確定までに時間がかかることから生じる危険を回避するために、裁判所に暫定的な保全措置を求め、裁判所の決定の下にこれを執行する手続です。

同じページは、仮差押えを次のように説明しています(原文)。

(1)仮差押え(民事保全法20条)
債務者に対して金銭債権を有する者が、債務者の財産状態が変わることにより将来の強制執行が不可能又は著しく困難になるおそれがある場合に、債務者の財産を仮に差し押さえる手続です。

条文の側では、民事保全法1条が民事保全という用語の範囲を定めています(原文)。

民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための仮差押え及び係争物に関する仮処分並びに民事訴訟の本案の権利関係につき仮の地位を定めるための仮処分(以下「民事保全」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

そして20条1項が、仮差押命令を発することができる場合を定めています(原文)。

仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

同条2項は「仮差押命令は、前項の債権が条件付又は期限付である場合においても、これを発することができる。」と定めています。条文は「発することができる」という書き方であり、どのような事情があれば認められるかを数値や例で定めているわけではありません。当サイトは、条文に書かれている以上のことを述べません。

裁判所「民事保全」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_15/index.html(2026年9月13日確認)/民事保全法(平成元年法律第91号)1条・20条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091(2026年9月13日確認・本則から抽出)

2. 保全命令は「3種類」|仮差押えと2つの仮処分

裁判所の同じページは、保全命令手続について「保全命令手続は、以下の3種類です。」と書き、(1)仮差押え(民事保全法20条)、(2)係争物に関する仮処分(民事保全法23条1項)、(3)仮の地位を定める仮処分(民事保全法23条2項)を挙げています。「3種類」という数はページ原文の表記です。

保全命令裁判所ページが挙げる条文条文の要件(民事保全法の原文の文言)
(1)仮差押え民事保全法20条金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるとき(20条1項)
(2)係争物に関する仮処分民事保全法23条1項その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるとき(23条1項)
(3)仮の地位を定める仮処分民事保全法23条2項争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするとき(23条2項)
裁判所「民事保全」概要(2026年9月13日確認)が挙げる3種類と、民事保全法20条・23条の条文の文言。

お金の請求に関わるのは(1)の仮差押えです。借金の返済を求められている場面で問題になるのは、通常この仮差押えの側です。なお23条4項は、仮の地位を定める仮処分命令については「口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。」と定めており、この期日を要するという定めは仮処分命令(23条2項の仮処分)についての規定です。

裁判所「民事保全」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_15/index.html/民事保全法20条・23条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091(いずれも2026年9月13日確認)

3. 判決の前に発令される仕組み|「疎明」と「無審尋事件」

民事保全法13条は、申立ての仕方と証明の程度を定めています(原文)。

1項 保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
2項 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。

また3条は「民事保全の手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。」と定め、16条は「保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。ただし、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。」と定めています。15条は「保全命令は、急迫の事情があるときに限り、裁判長が発することができる。」という定めです。

裁判所の手続案内「手続の流れ」は、発令までの段取りを2通りに分けています。①無審尋事件の説明の冒頭は「金銭債権又は不動産の仮差押え事件等の審尋の必要がない事件」です(原文)。

①無審尋事件
金銭債権又は不動産の仮差押え事件等の審尋の必要がない事件は、保全命令の発令までに、概ね以下の手続が執られます。
ア 保全命令申立て
イ 債権者の裁判官面接(数回にわたる場合があります。)
ウ 担保決定(民事保全法14条参照)
エ 供託書又は支払保証委託契約書提出
オ 保全命令発令

②要審尋事件については「仮の地位を定める仮処分等の審尋の必要がある事件」として、ア 保全命令申立て、イ 債権者の裁判官面接、ウ 審尋期日呼出、エ 審尋期日の実施、オ 担保決定、カ 供託書又は支払保証委託契約書提出、キ 保全命令発令が挙げられています。つまり一次情報の上では、金銭債権の仮差押えは①「審尋の必要がない事件」の例として挙げられており、①に挙げられたア〜オの5段階の中に、債務者を呼ぶ期日は挙げられていません(審尋期日呼出・審尋期日の実施が段階として挙げられているのは②要審尋事件の側です)。17条は「保全命令は、当事者に送達しなければならない。」と定めており、送達自体は当事者に対して行われます。

民事保全法3条・13条・15条・16条・17条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091/裁判所「民事保全」手続の流れ https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_15/index.html(いずれも2026年9月13日確認)

4. 強制執行との違いは、条文の「よりどころ」の書き方に出ています

強制執行の側は、民事執行法22条が根拠となる文書を列挙しています。柱書は「強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。」で、同条は柱書と14の号で構成されています(原文全体を機械で数えて確認)。号として挙げられているのは、1号「確定判決」、2号「仮執行の宣言を付した判決」、3号「抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)」、3号の2「仮執行の宣言を付した損害賠償命令」、3号の3「仮執行の宣言を付した届出債権支払命令」、4号「仮執行の宣言を付した支払督促」、4号の2「訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件(中略)の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)」、5号の執行証書、6号の外国裁判所の判決、6号の2の仲裁判断、6号の3の暫定保全措置命令、6号の4の国際和解合意、6号の5の特定和解、7号「確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)」です。同条の全文(柱書+14号)を機械で検索した範囲では、「保全命令」「仮差押命令」「仮差押」「仮処分」という語はいずれも出てきません。

一方、保全執行の側は民事保全法43条が定めています(原文)。

1項 保全執行は、保全命令の正本に基づいて実施する。ただし、保全命令に表示された当事者以外の者に対し、又はその者のためにする保全執行は、執行文の付された保全命令の正本に基づいて実施する。
2項 保全執行は、債権者に対して保全命令が送達された日から二週間を経過したときは、これをしてはならない。
3項 保全執行は、保全命令が債務者に送達される前であっても、これをすることができる。

読み取れる事実を並べます。①保全執行のよりどころは「保全命令の正本」である(43条1項本文)、②当事者以外の者に対する・その者のためにする保全執行には執行文の付された正本が要る(同項ただし書)、③2週間という期間の起算点は「債権者に対して保全命令が送達された日」である(同条2項)、④債務者への送達前でも保全執行はできる(同条3項)。なお民事保全法の本則を機械で検索すると「債務名義」の語は6回出てきますが、出現するのは52条・60条・62条・63条・64条・65条(いずれも仮処分の執行・仮処分の効力に関する条)で、43条には現れません。条文の書き方がこのように分かれているという事実の記載であり、個別の事案での意味づけは当サイトでは述べません。

債務名義に基づく強制執行の側の手続は、預金が差し押さえられる仕組み支払督促が届いたら、訴訟そのものの流れは裁判所から訴状が届いたらで条文をたどっています。

民事執行法(昭和54年法律第4号)22条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004/民事保全法43条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091(いずれも2026年9月13日確認・本則から抽出)

5. 仮差押えの執行方法は、対象ごとに条文が分かれています

民事保全法の第三章第二節「仮差押えの執行」は、対象ごとに方法を定めています。預金などの債権については50条1項です(原文)。

民事執行法第百四十三条に規定する債権に対する仮差押えの執行は、保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法により行う。

「第三債務者」は、民事保全法12条4項本文が「仮に差し押さえるべき物又は係争物が債権(中略)であるときは、その債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。」という形で定義している語です。条文が「第三債務者」と呼んでいるのは、こうして「その債権の債務者」に当たる者です。個別の債権について誰がこれに当たるかの当てはめは、当サイトでは行いません。

対象条文執行の方法(原文の文言)
債権・その他の財産権民事保全法50条1項(4項でその他の財産権に準用)保全執行裁判所が第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する命令を発する方法
不動産民事保全法47条1項仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる
動産民事保全法49条1項執行官が目的物を占有する方法により行う
民事保全法47条1項・49条1項・50条1項(2026年9月13日確認・本則から抽出)。47条1項の「これらの方法は、併用することができる。」は同項の後段です。

対象の特定については21条が定めています(原文)。「仮差押命令は、特定の物について発しなければならない。ただし、動産の仮差押命令は、目的物を特定しないで発することができる。」本文と、動産についてのただし書が分かれている点が条文の形です。動産の差押えが禁じられる範囲については、強制執行の側の条文を差押禁止動産とはで扱っています。

民事保全法12条・21条・47条・49条・50条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091(2026年9月13日確認・本則から抽出)

6. 給料が対象になる場合|民事執行法152条・153条が準用されています

民事保全法50条5項は、債権に対する仮差押えの執行について民事執行法の規定を準用しています(原文)。

民事執行法第百四十五条第二項から第六項まで、第百四十六条から第百五十三条まで、第百五十六条(第三項を除く。)、第百六十四条第五項及び第六項並びに第百六十七条の規定は、第一項の債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行について準用する。

この列挙の中に、次の条が含まれています。

  • 民事執行法145条2項=「差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。」
  • 同法145条5項=「差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。」
  • 同法147条1項=差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官が第三債務者に対し、差押命令の送達の日から2週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない、という定め
  • 同法152条=差押禁止債権。1項柱書は「次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。」で、2号に「給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権」が挙げられています。2項は退職手当及びその性質を有する給与に係る債権について「その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。」と定め、3項は前条1項各号に掲げる義務に係る金銭債権を請求する場合について「四分の三」を「二分の一」と読み替える定めです。
  • 同法153条1項=執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる、という定め(差押禁止債権の範囲の変更)

152条1項の括弧書きにある「政令で定める額」の具体的な金額は、この記事では政令の原文を取得していないため書きません。強制執行の側での金額と条文の関係は給料の差押えはいくらまでかにまとめています。また、範囲の変更の申立てを行うべきかどうかや、申し立てた場合の結論は個別の判断であり、当サイトでは扱いません。

民事保全法50条5項 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091/民事執行法145条・147条・152条・153条 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(いずれも2026年9月13日確認・本則から抽出)

7. 担保と「仮差押解放金」という2つのお金

民事保全法には、債権者側が立てる担保と、債務者側が供託する仮差押解放金という2つのお金が出てきます。まず担保は14条1項です(原文)。

保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。

裁判所の手続の流れでも「ウ 担保決定(民事保全法14条参照)」「エ 供託書又は支払保証委託契約書提出」が発令前の段取りとして挙げられています。担保の金額の水準は、裁判所のこのページにも条文にも記載がないため書きません。

もう一方が仮差押解放金です。22条は次のように定めています(原文)。

1項 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。
2項 前項の金銭の供託は、仮差押命令を発した裁判所又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。

そして51条1項が、その効果を定めています(原文)。

債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は、仮差押えの執行を取り消さなければならない。

50条3項は、第三債務者の側が供託した場合の扱いを定めています(原文)。「第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭の支払を目的とする債権の額に相当する金銭を供託した場合には、債務者が第二十二条第一項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したものとみなす。ただし、その金銭の額を超える部分については、この限りでない。」ただし書まで含めて、このような定めが置かれています。

民事保全法14条・22条・50条・51条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091/裁判所「民事保全」手続の流れ https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_15/index.html(いずれも2026年9月13日確認)

8. 申立先・費用・申立てに必要な書類(裁判所の記載)

申立先について、裁判所は次のように書いています(原文)。

「本案の管轄裁判所」又は「仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所」の専属管轄となります。
申立先の裁判所を調べたい場合は、該当する「申立書提出先一覧」をご覧ください。
 ・地方裁判所に申し立てる場合→「申立書提出先一覧(地方裁判所)」
 ・簡易裁判所に申し立てる場合→「申立書提出先一覧(簡易裁判所)」

条文の側では、民事保全法12条1項が「保全命令事件は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。」と定め、6条が「この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。」と定めています。「申立書提出先一覧」の各ページはこの記事では取得していないため、その中身は書きません。

費用の項は次の記載です(※の注記と、その直後の「なお」書きまで原文どおり引用します)。

手数料は1件2000円です。
※郵便料は裁判所ごとに異なります。申立先の裁判所で必要な郵便料(等)については、「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」をご確認ください。
なお、各地の裁判所のサイトで郵便料(等)を確認される際は、申立先の裁判所に応じて「地方裁判所」又は「簡易裁判所」ボタンをクリックしてください。

郵便料の金額は同ページに記載がありません(裁判所ごとに異なると書かれ、各地の裁判所のページを確認するよう案内されています)。申立てに必要な書類の項は、申立書正本、立証を要する事由(主張事実)ごとに対応する証拠を挙げ、一般的な添付書類として①法定代理人や法人代表者の資格証明書(戸籍謄本、登記事項証明書、商業登記簿謄本等)、②代理人の委任状、③不動産等の登記事項証明書、④不動産の価額を証する書面(固定資産評価証明書)を挙げ、「詳しくは申立先の裁判所にご確認ください。」と結んでいます。これらはいずれも申立てをする債権者の側が用意する書類として記載されているものです。

「留意点」の項には、次の記載もあります(原文)。

民事保全法の適用を受けない保全処分(特殊保全処分)として、破産法28条による保全処分、会社更生法40条による保全処分、民事執行法55条及び77条による保全処分などがあります。

破産法28条・会社更生法40条・民事執行法55条・77条の条文はこの記事では取得していないため、内容は書きません。裁判所のページがこうした保全処分の存在を挙げている、という事実までの記載です。

裁判所「民事保全」申立先・申立てに必要な費用・申立てに必要な書類・留意点 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_15/index.html/民事保全法6条・12条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091(いずれも2026年9月13日確認)

9. 不服申立ての手続は、条文のどこに置かれているか

ここでは手続の存在と条文の位置だけを示します。何をどう申し立てるべきかは個別の判断であり、当サイトでは勧めも助言もしません。裁判所は「不服申立て」の項で次のように書いています(原文)。

保全命令手続の裁判に対する不服申立方法としては、①保全申立てを却下する裁判に対する債権者の即時抗告(即時抗告期間は告知を受けた日から2週間の不変期間内)、②保全命令(仮差押え、仮処分)の裁判に対する債務者の保全異議、保全取消しの申立て、③保全異議申立て及び保全取消の裁判に対する保全抗告(保全抗告期間はその送達を受けた日から2週間の不変期間内)があります。

民事保全法の本則では、これらは次の位置にあります。

手続条文の位置条文の書き方(要点)
債権者の即時抗告(却下された場合)19条1項「債権者は、告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる」
保全異議第二章第三節(26条〜36条)。26条が入口「保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる」
保全執行の停止等27条1項一定の事情につき「疎明があったときに限り」、裁判所が担保を立てさせて等、保全執行の停止又は既にした執行処分の取消しを命ずることが「できる」
保全異議の結論32条1項「保全命令を認可し、変更し、又は取り消さなければならない」
保全取消し第二章第四節(37条〜40条)37条=本案の訴えの不提起等による取消し(同条2項「前項の期間は、二週間以上でなければならない。」)/38条=事情の変更による取消し(2項「前項の事情の変更は、疎明しなければならない。」)/39条=特別の事情による取消し(仮処分命令についての規定)
保全抗告第二章第五節(41条・42条)41条1項=「その送達を受けた日から二週間の不変期間内に、保全抗告をすることができる。ただし、抗告裁判所が発した保全命令に対する保全異議の申立てについての裁判に対しては、この限りでない。」
民事保全法19条・26条・27条・32条・37条〜39条・41条の位置と文言(2026年9月13日確認・本則から抽出)。41条1項はただし書まで含めています。

27条1項は「疎明があったときに限り」「命ずることができる」という書き方であり、申立てをすれば停止されると書かれているわけではありません。期間の数え方を含め、個別の日付や手続の選択については、書面の記載と申立先の裁判所、および弁護士・司法書士にご確認ください。

裁判所「民事保全」不服申立て https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_15/index.html/民事保全法19条・26条・27条・32条・37条・38条・39条・41条 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091(いずれも2026年9月13日確認・本則から抽出)

10. この記事で扱わないこと

請求されている金額が正しいか、仮差押えが認められるかどうか、どの手続を選ぶべきかは、いずれも個別の判断です。当サイトはこれらを扱いません。手続ごとの公的な定義は債務整理の4つの方法と、任意整理特定調停個人再生自己破産で確認できます。弁護士・司法書士に依頼した場合の取立て規制の条文は受任通知と貸金業法21条1項9号、司法書士が扱える範囲は司法書士の「140万円」、時効の援用の仕組みは消滅時効の援用とはにあります。費用が心配な場合の公的制度は法テラスの費用立替制度無料法律相談の条件、公的な相談窓口の一覧は借金の相談窓口にまとめています。相談先を選ぶ前には日弁連・日司連の公式検索で実在を確認する手順実在確認ナビをご覧ください。返済額の整理には返済計算ツールも使えます。

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よくある質問

仮差押えは判決が出ていなくてもできるのですか?

民事保全法1条は、民事保全を「民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための仮差押え」等と定めており、裁判所は民事保全を「その確定までに時間がかかることから生じる危険を回避するため」の暫定的な保全措置と説明しています(2026年9月13日確認)。20条1項は、仮差押命令は金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる、と定めています。また13条2項は、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は「疎明しなければならない」と定めています。個別の事案で認められるかどうかは当サイトでは判断しません。

強制執行と仮差押えは、条文の上で何が違うのですか?

民事執行法22条の柱書は「強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。」と定め、同条は柱書と14の号で構成されています。号に挙げられているのは確定判決、仮執行の宣言を付した判決、仮執行の宣言を付した支払督促、執行証書などで、同条の全文を機械で検索した範囲では「保全命令」「仮差押命令」の語は出てきません。一方、民事保全法43条1項は「保全執行は、保全命令の正本に基づいて実施する。」と定め、ただし書で、保全命令に表示された当事者以外の者に対し又はその者のためにする保全執行は執行文の付された保全命令の正本に基づいて実施する、としています。条文の書き方がこのように分かれているという事実の記載です。

給料も仮差押えの対象になるのですか。範囲の定めはありますか?

民事保全法50条5項は、債権に対する仮差押えの執行について民事執行法146条から153条までを準用しています。その中の民事執行法152条1項は、柱書で「その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。」と定め、2号に「給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権」を挙げています。同条3項は、前条1項各号に掲げる義務に係る金銭債権を請求する場合について「四分の三」を「二分の一」と読み替える定めです。政令で定める額の具体的な金額は、この記事では政令の原文を取得していないため記載していません。

仮差押えの執行が取り消される定めはどこにありますか?

民事保全法22条1項は、仮差押命令において「仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない」と定めています。そして51条1項は、債務者が22条1項の規定により定められた金銭の額に相当する金銭を供託したことを証明したときは、保全執行裁判所は仮差押えの執行を取り消さなければならない、と定めています。50条3項は、第三債務者が仮差押えの執行がされた金銭の支払を目的とする債権の額に相当する金銭を供託した場合には債務者が供託したものとみなす(ただし、その金銭の額を超える部分については、この限りでない)と定めています。金額の当てはめや個別の見通しは当サイトでは述べません。

申立ての手数料はいくらと書かれていますか?

裁判所の手続案内「民事保全」の「申立てに必要な費用」は「手数料は1件2000円です。」と記載しています。同じ項には「※郵便料は裁判所ごとに異なります。申立先の裁判所で必要な郵便料(等)については、「各地の裁判所の裁判手続利用ページ一覧」をご確認ください。」と、その直後に「なお、各地の裁判所のサイトで郵便料(等)を確認される際は、申立先の裁判所に応じて「地方裁判所」又は「簡易裁判所」ボタンをクリックしてください。」という案内が続いています(2026年9月13日確認)。郵便料の金額は同ページに記載がありません。


裁判所「民事保全」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_15/index.html/民事保全法(平成元年法律第91号) https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000091/民事執行法(昭和54年法律第4号) https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004(いずれも2026年9月13日確認)

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最終更新:2026年9月13日/このページは公表されている一次情報(裁判所の手続案内「民事保全」、e-Gov法令検索の民事保全法・民事執行法)のみを根拠に作成しています。条文はいずれもe-Gov法令APIで取得した原文XMLの本則から抽出しており、附則・改正規定は使用していません。民事保全法の法令番号は取得したXMLのLawNumが「平成元年法律第九十一号」、民事執行法は「昭和五十四年法律第四号」であることを確認しています。郵便料の金額、民事執行法152条1項の政令で定める額、「申立書提出先一覧」各ページの内容、破産法28条・会社更生法40条・民事執行法55条77条の保全処分の内容、担保の金額の水準、裁判官面接の実際の回数、個別の事案の見通しは、一次情報を取得していない、または判断の対象となるため記載していません。

本記事は法律相談ではありません。個別の状況は弁護士・司法書士にご相談ください。